Google、Amazon、Uber、Airbnb──。デジタルジャイアントやスタートアップたちによる破壊的イノベーションによって、さまざまな業界でデジタル変革のうねりが引き起こされてきた。しかし今、その変革の流れに大きな変化が見られ始めている。破壊される側であったはずの“エスタブリッシュドカンパニー”が、デジタルテクノロジーを駆使して自ら破壊的なイノベーションを引き起こし、業界での支配力を強めているのだ。そんな彼らが積極的に推進しているのが、エンタープライズITのモダナイゼーションであるという。
企業の7割が恐れているのは“エスタブリッシュド”の創造的破壊
IBMが先ごろまとめた『2018グローバル経営層スタディからの洞察 ~守成からの反攻:Incumbents Strike Back~』(IBM Institute for Business Value調査)に、こんなデータがある。それは、世界の企業経営層の72%が、Googleなどのデジタルジャイアントではなく、「革新的な既存企業(エスタブリッシュドカンパニー)」が、業界の創造的破壊を主導していると見ていることだ。
これまで、テクノロジーを巧みに操るデジタルジャイアントやスタートアップ、あるいは異業界からの新規参入者たちが、レガシなービジネスモデルを打ちこわし、各業界の創造的破壊を加速させていると見られてきた。だが、実際にはそうではないらしい。デジタルテクノロジーによって、業界の創造的破壊を主導している業界で確固たる地位を築いてきたエスタブリッシュドカンパニーであり、多くの企業が、それに脅威を感じているのである。
確かに、伝統のある企業は、過去に幾度となく「危機」に直面し、自らを変えることでそれを乗り越えてきたはずである。そう考えれば、デジタル変革という時代のうねりと対峙するなかで、エスタブリッシュドカンパニーがその変革に自ら取り組み、旧態依然としたビジネスモデルを破壊しながら、先へ先へと進もうとしていることには、何ら不思議はない。
破壊される側から破壊する側へ。守勢から攻勢へ──。業界を牽引してきたエスタブリッシュドカンパニーたちの反撃はすでに始まっており、相応の成果を上げつつあるのである。