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ニッポン流のIoTを探し出せ! - 日本IBMのスペシャリストに聞くIoTビジネスの現在(いま)

IT関連のバズワードは、クラウドやビッグデータのようにバズワードの域を抜けだして一般に定着する場合もあるが、一瞬だけ注目を浴びたものの、すぐに忘れ去られてしまう言葉も少なくない。ではいまもっとも旬のキーワードと言われる「IoT(Internet of Things)」はどうだろうか。クラウドコンピューティングのようにITのトレンドを大きく変える存在となるのか、それとも単なる一過性のブームで終わるのか。本稿では日本IBMの2人のIoTスペシャリスト - ソフトウェア事業Analytics事業部 IoT Technical Lead 鈴木徹氏、同事業部 Big Data Technical Lead 土屋敦氏に、IoTが日本にもたらすビジネスチャンスの可能性についてお話を伺った。

IoTに関係ない企業なんてない!?


日本IBM
ソフトウェア事業Analytics事業部 IoT Technical Lead
鈴木徹氏

 「IoT(Internet of Things)をただのバズワード、過去のM2M(Machine to Machine)ブームの焼き直しと捉えているのであれば、そのポテンシャルを見誤ることになります」 - 現在、日本IBMにおけるIoTエバンジェリスト的な役割を務めている鈴木氏はこう明言する。「古くからのお客様の中には"ウチにはIoT関係ないよ、だってデバイスを作ってないから"という方もいらっしゃいます。しかしIoTが対象とするモノとは自社の製品に限りません。たとえばユーザが個人的に所有しているスマートフォンも十分にIoTにおける重要な"モノ"となりえます。製造業ではないから、モノを作ってないからIoTには関係ないという認識でいるのなら、それは本当にもったいない」(鈴木氏)

 では旧来のM2MとIoTは具体的にどのような点が異なってくるのだろうか。デバイスの多機能化/小型化、速度や価格性能比が格段に進化したネットワーク環境などに加え、鈴木氏は「モノが勝手にしゃべりだしたこと、人間を介さずに通信できるようになったこと、これが本当に大きい」と説明する。モノとモノが自律的につながり、自動的にデータがインターネット上に送信され、いままでには取れなかったデータが大量に取得できるようになった。そしていままで取ることができなかったデータは、いままでできなかった多方面からの分析を可能にする。さらにIoTの場合、つながるものは物理的なモノに限らない。コンテンツやサービスなど、バーチャルな存在とも通信を行うことが可能だ。この柔軟性が、単純にデバイスとデバイスだけのハードワイヤな接続でしかなかった過去のM2MとIoTを別物にしている。

 「言うなればSoR(Systems of Record: 記録のためのシステム)からSoE(Systems of Engagement: 人と人のつながりを取り持つシステム)への変換がIoTによって促進されているのだと思います。M2MはSoRだけの世界でしたが、これが自動化されるようになり、今度はSoEが重要視されるようになった。しかし、SoEはSoRのように機械的に結論を導き出すことはできない、水物的な要素を含んでいます。だからこそいままで考えつかなかったようなイノベーションが起こるチャンスが増えるのです」(鈴木氏)

世界に拡がるIBMのIoT事例

 日本ではまだ普及の第一歩を踏み出した段階にあるIoTだが、海外ではすでに先進的な事例がいくつも生まれており、IBMのIoTソリューションを活用する企業も増えている。そうした中、鈴木氏はヘルスケア業界で進みつつあるIoTイノベーションに日本も注目すべきだと指摘する。「たとえばカナダ・オンタリオ工科大学では、生命に危険が迫っている新生児をIoTデバイスで監視し、心拍数など20以上のデータをリアルタイムで取得して分析処理を行い、緊急事態に備えています。1分1秒を争う事態が日常の医療現場においては、IoTが活躍できるシーンはそれこそ無限にあるのではないでしょうか」(鈴木氏)

 製造業もIoTの活躍が期待される業界だ。ここ1、2年はとくに"コネクティドカー(Connected Car)"という言葉に代表される、自動車のさまざまなパーツをインターネットに接続する機能が注目されている。IBMは仏プジョー・シトロエンと提携し、自動車に取り付けたGPSデータやスマートフォンアプリからのデータを収集、リアルタイムなストリーミング処理を行っている。プジョーはこれらの分析データにアクセスするためのAPIを公開しており、パートナー企業などのサードパーティが自由にアプリケーションを作成する環境を提供している。こうしたオープンな手法は「APIオリエンティド」と呼ばれており、日本の製造業も参考にできる部分は多いはずだ。

 さらにヘルスケアや製造業といった従来からの業界だけではなく、スマホ時代ならではの新たな分野においてIoTの活用事例が登場し始めている。たとえばスマートフォンやセルフィーと呼ばれる自撮りグッズで街中のファッションを撮影し、画像データからすぐさま数値化を行う。この数値データをカタログサイトに送り、似たようなテイストの洋服やアクセサリーなどのアイテムを検索、その商品を置いている近くのショップの情報をユーザのデバイスにプッシュするという仕組みがすでに実用化されているという。このテクノロジが進化すれば機械学習でユーザの好みをより詳細に把握し、確度の高いマーケティングを実施することも可能になる。

 こうしたビジネスモデルの創出はITサイドの人間だけではなかなか考案することはむずかしい。もっと言えば、いままでにないビジネスチャンスを作り出す可能性が高いIoTだからこそ、ビジネスサイドの理解と協力がより重要になってくる。ここ数年、開発と運用の現場においてアジャイルコンピューティングのメリットが強調される機会が増えているが、鈴木氏は「IoTこそアジャイルのスコープをビジネスまで拡大してほしい。むしろIoTは、ビジネスとITのサイクルを一緒に回すことのできる組織を作る大きなきっかけとなるはずです」と語る。どんなに大量のデータが集まったとしても、そこにビジネスチャンスを見いだせるのは人間だけなのだ。IoTはビジネスサイドの人間がITにかかわる絶好の機会なのかもしれない。

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