ニッポン流のIoTを探し出せ! - 日本IBMのスペシャリストに聞くIoTビジネスの現在(いま)

IoTの最初の一歩をBluemixで


日本IBM
ソフトウェア事業Analytics事業部 Big Data Technical Lead
土屋敦氏

 ではビジネスとITの双方でIoTイノベーションを起こしていくには何が必要となってくるのだろうか。鈴木氏とともに日本IBMでIoTビジネスを推進する立場にある土屋氏は「まずは始めてみること」を提唱する。ひと昔前であれば、新しいテクノロジを試そうにもハードウェアなどリソースの調達に難儀するのが常であったが、いまはクラウドがある。始めたいと思い立ったときにいつでも始められ、やめようと思えばすぐに手を引くことができるのだ。「IoTを始めてみたいが何から手を付ければいいのかわからない」という企業にはIBMのPaaS環境である「IBM Bluemix」上に用意されているトライアルプログラムの利用を推奨していると土屋氏は言う。

 Bluemix上で利用できるIoT関連のソリューションには「IBM Internet of Things Foundation」や「IBM InfoSphere Streams」などがある。IoT Foundationは文字通り、IoT活用のための基盤 - デバイスの登録、接続、制御、IoTから得られたデータの視覚化と保管といった機能がSaaSとして提供されており、IoTを始めるにあたってひととおり必要な環境がこれひとつで揃う。Streamsはデバイスやアプリケーションから送られてくる膨大なストリームデータを高速に処理し、データの関連付けから洞察を引き出すまでの時間を最小化できる点が特徴だ。Streamsは先に挙げたプジョーでもストリームデータの分析に活用されている。

 「IBMのIoTソリューションは、リアルタイムを意識していること、そして分析まで視野に入れたエコシステムと捉えていること、この2つが大きな特徴となっています」と鈴木氏は言う。IoTはモノが勝手にしゃべり始めたからこそ、その重要性は"いま、何が会話(通信)されているのか"にフォーカスされつつある。だが膨大な量のデバイスが発するデータを受け入れることはそんなに簡単にできるのだろうか。これについて鈴木氏は「結論から言うと、すべてのデータを漏れなく収集することは現在の技術をもってしても無理です。IoTでは秒間で100万イベントを超えるデータ量になることも多く、センサーデータのような非構造化データを扱うことが得意なNoSQLでも間に合いません」と回答する。だが、だからこそStreamsのようなミリ秒単位でデータを分析できるソリューションが活躍するという。「いま話されていることをいま分析する - IoTはデータの収集だけではなく分析まで含めてひとつのサイクルを形成します。私たち(鈴木氏、土屋氏)のようなIoTの専門家が所属する事業部にアナリティクスの名が付いているのは、IBMは"IoTはアナリティクスありき"のスタンスでいることを表しているからです」(土屋氏)

 海外の先進企業に比べてIoTの普及が遅れていると指摘される日本だが、鈴木氏は「現場の知見を数多く積み重ねてきた日本企業は、すでにIoTで活躍する土台ができ上がっています。そうした企業に向けてIoTへのラストワンマイルをIBMが届けられるようにお手伝いしたい。IoTによって日本企業が世界へと飛躍するチャンスを届けていく。だからこそBluemixのようなトライアル環境でどんどん試してほしい。まずは気軽に始めてみてください。」と強調する。世界中で大きなうねりを形成しつつあるモノのインターネットの流れに乗り遅れないよう、最初の一歩を踏み出すきっかけを確実につかんでいきたい。その積極的な姿勢が近いうちにきっと"ニッポン流のIoT"を生み出すはずだ。


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