クラウドBPMツールが革新した、20年来のグローバル品質マネジメント 自動車部品サプライヤー「アルパイン」事例

ITシステムの役割は、従来の業務効率化から、デジタル技術による変革の創出へとシフトしている。しかし、旧態依然とした業務慣行などにより、このような変化から取り残されている領域も少なくない。そこで、20年前に構築した品質マネジメントシステムを、お客様が求めるグローバルなレベルに刷新した事例を紹介しよう。カーナビ・カーオーディオなどの自動車部品サプライヤーであるアルパイン株式会社だ。変革のカギは、クラウド型BPMツール『IBM Blueworks Live』にあった。

ビジネスのグローバル化がもたらす課題

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 アルパイン株式会社は、カーナビやカーオーディオなどの車載機器の開発・製造・販売を手がける自動車部品サプライヤーである。製品の供給ルートは、自社ブランドでの販売・自動車メーカー向け販売と大きく2つに分けることができるが、ここ数年、アルパインのような自動車部品サプライヤーにおいても、パートナーとのビジネスの進め方が大きく変化したという。アルパインの品質保証部 部長で、グローバルな品質保証の責任者である神長眞一氏は、変化の具体的な様子について説明してくれた。

アルパイン株式会社 品質保証部 部長 神長 眞一氏
アルパイン株式会社
品質保証部 部長
神長 眞一氏

 「市場の期待に直接応えるため、私どものお客様である自動車メーカーと緊密に連携することが必要になりました。例えばゲストエンジニアとして自動車メーカーと製品を共同開発したり、お客様が直接当社の品質マネジメントシステムを監査する、といったことが当たり前になっています。同時に私たちにとっても、より先進的な企業のノウハウを自社に取り入れて、サプライチェーン全体の品質を高めていくことができるというメリットがあります。このような取り組みのひとつが、今回行った品質マネジメントシステムの刷新でした。

 ヨーロッパの自動車メーカーは、品質をプロセスで作り込むという考え方を持っています。品質マネジメントシステムというビジネスプロセスを管理する仕組みがしっかり定着しているのです。もちろん、私たちも、ISO9001をベースとした品質マネジメントの仕組みを20年前に構築していました。ヨーロッパの現地工場では、独自に認証を得たり、専門の部員を置くといった対応をしていました。

 一方で、過去からの変化に合わせて随時品質マネジメントプロセスの見直しを行ってきましたが、製品構造の変化やお客様からの要求変化などが複雑化していることも事実であり、抜本的な刷新の必要性を感じていました。」(神長氏)

 そのために、お客様の品質マネジメントの監査を受けたとき、非常に多くの指摘を受けることになったという。

企業活動の多くの領域におよぶ品質マネジメント

 そこでアルパインは、20年前に構築したISO9001ベースの品質マネジメントの仕組みを、グローバルスタンダードに合わせ、大幅に刷新することを決定した。

アルパイン株式会社品質保証部 グローバル品質システム改革グループ マネージャー 
吉岡 正士氏
アルパイン株式会社
品質保証部
グローバル品質システム改革グループ マネージャー
吉岡 正士氏

 「品質マネジメントの対象領域は、"製品検査"や"品質確認"にとどまりません」と語るのは、アルパイン品質保証部 グローバル品質システム改革グループのマネージャーで、今回の品質マネジメントのグローバル化プロジェクトの実務を取りまとめてきた吉岡 正士氏である。

 アルパインの品質マネジメントの対象領域は、「事業計画」「顧客満足」「品質マネジメント」といったマネジメント領域、「引合い検討」「設計開発」「調達購買」「プロジェクトマネジメント」という物作りの領域、「ITサービス」「教育訓練」「法務」といったビジネスサポート領域というように、企業活動のほとんど全てに及んでいる。

 今回の刷新では、従来147あった業務プロセスを118のプロセスに整理統合し、オフィス系ソフトで行ってきた品質マネジメントのドキュメント管理をクラウド型のビジネスプロセスマネジメント(BPM)ツール『IBM Blueworks Live』に移行した。

 これは単に、ドキュメントをオフィス系ソフトからクラウドの共有サーバーに移行したということではない。従来の静的なマネジメントの仕組みを、継続的な更新の仕組みを備えた動的なものへと変革したと考えることができるだろう。

導入システムの概略図導入システムの概略図
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短期間でグローバルな仕組みを構築するためクラウド型BPMツールを選択

 『IBM Blueworks Live』を選択した理由について、アルパイン情報システム株式会社のシステム統括部で、今回のツール導入プロジェクトのプロジェクトリーダーを務めた野地 勝裕氏は、次のように説明してくれた。

アルパイン情報システム株式会社 システム統括部 野地 勝裕氏
アルパイン情報システム株式会社
システム統括部
野地 勝裕氏

 「今回は、短期導入で移行するために、SaaSを選択しました。クラウドは、オンプレミスの初期投資よりも、長期間利用したときの利用料が割高になることがありますが、一方で導入までの期間は短くなります。Blueworks Liveは、機能的にも優れていました。トライアルを利用してみたところ、モデリング機能が非常に直感的に使えましたし、品質マネジメントのプロセスのモデリングは、約1ヶ月という短期で終わらせることができました。さらに、IBMは、ビジネスプロセスの見直しや初期移行も含めて、ビジネスプロセスを記述する粒度やレベル・ルールをそろえるといった具体的なノウハウやルール作りも含めて、現場に入りこんでサポートしてくれました」(野地氏)

 『IBM Blueworks Live』による新しい品質マネジメントシステムは、2014年10月から正式に稼動を開始した。当初は、ヨーロッパのOEMのお客様向けに適用し、日本・ハンガリー・中国の各拠点で運用している。

 アルパインでは、今回の刷新により、グローバルで共通ルール化を実現することができたとしている。たとえば、これまで購買のチェックルールなども、拠点ごとに個別に定義していたが、それを全社で統一することができ、常に一定の品質を担保する仕組みを整えることができた。お客様から品質プロセスの監査があっても、統一したルールで運用していると言えるようになった。

 クラウドベースのツールを利用しているおかげで、海外拠点の現場担当者も、最新版の品質管理文書に常にアクセスできるようになっている。粒度や表記ルール・表記レベルの統一が進み、グローバルな業務プロセスの可視化と理解も進んだおかげで、さらに品質を向上させていくことが可能になるだろう。

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