ファシリティの「無駄」と「危うさ」の可視化で 今こそデータセンター/サーバルームの全体最適化を

これまで、技術の進化やビジネス要求に沿ったかたちで、ITの効率化・高信頼化の取り組みがさかんに行われてきた。しかし一方で、ITを稼働させるファシリティの劣化が進行し、データセンター/サーバルームの「無駄」や「危うさ」が拡大の傾向にあるという。そんな中でIT組織に求められているのが、データセンター/サーバルームの現状をつぶさにとらえ、改革のリーダーシップを発揮することだ。

データセンター/サーバルームが内包する課題

 言うまでもなく、企業のIT予算の中で、最も大きなポーションを占めるのはITインフラの維持管理コストだ。このコストがIT予算全体に占める割合は70%にも及ぶとされ、それをいかに切り詰めて戦略投資の枠を広げるかは、企業のIT組織に共通する課題であり続けている。

 IT組織はこれまでも、この重要課題の解決に向けて新技術によるITシステム革新の施策をさかんに講じてきた。例えば、仮想化によるサーバ統合などは、その代表的な取り組みの1つと言える。

 だが、IT全体の経済効率を考えた場合、ITシステム面での効率化だけがすべてではない。ITの稼働を支える「環境」――すなわち、データセンター/サーバルーム(※1)のファシリティも、ITの変化と歩調を合わせるかたちで最適化しなれば、データセンター/サーバルーム全体の経済効率を改善することはできず、結果的に、システム上の改革の効果が薄れる(場合によっては、無駄になる)おそれがある。

 ならば、実際にはどうなのだろうか。日本企業のデータセンター/サーバルームでは、ビジネス要求やITの変化に応じたファシリティ面での最適化がしっかりと行われてきたのだろうか――。

 この点に関して言えば、「さしたる進展が見られていない」というのが日本の現状のようだ。言い換えれば、仮想化などによってITシステム自体の効率性はアップしていても、データセンター/サーバルームのエネルギー効率は一向に上がらないという現象が多く見受けられているようなのである。

 日本IBMでファシリティ系の問題解決を支援し、データセンター/サーバルームの最適化を推し進めているグリーンDCテクノロジー・サービスの部長、岩佐 義久氏はこう指摘する。

 「今から8年ほど前、データセンター/サーバルームの省エネ化に注目が集まり、ファシリティ改革の機運も高まりました。ですが、そのブームは長く続かず、省エネ化を実践したのは一部の大規模データセンター事業者や大企業にとどまり、それ以外の企業が、データセンター/サーバルームの省エネ化を実践するまでには至らなかったのです。ですから、多くの企業のデータセンター/サーバルームは、現実として、エネルギー効率上の問題を潜在させているのです」

 さらに同氏は、こうも付け加える。

 「仮に8年前にデータセンター/サーバルームの省エネ化を遂行していたとしても、今日に至るまでの間で、ITは代替わりしているはずですし、ファシリティの老朽化も進んでいるはずです。ですから、過去8年間でファシリティを最適化する策を何も講じていないなら、やはり、ファシリティ面での見直しが求められるのです」

 一方、エネルギー効率と同様の問題は、データセンター/サーバルームにおけるBCP(事業継続性計画)対策についても散見されるようだ。

 「先の東日本大震災の発生からしばらくは、多くの企業が(停電対策を含む)データセンター/サーバルームのBCP対策に非常に熱心でした。ですが、今やそうした熱は治まっている傾向にあります。そのせいもあり、ファシリティ面でのBCP対策が十分に施されていないケースもよく見受けられます」と、岩佐氏は語り、以下のような具体例を挙げる。

 「例えば、サーバルーム内のプライマリ・サーバとバックアップ・サーバの双方が、同一系統の電源から電力供給を受けているような場合もあります。当然、このような配電では、1系統の電源の障害で、プライマリとバックアップがともにダウンすることになり、せっかくのサーバの冗長化も意味を成さないのです」

※1 データセンターとサーバルーム:ここで言うデータセンター/サーバルームは、どちらも企業のIT施設・IT設備を指す。なお、調査会社IDCの定義によれば、50平米未満のIT施設が「サーバルーム」、それ以上の施設が「データセンター」と呼ばれ、500平米以上が大規模データセンターとされている。

求められる「無駄」と「危うさ」の可視化

 そもそも、企業のIT組織はファシリティ管理の専門組織ではなく、データセンター/サーバルームを含むすべてのファシリティ管理について、IT組織以外のファシリティ部門が権限を掌握している場合もある。

 このような体制の中では、データセンター/サーバルーム全体の効率化や投資について、どの組織が最終的な責任を持つかが曖昧になり、ITの変化・改革と連動したファシリティ改善の施策がなおざりにされがちとなる。仮に、その状態が改善されないままであれば、当然、データセンター/サーバルームの「無駄」や「危うさ」が長期間にわたり放置されることになる。

 そのような事態を回避するためにも、やはりIT組織のリーダーシップが求められる。なぜならば、「ITの改革と連動したファシリティ改善」を実現し、かつ、継続的に回していくには、ITに精通し、自社システムの施策策定・遂行を担う組織が主導権を握るのが最も合理的だからだ。

 では、IT組織がデータセンター/サーバルームの最適化でリーダーシップを発揮し、ファシリティ改善の有効策を打つには何が必要とされるのだろうか――。

 この点について、岩佐氏は、「まず必要なのは、自社のデータセンター/サーバルームに潜在する"無駄"や"危うさ"を定量的・具体的に可視化することです」と指摘し、こう説明を続ける。

 「例えば、データセンター/サーバルームの冷却問題で悩まれているIT組織の方は多くおられます。ですが、自社のデータセンター/サーバルームの真の適正温度が何度なのか、あるいは、局所的に発生する熱問題がどうして発生しているかが分からなければ、全体のエネルギー効率を上げる一手を講じることはできません。

 実際、仮想化によるサーバ統合でIT機器の台数が減り、熱負荷が大きく減っているにもかかわらず、障害発生を恐れて『空調装置のいくつかを止める』との決断が下せずにいるIT担当の方も少なくないのです」

 岩佐氏によれば、ファシリティの現状に対する定量的な把握があれば、こうした決断を速やかに下し、電力コスト削減という経済メリットを得られる可能性が広がるという。実際、ある企業では、IBMの分析データに沿って大規模データセンターの空調を調整したところ、年間数千万円規模の電力コスト削減に成功した。また、ある会社の場合、IBMによるサーバルーム診断を通じ、熱負荷を正確に可視化することで全空調機台数の内半数近くを停止させられることを突き止めたという。これにより、年間250万円規模の削減効果が期待されている。

 さらに、ファシリティの現状が把握できれば、「無駄」の排除ばかりではなく、現行のデータセンター/サーバルームが「どの程度のIT機器の増強に耐えうるか」、「停電などの有事の際にどういった影響を受けるか」を適切にジャッジすることも可能になる。そうなれば、ITの増強やBCP施策をどう実現すればよいかの判断もより的確になるはずだ。

正しい現状認識が意思決定の最適化に通ず

提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2015年4月30日
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]