正しい現状認識が意思決定の最適化に通ず
現在、日本企業のデータセンター/サーバルームは、クラウド化の潮流や老朽化などによって「改修か移設か、それも新設か」の岐路に立たされているとされる。
上の記述からも分かるとおり、それらの意思決定を正しい方向へと導くうえでも、IT組織は、自社のデータセンター/サーバルームの現状を正しくとらえておく必要がある。というのも、現状に対する正しい認識がなければ、データセンター/サーバルームの今後の方向性を適切に描くことも、描いた方向性が本当に正しいかどうかを判断するのも困難だからだ。また、何らかのシステムのクラウド化を検討するにせよ、オンプレミスでの経済性や可能性を突き詰めておかなければ、クラウド化が本当に正解なのか、企業の利益につながるかどうかも判断できない。
さらに、IT組織がデータセンター/サーバルームの改修・移転・新設の緊急性や必要性を、経営サイドやファシリティ部門に訴え、その妥当性・正当性を認めさせるうえでも、しっかりとした分析データが必須と言える。
とはいえ、先に触れたとおり、企業のIT組織は、ファシリティ管理の専門組織ではなく、ファシリティに関して必ずしも精通していているわけではない。そのため、データセンター/サーバルームを自ら点検しても、潜在する問題点を正確に割り出すことができない可能性が大いにある。また、たとえそれができたとしても、その結果に対して社内的な信用が得られるかどうかは不確かだ。
加えて、BCP対策の場合、未曾有の災害への備えを整えることは現実的ではなく、むしろ、「他社のデータセンター/サーバルームが稼働を続けているにもかかわらず、自社の設備だけが停止を余技なくされる事態」の回避を考えなければならない。したがって、自社のデータセンター/サーバルームのBCP対策が世の中の水準と比べてどのレベルにあるかを第三者に点検してもらうことが重要になる。
このように、IT組織がデータセンター/サーバルームの最適化でリーダーシップを発揮するには、どうしても外部のファシリティ・スペシャリストの力を借りる必要が生じる。そうした課題・ニーズに対応し、多くの成果を上げてきたのが、すなわちIBMだ。
IBMではかねてから、岩佐氏のようなデータセンター/サーバルーム・ファシリティのスペシャリストを組織し、実効性の高いコンサルティング・サービスを展開してきた。しかも、企業ITに関して、効率化や可用性向上、BCP対策など、あらゆる面で豊富な実績・ノウハウがある。そのため、顧客企業によるデータセンター/サーバルームの最適化の取り組みをファシリティとITの両面から下支えすることができる。これにより、IBMの顧客企業は、ITとファシリティの改革プランを連動させながら、データセンター/サーバルームの全体最適化を推進していくことが可能になるのである。
さらにもう1つ、IBMは、データセンター/サーバルーム・ファシリティの最適化に向けて、他に例を見ないユニークなサービスも展開している。それは、データセンター/サーバルームの無償診断サービス「IBM Data Center Walkthrough(データセンター ウォークスルー)」だ。
同サービスは、ファシリティ・スペシャリストが現地(顧客企業のデータセンター/サーバルーム)に赴き、施設内を2時間~3時間で見回り、点検を行うというものだ。診断では、データセンター/サーバルーム各所の温度測定や目視によるチェックが行われ、課題や問題点があぶり出される。また併せて、顧客に対するヒアリングが実施され、ITシステムに対するビジネス上の要件・目標もチェックされる。そして、ビジネス上の要件・目的とデータセンター/サーバルームの現状とのギャップが割り出され、それに基づき、ファシリティ改革・改善に対するアドバイスが報告書のかたちで提供されるのである。
岩佐氏によれば、このサービスを通じて、データセンター/サーバルームの「温熱環境・エネルギー効率」や「BCP対策」のレベル(ビジネス要件・目的の達成レベル)がクイックに確認できるほか、(非IBMユーザーの場合)IBMによる評価を、いわゆる「セカンド・オピニン」として活用される例も多いという。
「例えば、異なるベンダーの混在環境の場合、いつのまにかデータセンター/サーバルームのレイアウトが煩雑になっているケースも少なくありませんし、UPS(無停電電源装置)がさまざまなサーバに分散配備され、それが保守管理コストの上昇につながっている場合も珍しくありません。また、どこか一社のベンダーにすべてを頼り切った環境では、思わぬ非効率性が潜んでいる可能性も否定できません。この辺りの課題・非効率性に関するIBMの評価とアドバイスによって、新しい気づきが得られる可能性は高いのです」(岩佐)。
データセンター/サーバルームは、企業の情報資産や戦略遂行、そして日々のビジネス活動を支える重要なインフラであり、その経済効率や可用性に齟齬が生じれば、経営に大きな悪影響を及ぼしかねない。その意味で、データセンター/サーバルームの最適化は企業にとって重大な施策であり、それを担うIT組織の責任は極めて重いと言える。そんな重責をIT組織が果たすうえで、ファシリティとITの双方に精通したIBMは心強い存在であるはずだ。しかも、同社は、Data Center Walkthroughという無償の診断サービスも提供している。
データセンター/サーバルームの最適化に取り組むIT組織にとって、IBMはこれからも最良のパートナーであり続けるようだ。