SoftLayer & Bluemixで 差別化と収益向上に直結したIT革新を

Bluemixが加速するオープン・イノベーション

 小池氏は今回、BluemixのAPI経済圏を成すSaaSの一例として、シティバンクが開発したアップル「iPhone」用アプリの例を挙げた。

 これは、シティバンクに預金口座を持っている個人に向けたアプリで、飲食店での「割り勘」ネット決済を可能にするものだ。レストランからの支払い請求が、アプリ利用者に送られた段階で、利用者が割り勘の方法を入力すると、それに基づく決済処理と銀行引き落としの処理が行われ、かつ、利用者にはシティバンクのポイントが貯まっていくことになる。

 「この種の決済アプリは他サービスでの応用範囲も広く、結果的に、シティバンクは、このSaaS型アプリ(API)で既存顧客とのつながりを強化するのみならず、新規顧客獲得のチャンスを広げられるかもしれません。また、決済アプリのほかにも、位置情報や気象情報のSaaSなど、適用範囲の広いサービスは少なくなく、アイデア次第で、莫大な収益を企業にもたらすAPI(SaaS)が提供できるかもしれないのです」(小池氏)。

 BluemixのAPI経済圏は、IoT(Internet of Things)ベースの情報共有による新たなサービスの可能性も日本で押し広げつつある。例えば、建設設備分野や通販市場に向けた家電商品の企画・設計・製造・販売を手がけるHEATEC社は、Bluemixを用いて「OMOIKANet(Open Multi-Objective Inter-Knowledge Architecture Network)」と呼ばれる、共用・共有型のIoTネットワークを構築し、今年(2015年)4月から運用を始動させている。このネットワークは、およそ1万台の家電機器や防犯機器を相互に結び、システムベンダー間でのIoT情報の多目的共有を実現するインフラ・サービスだ。HEATEC社によれば、コミュニティ参加者の知見を生かした新規サービスの創出・共創の場として機能させていくという。

 このように、Bluemixはすでに、オープン・イノベーションを加速させるサービスの開発・運用・実行プラットフォームとしても機能し始めており、それもAPI経済圏がもたらす変革の一形態と見なすことができる。

IBMのノウハウと技術を変革に生かす

 言うまでもなく、上述したようなSoEのシステム作りを進めるうえでも、IT部門サイドは、インフラのスケーラビリティの確保や、SoEの背後で動作させるSoRのシステムの改変・強化に気を配る必要がある。

 例えば、SoEの場合、レスポンス性能を高いレベルで確保するのが不可欠であり、そのためにインフラのスケーラビリティの弾力性をどう維持するかが大きな懸案事項となる。また、SoEのサービスを展開するために大量データのアナリティクスを迅速に回さなければならないとすれば、クラウドとオンプレミスとの連携の中で、ストレージ・システムのキャパシティを最適に保ち、アプリケーションのパフォーマンスを低下させることなく、いつでもどこでも必要とするデータを利用者が容易に入手できるようにしなければならない。

 IBMによれば、「平均的な企業は、自社のストレージ容量の50%未満しか使用していない」という(IBM EBOOK『既存のインフラに束縛されていませんか――事実に基づいた十分な情報による投資の決定』より)。だとすれば、クラウド・コンピューティングの技術によって、その状況を是が非でも打開していく必要がある。

 また、SoEのシステムで社内データとの連携が必要とされるならば、クラウドとオンプレミスの連携の中で、どうデータのセキュリティを確保すべきかも検討しなければならない。例えば、小売企業では、SoEのシステム作りに積極的だが、扱う顧客情報の機密性が高く、SoEのサービスに使う顧客情報はすべてオンプレミス内で厳重に管理する必要に迫られている。そうした際に、どうセキュリティを担保するかが大きな問題になる。

 さらに、IT部門にとっては、社内のクラウドのガバナンスや、ビジネス要件や自社のセキュリティ・ポリシーに則ったかたちで、パブリッククラウドのセキュリティをどう確保するかという足下の問題も早急に解決しなければならないはずである。

 IBMによれば、ビッグデータやソーシャル、アナリティクスなど、SoEの展開に必要とされる技術トレンドへの準備が十分に整っている企業は全体の10%にも満たず、一方で、企業のLOBリーダーの36%は、IT部門の頭越しでクラウドサービスの活用に乗り出しているという(IBM EBOOK『既存のインフラに束縛されていませんか――事実に基づいた十分な情報による投資の決定』『ハイブリッドクラウド:ビジネスを牽引する』より)。

 そんな状況も、SoEによるビジネスのイノベーションを安全に、より効果的に進めるためにも打開しなければならないポイントであるはずだ。

 IBMではすでに、SoftLayerとBluemixを用いたハイブリッド・クラウドのインテグレーションの中で、上述した種々の課題を解決し、実績とノウハウを豊富に蓄積している。そのノウハウが(本稿でも一部参照した)「IBM EBOOK」に凝縮されている。クラウド・コンピューティングによる企業ITのさらなる変革を推し進めようとしているITリーダーの方は、ぜひ、参考にして欲しい。

提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2015年12月31日
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