“世界の工場”は終わった、これからは人口13億の巨大市場 中国ビジネスの成長を望むなら4つの“現地化”をすべし

ZDNet Japan Ad Special 2016年03月24日 11時00分

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[PR]高成長を続けてきた中国経済がここに来て減速の様相を見せている。しかし、日本経済から見れば、間違いなく中国は成長国だ。中国でビジネスを進めるためには何が必要か。

高成長を続けてきた中国経済がここに来て減速の様相を見せている。しかし、減速したといっても6%台という成長率は、1%台を行ったり来たりしている日本経済から見れば、間違いなく中国は成長国だ。構造的に変化しつつある中国でビジネスを進めるためには何が必要か――。

 景気の減速で先行きも懸念され始めた中国。生産地移転や拠点撤退などを決める日系企業も目立つようになった。一方、足元では内需を中心に消費拡大が続くなど明るい話題も少なくない。日本企業は難しい局面にある中国にどんな戦略で臨むべきか。三井物産戦略研究所中国経済センター長、多摩大学教授などを歴任し、中国ビジネス研究所 代表取締役を務める沈才彬(しん・さいひん)氏にZDNet Japan副編集長の田中好伸が話を聞いた。

成長エンジンだった自動車と不動産の不振

──中国進出した日系企業の視察を継続的に続けていらっしゃいます。肌感覚として、今の日本企業にどんな印象をお持ちですか。

 全体的に見れば大きな課題を抱えていると考えています。対中投資は製造分野に集中していて、それが今、設備過剰に陥っている状況です。率直に言って、苦戦している。中国ビジネスへの戦略を大きく転換する必要があります。カギは、サービス業への傾斜投資及び製造業の内販シフトです。"世界の工場"はもう終わったと考えるべきです。今求められているのは、巨大市場に向けたビジネス戦略です。

──そのあたりを具体的にアドバイスしていただきたいと思います。まずは、今の中国経済をどう見ているかから教えてください。


中国ビジネス研究所 代表取締役
沈才彬(しん・さいひん)氏

 国内での成長率という縦の視点と、国際比較での成長率という横の視点があります。国内の成長率は、2012年以降7%を維持していたが、2015年は6.9%と25年ぶりに低い水準になった。一方、国際的に見ると、先進国平均の1.9%とくらべて高い水準にあり、四半期ベースでの乱高下もなく、安定しています。昔のような2桁成長は終わったと見るべきです。この5年が正念場であり、対応によっては、さらなる減速は避けられない。

 このことは、今までの成長の2大エンジンだった、自動車と住宅の動向からもはっきりしています。新車販売台数の伸びは2桁台から5%弱に、不動産投資の名目伸び率も20%台から1%に落ち込みました。成長の原動力となる労働人口が4年連続減少する中、鉄鋼やセメントなどの設備過剰が深刻な問題になっています。設備過剰の消化には数百万人のリストラが必要で、消化までに少なくとも3~5年はかかると見ています。

 中国政府は2020年までにGDPを2010年の2倍に増やすという倍増計画を掲げました。実現のためには2016~2020年の成長率が6.5%以上に設定する必要がある。現状を見れば、達成は極めて難しいと思います。

工場から消費市場への転換

──日本の製造業にとっては人件費の高騰が打撃になっていると聞きます。

 過去15年間、私はトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、東芝、JUKI、オリンパス、アルプス電気、THK、三井物産、森ビル、平和堂など中国に進出した日系企業の多くを視察しました。2001年に深圳、東莞などで構成する"珠江デルタ"地帯の生産拠点を調査しました。当時日系企業で働く中国人工員の初任給は、500~700元と当時のレートで1万円前後。この数字は10年ほとんど変化しませんでした。

 それが2015年は3000元でも雇えなくなりました。今のレートだと6万円弱。15年間で6倍になった計算です。労働力が減る中で今後5年、さらに2倍に増える見通しです。ベトナムと比べても5倍の賃金ですから、あえて中国で生産するメリットはないのです。

──その一方で、巨大な消費市場としての役割が期待されていますね。

 昨年の新車販売台数は2459万台で世界最大。これは日本の約5倍の規模で米国と比較しても約700万台多い数字です。主要国の自動車メーカーで中国に進出していないメーカーはありません。激戦区でどうシェアを取っていくかがメーカーとしての死活問題になっています。


 もう1つ注目されるのは、ネット通販です。最大手のAlibabaは昨年11月11日の「独身の日」に1日で900億元を売り上げました。日本円で1兆7600億円。これは三越伊勢丹の年間売上高を上回ります。独身の日の売り上げは前年比60%増でした。すでにネット通販のシェアは小売全体の10%を超えるなど、構造変化を伴った急成長が続いています。

 さらに、中国人観光客による海外消費、いわゆる爆買いも世界最大規模になってきました。2015年中国人観光客による海外消費は2500億ドルで、10年後は4500憶ドルに拡大する見通し。企業は、この巨大市場をビジネスの選択肢から外すことは難しいのです。

──共産党一党支配は経済にどんな影響を与えますか。今後、民間主導の経済構造に変化していく可能性はありますか。

 確かに構造的な転換が見られます。製造業のシェアは低下し、2015年のGDPに占めるサービス産業のシェアが初めて5割を超えました。日米はサービス業が6~7割ですから、まだギャップがある。

 輸出、投資、消費という経済成長の3大原動力から見ると、従来は輸出と投資が大きな役割を果たしてきましたが、ここにきて輸出と投資が落ち込む一方、消費は2桁成長を続けています。その意味では、輸出や投資から民間主導での個人消費へと構造がシフトしているのは間違いありません。ただ、いまだにインフラ投資は依然として政府主導です。構造変化にはまだ時間がかかると見るべきです。

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