刻々と変化する市場環境において重要なのは、顧客が求める製品を、競合他社よりも速く提供することである。しかし、グローバルにビジネスを展開する製造企業の多くは、「分散拠点ごとに散在する業務データのサイロ化」や「不透明な全社オペレーション」といった課題を抱え、変化に対応できていない。そのような中、スピードを原動力とし、成長著しいのがサムスンである。そして同社の成功をICT (Information and Communication Technology:情報通信技術)の側面から支えているのがインフォマティカの「Informatica MDM」だ。
ハイレベルコンサルティングとマルチドメインMDMが決め手
2013年5月にITRが開催した「IT Trend 2013」コンファレンスでは、サムスンが実践する統合MES(製造実行システム)とInformatica MDMによる、グローバルオペレーションの一元管理の手法が紹介された。
サムスンのICT部門を担っているのは、同社グループ関連企業のサムスンSDSである。かねてからサムスンSDSはMESソリューションを提供しており、同分野で専門知識を持ち、各業種の特性を熟知した社員/パートナー1,500名を擁する。そして先ごろ、同社は自社のMESシステムに「Informatica MDM」を統合し、「Samsung SDS MES empowered by Informatica MDM」というソリューションをリリースした。
同ソリューションは、世界各国に分散する製造拠点の業務効率化を最大化するものである。複数の製造拠点が持つ情報を可視化し、統合された単一のシステムを基盤に、製造プロセスの標準化を実現する機能を提供する。
グローバルに拠点を持つ製造企業は、製造マスタデータ統合による単一視点の確保が不可欠となる
サムスンSDSのMESグループで主席コンサルタントを務めるジニ・シム(JINHEE SHIM)氏は、MDM(マスタデータ管理)にインフォマティカの製品を選択した理由について、以下のように語る。
サムスンSDS MESグループ、主席コンサルタントのジニ・シム(JINHEE SHIM)氏
「まず、コンサルティングのサービスレベルが高かったことに驚いた。既存プロセスを見直し、改善すべき部分を可視化して、課題を明らかにしてくれた。もちろん、単一プラットフォームのマルチドメインMDMであること、それによりマスタデータを一元管理できるといった点も、大きなアドバンテージだった」
現在、複数のベンダーがMDMソリューションを提供している。しかし、それらの多くはデータ領域ごとに異なるMDMアプリケーションを利用する必要があったり、導入アプローチにビジネスプロセスの大幅な再編が必要で、稼働までに数年を要したりしてしまう。シム氏によると、Informatica MDMはそうした問題が一切なかったという。
Informatica MDMのマルチドメインMDMシステムは、データ統合、プロファイリング、品質管理、マスタデータ管理といったMDMの全要件を、単一のプラットフォームで総合的にサポートする。これにより、コンプライアンス対応やマーケティングの最適化、営業活動の効率化といったビジネスの課題に対し、柔軟かつ効果的に対応できる。また、マルチドメインだからこそできる"スモールスタート"も大きな特長の1つだ。最初に必要な領域で導入し、ビジネスの課題に合わせて規模を拡張していくアプローチが可能であり、コストの面からMDM導入に二の足を踏んでいた企業も、TCOの削減と高いROIが期待できる。
シム氏は、「サムスンは複数の生産拠点で多様な製品を同時に生産し、管理していた。システムを構築する際の課題は、こうした生産拠点の情報を一元管理し、いかに迅速に製品を提供できるかだった」と説明する。
複数の拠点を1つの工場―One factory―として管理し、生産効率を向上させること。そのためのソリューションが、「Samsung SDS MES empowered by Informatica MDM」だったと言える。