Windows Server 2003がリリースされた当時、自社のシステムをクラウド環境へ移行する企業は少数だった。しかし近年、クラウド環境を支える技術基盤は、数段に向上している。急速に変化するビジネスにおいて、短期間かつ低コストでIT基盤を構築できるクラウドコンピューティングは、重要性を増している。
Windows Server 2003のサポート終了はIT基盤を見直す契機
日本ビジネスシステムズでインフラストラクチャー&システムソリューション本部 副本部長兼システムインテグレーション1部 部長を務める笠原哲郎氏
次世代IT基盤として、重要性を増しているクラウドではあるが、「せっかくクラウドを導入したが、想定よりも運用管理の手間かかる」との声はよく聞かれる。自社の業務に最適なクラウド環境を構築するためには、既存システムとの連携、運用の効率化、セキュリティの確保など、さまざまな課題をクリアしなければならない。こうした課題を解決するには、実績のあるシステムインテグレーターのサービスを活用するのが得策だろう。
日本ビジネスシステムズ(以下、JBS)は、マイクロソフト製品を中心とした、情報系インフラの構築、アプリケーション開発、システム保守・運用までを包括的に提供する独立系システムインテグレーターである。同社でインフラストラクチャー&システムソリューション本部 副本部長兼システムインテグレーション1部 部長を務める笠原哲郎氏は、「(今回の移行が)単にOSのアップグレードという位置づけでは、企業にとってのビジネスメリットは少ないです。Windows Server 2003のサポートの終了は、自社のシステム運用を見直し、運用の負荷軽減と、業務効率を向上させる"契機"だと考えていただきたい。特に、新しいクラウド環境に切り替えるチャンスです」と語る。
JBSではWindows Server 200サーバ移行ソリューションとして、「クラウドへの移行」「クラウド+オンプレミスへの移行」「オンプレミスへの移行」「Windows Server 2003 の延命」の、4つのシナリオを用意し、顧客の環境にあった最適な移行を支援している。サポート終了まで1年を切った。すでに移行プロジェクトを進めている企業も、サポート終了期限までにすべての移行が難しい企業も、ぜひ参考にしてほしい。
パターン1:すべての環境をクラウドへ――IaaS、PaaS、SaaSへの移行
クラウド基盤のメリットは、短期間かつ低コストでIT基盤を構築できるだけなく、IT基盤の管理をクラウド・サービス・プロバイダーに任せられる点である。専任のIT管理部門がない中堅小規模企業にとっては、有力な選択肢だろう。
クラウド・サービスは、IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)SaaS(Software as a Service)の3つに大別される。
IaaSは、 CPU、メモリ、ネットワークといったハードウェアリソースを包括的に提供する。一方PaaSは、IaaSに加え、OSやミドルウェア、管理ツールも包含したサービスだ。両者の代表的なサービスとして、「Microsoft Azure」「Amazon Web Services」が挙げられる。またSaaSは、特定の業務に特化したアプリケーションを、ブラウザ経由で利用できるサービスである。「Office 365」「Dynamics CRM」などが挙げられる。なおJBSでは、Office 365導入支援サービスや、Dynamics CRMに関する導入/運用支援サービス、Microsoft Azureソリューションなどを提供している。
パターン1/すべてのIT基盤を「Microsoft Azure」「Office 365」「Dynamics CRM」などに移行する。大幅なコスト低減を実現したい企業は、一考の価値があるだろう。