運用自動化は「働き方改革」につながる
――昨今の働き方改革の文脈でも自動化は必要とされている、ということでしょうか。
石原 ネットワンでも「働き方改革」のためのワークスタイル刷新に取り組んでいますが、これはネットワークの知識があるからこそ実現できたという側面があります。技術的な知識もそうですが、「ネットワークでつながっているものは相互に影響を与え合う」という認識が大切。それはIT機器だけでなく、組織や個人にも言えることだと思います。
例えば「働き方を改革する」という目的でVDI(仮想デスクトップ基盤)を使うにしても、普段は情報システム部門とは直接的な関係がない総務や人事などの部門も巻き込まなくてはなりません。テレワークやフレックスタイムの導入などは社内規定に関わることですからね。さらには実際にVDIを使うエンドユーザーと管理者側の両方の意見を反映して、それをもとに経営層向けにプレゼンしたりする必要があります。エンドユーザーが快適でも、運用する側が辛くては働き方改革とは呼べませんから。それと同じく自動化などの大きい話では、エンドユーザーと運用者、両方の課題を聞き出して解決する視点が大切だと思います。
奈良 自動化によって解決可能な現場の課題はたくさんあります。しかし、導入の判断をする管理職と実務を担う現場の認識に乖離があるように感じます。現場で「できることから一つずつ自動化していこう」と考えていても、管理職の思い描く自動化の理想が大きすぎると、なかなか具体的な検討まで進みづらいのではないかと思います。
能登 あるべき姿の描き方が現場と管理職、経営者で異なっているということですね。
石原 そうです。情報システム部門の働き方を改革しようとすれば、自動化は着実に普及すると思います。
能登 間違いないです。コンセプト的にはすごくいい。
石原 ネットワンの役割は「お客様が自動化や全体最適へ向かうための"とっかかり"を提供すること」だと思います。ネットワンがお客様に必要な"大きい絵"を描いて提供することや、提案段階での「お客様側の現場担当者が社内説明を円滑に進めるためにサポート」が必要だと考えています。
自動化を実現するための「4つのプロセス」
――ユーザー企業がネットワンに期待しているのは、そういった"大きい絵"を実現するためのロードマップをぱっと見せて、「御社はここから始めましょう」と言ってもらえるなど「背中を押してもらえること」ではないでしょうか?
能登 ロードマップという点では、普段から4段階のプロセスでご説明しています。先ほども少し話が出ましたが、「『自動化』の実現をゴールとする」「自動化に取り組むには『標準化』ができていることが前提」「標準化するには『システムリソースの共通化』が必要」「それより以前に『システムリソースを共通化できていない段階』がある」ということで、システムリソースを共通化できていない段階がスタート地点です。
この4段階のプロセスに当てはめて、「御社は現在このステージにいます」と示し、「まずはこの取り組みをしましょう」と話をします。
石原 最近は、ネットワークの話をしていても、最終的にネットワークの話だけで終わらなくなることが増えています。お客様のご要望にお応えするために、ネットワンも日々スキルセットを拡大していて、提案力を上げることに注力しています。
阿部 クラウドシステムの開発・販売に特化した子会社、ネットワンコネクトを新たに設立し、NSXや「Arista CloudVision」などをパッケージ化したソリューションも発表しました。お客様にとって、導入・運用がしやすくなるとともに、ネットワークの仮想化から自動化までスムーズに提供できるようになります。
能登 とはいえ、自動化は“手段”にすぎません。真に価値があることは、コスト削減や運用工数削減によって、「他の作業に取り組める時間を増やすこと」です。その価値の実現のために、われわれがどうアプローチしていくかが重要だと感じています。
スキルセットの拡大も含め、われわれが果たさなくてはならない役割は大きいと思います。ネットワーク仮想化や自動化の推進を通じて、お客様にとってより良いパートナーとなれるよう邁進していきます。