【事例】英国Softcat社のCloudHealthを活用した自社サービス
CloudHealthを自社のサービスとして提供している好例が、日本と市場環境が近いとされる英国にすでにある。大手ITインフラプロバイダーであるSoftcat社の「クラウドインテリジェンスサービス」が、それである。
このサービスは同社を通じて契約されるMicrosoft AzureやAmazon Web Servicesで提供されるサービスの一部として提供され、顧客は組織内すべてのパブリッククラウド使用に関する自動レポートを受け取ることができる。また、リスクのある領域を特定して業界のベストプラクティスを推奨するなど、CloudHealthの機能を活かしたサービスを提供している。
このサービスにより同社は、競合他社との差別化に成功し、クラウド管理プロバイダーとしての存在感を高めている。パブリッククラウドでの運用経験不足のために、適切にサービスをコントロールすることができず「予想よりもコストが高すぎる」「変更のタイミングが判断できない」といった悩みを持つユーザーに貢献しているわけだ。
Softcat社のようにCloudHealthの製品自体を顧客に提供することも可能だが、CloudHealthの利用はSIerのみが行い、オリジナルサービスの裏側で動いているツールとして活用しているケースも少なくない。例えば、各種レポートの作成やコスト最適化、セキュリティ改善案をCloudHealthで自動的に作成することで、提案の精度向上に加えてSIer自身の工数削減も可能になり、顧客とのコミュニケーションを行う時間を増やすことができる。その結果、より顧客満足度が高まり、長期的な関係構築に役立つといえる。SIerがもともと「セキュリティ」や24時間365日の「サポート体制」といった強みを持っていれば、それを活かして一層のアピールポイントにすることもできるだろう。
SIerのクラウドシフトへの挑戦を支援するネットワールド
クラウドサービスの差別化戦略は、「サービスの充実」と「コンサルティング」どちらかの方向性で進むことになるだろう。SIerのビジネスモデルは人が動いて利益が生まれる構造だが、それだけではクラウドファースト/マルチクラウドの時代に取り残されてしまう。
Softcat のように、SIerとして培ってきたノウハウや資産を活かしてMSPのサービスを強化し、クラウドシフトへの道を拓くことが重要と言えるだろう。
ネットワールドでは、VMwareのパートナープログラム「VMware Cloud Provider Program」でアグリゲータ契約とMSP契約を締結。クラウドサービスとCloudHealthを熟知する立場でコンサルティングサービスも提供している。MSPのオペレーションフローや各種運用ドキュメントの準備支援も行っている。SIerのビジネスポートフォリオの見直しや強化を検討中なら、ぜひご相談いただきたい。