製造 … 品質管理/改善のエコシステムの中核にHadoop
~社内外のあらゆるデータを収集/蓄積できる基盤が品質を担保する
ビッグデータというと、どうしても分析のほうに注目が集まりがちだが、ビッグデータの活用において最も重要で、そして最もやっかいなのが最初のステップであるデータを収集/蓄積するという点だ。逆にここをおろそかにしては"ビッグデータを活かして売上や利益を増大させる"というビジネスプランはただの絵に描いた餅になる。
大量の情報が、あらゆる場所から発信され、本社に入ってくる
ここで紹介するのはグローバルでも多くの顧客をもつ大手自動車メーカーのC社の事例だ。製造業、とくに自動車のような人命にもかかわる製品には、つねに一定レベル以上の品質保証が求められる。もし製品に問題があれば企業責任を問われ、社会的な問題に発展しかねないからだ。そこでC社では、製品の品質に関連するあらゆる情報を社内外から収集/蓄積し、クレームへの迅速な対応を可能にする品質保証のマネジメントシステム構築に乗り出す。
このシステムはデータの絶対量が多いことが前提条件となる。そのデータには、C社の製品に関するありとあらゆる情報 - 数年に渡る顧客からの直接的なクレームデータだけではなく、販売店やディーラー、製造工場やコールセンターといった関係者から寄せられた声、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを通した消費者の意見なども含まれる。こうしたデータは、社内のデータベースに格納されているものもあれば、外部のサーバにテキストデータとして存在しているものもある。どんな内容でも、どんな形態でも、最適な解を導き出すためにデータの絶対量が多いことが欠かせないというのがC社の主張だ。
ここでNSSOLからシステムの中核に据えるべき基盤ソリューションとして提案されたのがHadoopだ。膨大で多様な形態のデータを扱うには、従来のRDBMSではどうしても無理が生じるが、Hadoopであれば、導入コストやスケーラビリティの面からもこうしたデータの収集には最適だといえる。何より、これまで社内外にばらばらに分散していたデータを、品質保証という目的のもとに集約することを可能にする基盤はHadoop以外に見当たらないというほうが正直なところだろう。Hadoopディストリビューションには、エンタープライズ企業での利用を前提にした改善や機能強化が図られているCloudera社のCDHを選択した。
C社はNSSOLの導入支援を受け、Hadoopをベースにした品質保証のマネジメントシステムを構築したことで、その原因をすみやかに追及、自動車の品質低下にかかわるインシデントを製造工程の初期段階から検知することが可能になったとしている。顧客からのクレームに対してもその対応時間を数千時間単位で削減できているという。もっともこのシステムは作って終わりではない。収集/蓄積すべきデータは日々増え続けており、分析のためのアプリケーション開発もニーズに応じた改善が必要となる。システム導入後、C社は経営層が利用するモバイルデバイスによる分析アプリケーションの開発を相談しているが、こうした導入後のサポートもワンストップで行うのがNSSOLのビッグデータソリューションの強みといえる。
改めて考えよう--現場にHadoopが入ったら…
ここまで3つの業種について、「現場にHadoopが入ったら…」との観点から、今まで見えなかったビジネスの可能性や解決法を提案してみた。あらゆる業種において、データとの対峙が生み出す新たな戦略立案は可能なはずだ。本稿で取り上げたHadoopディストリビューション「Cloudera’s Distribution including Apache Hadoop(CDH)」に関する資料は、下記リンクよりダウンロード可能となっている。ぜひ参考として頂きたい。