レッドハットのノウハウを凝縮した問題予兆の分析サービス
一方、Ansibleは、運用管理プロセスの自動化ツールであり、自動化の範囲を段階的に広げていける点を大きな特徴とする。そして、当然ながら問題は発生しない方が良いものでありますから、Insightsでエラーを未然に検知することで対処してきます。
また、Insightsは、レッドハットが2016年3月にリリースした予測分析のツールであり、SaaSとして提供されている仕組みだ。そのサービスを用いることで、システム上のエラーを未然に検知・回避することができる。
モリス氏によれば、Insightsの予測分析には、レッドハットが長年にわたるLinuxのサポートを通じて培ってきた問題解決のノウハウが反映されているという。そのInsightsでは、ユーザーのシステムの情報を収集し、それを機械学習のエンジンで分析、問題予兆を検知した際には対応策を提示する。これにより、ユーザーは問題に対するプロアクティブな対応・対処が可能になり、ITシステムのダウンタイムを低減することが可能になるという。
「市場には同種のツールも存在しますが、Insightsではより深い分析を行うのが特徴で、シンプルな問題のみならず非常に複雑な問題にも対応します」と、モリス氏はInsightsの優位性を訴え、次のような説明を加える。
「例えば、OpenSSLのように広く普及しているソフトウェアに脆弱性が発見されたような場合でも、その脆弱性の影響を受ける対象をすみやかに洗い出すことが可能です。加えて、Insightsは、非常にレアなバグにも対応しており、『特定バージョンのLinuxカーネルと特定のRAIDカード、特定バージョンのBIOSを組み合わせると、180日ごとに強制的な再起動がかけられる』といった問題も識別することができるのです」
OSSで企業ITをより使いやすく
上の記述から察せられるとおり、SatelliteやCloudForms、Ansible、Insightsは、いずれもITの運用管理に必須のアイテムではない。ただし、運用管理プロセスの一層の効率化やスピードアップ、さらには簡素化には、不可欠な要素と言える。
「実際、仮想マシン(VM)やコンテナ技術の使い始めの段階では、多くのユーザーがRed Had OpenShift Container PlatformやRed Hat OpenStack Platformに備わっている管理機能を使うはずです。ただ、VMやコンテナ技術、さらにはクラウドの活用を進めるうちに、ユーザーは必ず運用管理プロセスの一層のスピードアップや効率化を求めるようになり、そのためのソリューションを欲するようになるはずです」とモリス氏は言う(図2参照)。
図2:クラウドへの移行を管理するレッドハットの運用管理ソリューション
※クリックすると拡大画像が見られます
確かに、プラットフォームの規模が大きくなれば、VMやコンテナの運用管理を自動化したいと考えるようになるのが自然な流れだ。

「とりわけ、コンテナは企業での採用が急ピッチで進み、その数が一挙に膨れ上がる可能性があります。そうなれば運用管理の自動化ニーズはより高まるはずですし、それと併せて、多数のコンテナのガバナンスやセキュリティ、可用性をどう担保していくかといった問題も大きくなるはずです。そのようなときに、InsightsやSatellite、Ansibleは課題解決のすべとしてきわめて有効に機能するのです」(モリス氏)。
また、コンテナはDevOpsの環境を形づくる中核のテクノロジーとしても注目を集めており、DevOpsの普及と連動してコンテナの活用が進むと目されている。
「この流れの中では、Ansibleが威力を発揮するはずです。というのも、Ansibleを使うことで、開発者が用意したコンテナを運用管理担当者が容易に展開することができ、開発と運用との連携がより強化されるからです」
さらに現在、仮想化やクラウドのプラットフォームが企業内のさまざまな部門で利用されるようになり、部門ごとの要望を満たしながら、全体のガバナンスや運用の効率化をどう図るかといった課題も多く発生しつつある。
「こうした課題は、クラウドの活用がさらに進むことで深刻度を増しますが、CloudFormsの採用によって解決を図ることが可能です。CloudFormsを用いれば、ハイブリッド環境全体が管理できますし、新しいクラウドを追加した際にも、それらに誰がアクセス権限を持つのかといったところまでを管理することができるからです」と、モリス氏は説き、こう話を締めくくる。
「今日、多くの企業がITに俊敏性を強く求めていますが、それには開発と運用の両輪がともに俊敏性を高める必要があり、その実現に向けて、レッドハットでは今後もオープンソースソフトウェア(OSS)を駆使して、企業ITのフリクションレス化を推進していきます。近年の企業ITの変革は大半がOSSを起点に巻き起こっており、OSSの世界ではユーザーにとっての使いやすさを追求したツールの開発が目立つようになっています。このような動きがさらに広まっていけば、より使いやすいITが多くの企業に行き渡るものと確信していますし、レッドハットとしても、そうした流れを加速させたいと考えています」