日本でも本格展開を開始、レッドハットの構成管理ツール「Ansible」

実行環境「Ansible Core」と組織としての運用をサポートする製品「Ansible Tower」

 レッドハットは2015年にAnsibleの開発元を買収し、Ansibleを自社の製品とした。実行エンジンであるAnsible Coreはオープンソースとして提供する一方、エンタープライズ向けのプラットフォームである「Ansible Tower」を製品として販売、関連するプロフェッショナルサービスも日本を含む各国で提供している。

 「Ansible TowerはAnsible Coreの管理サーバのような存在です。複数のPlaybookを同時に投入した際にも整合性を保つことができるほか、運用にまつわる証跡を管理することで監査にも対応するコンプライアンス機能を実現、サービスログイン用の鍵を管理してオペレーターやマネージャーの権限分離も可能、さらにダッシュボードで運用状況の可視化も行います。これらの機能により、運用のPCDAサイクルを回していくことが可能となるのです」(平氏)

 例えばインフラ・アプリケーション・コンテンツなどの各チームにまたがる作業は、手動での運用であれば、あるチームの担当作業が終わったら次の作業を担当するチームに連絡して引き継いでいくことになるが、それぞれの引き継ぎには待ち時間などで時間のロスも多い。Ansible Towerなら、アプリケーションチームが与えられた権限の範囲内でインフラチームの手を借りずに実行環境を作り、その結果や証跡をインフラチームやマネージャーが確認する、といったセルフサービス化も実現できるため、運用上の安全を担保しつつ迅速性を向上させることが可能だ。

 「デジタルトランスフォーメーション時代の今、どこから新たなライバルが登場してくるか分かりません。しかも、その新たなライバルは破壊的革新をもたらす可能性も高い。そんな中で企業が生き残っていくためには、自動化を積極的に取り入れて『守りのIT』、つまり保守・運用にかかる費用や人的負担を減らし、より多くのリソースを『攻めのIT』に転換すべきです」と平氏は強調する。

 Ansibleは、Ansible Coreも含めると全世界で600社を超える組織が利用している。その多くはグローバルに事業を展開する大企業で、製造業や金融業、通信・インターネットサービスなど様々な分野に及ぶ。NASA(米国航空宇宙局)でも、複数クラウド上で運用している多数のアプリケーションの管理にAnsibleを活用、例えば「nasa.gov」サイトの更新作業は導入前に1時間以上を要していたのが5分未満、同サイトのアップデートパッチ展開は数日かかっていたのが45分ほどへ短縮されるなど、多大な効果を発揮している。

レッドハットのAnsible関連の取り組み

 レッドハットが買収後から国内企業からのAnsibleの引き合いも多い、と平氏は言う。

 レッドハットでは製品の販売やプロフェッショナルサービスの提供はもちろん、「当社日本法人でのAnsible関連ビジネスは2016年末から開始しましたが、その前から多数の問い合わせをいただいていました。まだシェア調査が行われていない分野なので、Ansibleのポジションについて確実なことは言えませんが、構成管理ツールを検討するユーザーにとってみればサポート体制も重要な要素だと考えており、当社のように日本法人の体制が整っている点も評価されたと考えています」

 レッドハットでは製品サブスクリプションの販売やプロフェッショナルサービスの提供はもちろん、Ansible関連の啓蒙活動などにも力を入れ始めている。平氏をはじめとするエバンジェリスト的な人物がAnsible関連の書籍を出したり、セミナーでAnsible活用について講演を行っており、毎回セミナー会場がすぐに満員になるほどの反響があるという。

 「Ansibleの活用は、ユーザーによってさまざまな形が考えられます。例えばインストール作業にのみ適用するなどの形で、今までの運用にプラスして使うことも可能です。金融や通信といったミッションクリティカルな大規模ユーザーでは、トラブル時などのクラスタ縮退運用から復帰させる手順を自動化させる、といった作業にも役立ちます。Ansible Coreからの利用を考えている方でも、当社プロフェッショナルサービスで支援することが可能です。Ansibleは、Playbookを充実させていくことで自動化の範囲を徐々に拡張でき、Ansible Towerによる権限付与やチーム間コラボレーション、そしてコンプライアンス対策などへと発展させていくことができます」(平氏)

レッドハット
テクニカルセールス本部
パートナーソリューションアーキテクト部
ソリューションアーキテクト
平初氏

レッドハット株式会社で仮想化技術のLinux KVM、OpenStack、およびGlusterの普及、啓蒙活動に従事し、最近ではパートナーイネーブルメントを担当。
著書:「できる PRO Red Hat Enterprise Linux 7」(インプレス)、「Ansible徹底活用ガイド」(インプレス)、「Ansible徹底入門」(翔泳社)、「100人のプロが選んだソフトウェア開発の名著 君のために選んだ1冊」(翔泳社)、「KVM徹底入門」(翔泳社)など

提供:レッドハット株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2017年9月30日
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