「OpenStack Days Tokyo 2017」レポート:NFVの先進的な機能の容易な検証を可能にするOPNFVのApexプロジェクト

OPNFVは、オープンソースでNFVの実装を実現することを目的としたプロジェクトである。レッドハットが主導している、OPNFVのインストーラの一つであるApexプロジェクトについて紹介する。

OPNFVの実装プロジェクト「Apex」を主導するレッドハット


レッドハット
NVFパートナーエンジニアリング
シニアソフトウェアエンジニア
林智史氏

 2017年7月20日~21日の2日間にわたり開催された「OpenStack Days Tokyo 2017」に、レッドハット NVFパートナーエンジニアリング シニアソフトウェアエンジニアの林智史氏が登壇。「OPNFV Apexを使って作るNFVのデモ環境」をテーマに講演した。

 OPNFV(Open Platform for NFV)は、NFV(Network Functions Virtualization)を、オープンソースで実装することを目的としたプロジェクトだ。レッドハットでは、TripleOを利用したOPNFVの実装プロジェクトであるApexを主導している。OPNFVでは、TripleOをはじめ、Compass、Fuel、Jujuという4つのソフトウェア(インストーラ)を提供している。

図:OPNFVディストリビューションの特徴 図:OPNFVディストリビューションの特徴
※クリックすると拡大画像が見られます

 林氏は、「OPNFVで提供されているソフトウェアにより、NFVの先進的な機能を中心に、OpenStack、OVS、fd.ioなどのSDNフォワーディングプレーンや、OpenDaylight、ONOSなどのSDNコントローラをインストールすることが可能で、それらをつなぐプラグインも設定できる。さらに、OpenStackに関しては、必要に応じて高可用性(HA)設定も行うことができる」と語る。

 OPNFVのソフトウェアの特長は、OpenStackやOpenDaylightなど、必要な機能を統合し、機能ごとにパッチも含めたパッケージとして提供されること。OpenStackやOpenDayloghtなどを個別にインストールすることなく、各プロジェクトであらかじめ定義された「シナリオ」を実行するだけで、PoC/デモ向けプラットフォームを実装可能だ。

 シナリオは、SDNに何を使うか、データプレーンに何を使うかなど、インストールするオープンソースの組み合わせで、「os-XXX-YYY-ZZ」のように定義される。osはOpenStack、XXXはSDNコントローラ、YYYは機能、ZZはHAの有無を表す。例えば、「os-odl_l3-fdio-ha」は、OpenStack、OpenDaylight L3、fd.io、HAを組み合わせたシナリオである。

Apexのインストール手順とメリット

 Apexは、RDOとTripleOをベースにOPNFVのプラットフォームを構築するOPNFVプロジェクトだ。RDOは、OpenStackをRed Hat Enterprise LinuxやCentOSで稼働させるためのパッケージングを行うオープンソースプロジェクトのことだ。TripleOは、OpenStackプロジェクトの一つであり、OpenStackのインストーラの一つである。

 Apexの新機能として、全般では、CPUピニングやrt-kvmをサポート、ネットワーク関連では、OVN SDNコントローラのサポートや複数のExternal NetworkのVLANサポート、新シナリオとして、gluon、bgpvpn、fd.ioの追加など。そのほか、networking-odlのバージョンアップ、new NetVirt対応、OpenDaylightのクラスタ対応なども追加されている。

 Apexは、ベアメタル、仮想の2つの環境にインストール可能で、手順としては、(1)導入するシナリオを決定、(2)CentOSをインストール、(3)追加のRPMパッケージをインストール、(4)設定ファイルを修正、(5)opnfv-deployコマンドを実行となる。PoCやデモが終了したら、opnfv-cleanコマンドにより、環境をクリーンアップできる。

 林氏は、「OPNFVのソフトウェアを利用するメリットは、NFVの先進機能を容易に検証できることと、インストールが比較的シンプルなこと。2017年10月にリリース予定のApex Euphratesでは、ARMのサポート、SFCのサポート、Ansibleを使用したデプロイ、OPNFV内のCIのリライトなどを予定。その後のリリースでは、各種サービスのコンテナ化、tripleo quickstartによるインストールの簡素化などが予定されている」と話している。

提供:レッドハット株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2017年11月30日
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