データ活用のゴールは可視化ではない!最高のアクション成果を生み出すことだ!~いま求められるBIのあり方とは?~ - (page 3)
セルフサービスをマネージする
以上のとおり、セルフサービスBIソリューションから広がる世界にはさまざまな可能性がある。ただし、そのソリューションを全社的に展開しようとした場合、1つの課題が頭をもたげてくる。それは、データ活用のガバナンスをどう効かすかだ。
「経理の担当者に営業管理の数字を見せても、データをどう見るか、どう扱うかでとまどうケースが多いかと思います。このように、自分たちでは扱い方や背後の意味が分からないデータを使って分析を行っても、価値ある情報を引き出せませんし、それどころか誤った判断や意思決定・アクション──つまりは、ミスリードを引き起こしかねません。それを避けるためには、現場の業務内容に応じて使わせるデータと使わせないデータをIT部門で適切に制御(マネージ)することが必要とされるのです」(津田氏)。
例えば、営業担当者が作成する売上予測データは、担当者ごとの性格の違いによって、それぞれの見通しにバラつきが出る。そのため、それらのデータの見方・扱い方を知らない他部門の担当者がフォーキャストデータをそのまま用いると、実態とはかけ離れた予測値が出来上がり、津田氏の言う"ミスリード"につながる。それを避けるには、一元的な運用管理によって、データ活用にガバナンスを効かすことが不可欠というわけだ。
また、担当者の業務内容によって「見せる必要のないデータ」、あるいは「見せるべきではないデータ」もある。そうした「見せる」「見せない」を適切にコントロールするためにも、一元的なデータの運用管理が必要になる。
さらにデータ活用のガバナンスは、データの信頼性・整合性を確保するうえでも重要だ。現場にデータの分析を任せた場合、分析対象のデータが各所に分散してしまい、各部門・各担当者がそれぞれ異なる更新日時のデータを用い、分析を進めてしまうといった問題がよく発生する。これでは、それぞれの分析結果に整合性が確保されないばかりか、先に触れたミスリードも発生させかねない。したがって、各現場が分析に使うデータは常に最新で、時制が一致しており、矛盾や誤りがないことが重要であり、そのためにもIT部門で適切にマネージすることが必須と言えるのである。
このようなデータ活用のガバナンスを実現すべく、SASでは「マネージドセルフサービスBI」のコンセプトを提唱している。このコンセプトに基づく同社のセルフサービスBIソリューションでは、サーバによってメタデータを集中管理し、一定のルールの下でデータに対するアクセスコントロールや開示・非開示の制御をかけるアーキテクチャを採用している。これにより、ガバナンスを効かせた状態で、全社的なデータ活用を推進していくことが可能になる。
周知のとおり、企業を取り巻くビジネス環境は目まぐるしく変化しており、顧客の要求も多様化し、また大きな変化を繰り返している。そうした中で、企業の現場力を高めること──言い換えれば、ビジネスの現場に変化や課題への即応力を身につけさせたり、業務の品質を継続的に高めさせたりすることの重要性が改めて唱えられている。
この重要課題を解決するための第一歩が、セルフサービスBIソリューションにほかならない。その全社展開をデータ活用上のリスクを排除しながら推し進め、企業全体の現場力を高めていく──。そんなアプローチが、企業競争力強化の現実的で有効な手段と言えるのではないだろうか。
プロフィール

津田 高治(つだ たかはる)
SAS Institute Japan株式会社
ソリューションコンサルティング本部
情報基盤イノベーショングループ担当部長
米国の大学院にて経済学修士を取得した後、2001年よりアナリティクスに携わる。 流通・保険・メディア・製造など各種業界でアナリティック・コンサルティングを経験した後、SAS Institute Japanにてソリューション・コンサルティング シニア・マネージャー(現職)として日夜アナリティクスのお客様適用に研鑽を積む。

