2025年にキャッシュレス決済の比率を現在の倍以上に引き上げる経産省のキャッシュレスビジョン、銀行の自社デビット発行、QR決済の拡大などリテール決済市場が注目を集めている。データの活用による新たなビジネスモデル創出の動きが強まる中、決済データに注目した企業のリテール決済市場への参入の動きが大きくなっているのだ。こうした動きに対応、カード業界での圧倒的なシェアとノウハウをもとに、様々なリテール決済サービスを提供するのがTISのリテール決済ソリューションのトータルブランド「PAYCIERGE(ペイシェルジュ)」だ。
決済データに注目した多くの企業が参入し始めているリテール決済
今、リテール決済が大きな注目を浴びている。経産省は2025年のキャッシュレス決済比率を2015年の18.4%から40%、135兆円へと引き上げるキャッシュレスビジョンを打ち出している。そうした中、クレジットカード会社や交通IC事業者に加えて、銀行によるブランド付きデビットカード発行や、インバウンド対策として中国の「アリペイ(支付宝)」や「WeChatPay (微信支付)」に代表されるQR決済の利用が広がった。それに呼応するように、LINE PayやPayPayなどのQR決済(スマートフォン決済)の動きも急速に拡大している。
TIS株式会社 サービス事業統括本部
ペイメントサービスユニット ペイメントプラットフォームサービス部
エキスパート 関 雄太氏
クレジットカード・ネットワークを使うと、加盟店手数料やブランドフィーが発生することから、特に零細規模の小売業はクレジットカードの利用に入っていけない。一方、中国などではQR決済で、クレジット・ネットワークを介さずにインターネットで直接決済が可能になりつつあり、日本でも手数料ゼロという決済ビジネスが始まっている。「カード会社は長年、決済手数料で利益を得るビジネスモデルで事業を展開してきましたが、手数料収入でもうかるビジネスではなくなりつつあります。そうした中で、金融機関をはじめ、リテール決済に取り組もうとしている企業は、決済をコミュニケーションツールのひとつとして利用、そこで得られるデータを使って、新たなビジネスモデルを創り出していくことを目指しています」とTIS株式会社 サービス事業統括本部 ペイメントサービスユニット ペイメントプラットフォームサービス部 エキスパート 関 雄太氏は語る。
こうして、スマートフォンの普及や様々なデータの活用を計算に入れた新たなビジネスモデル創出の動きが強まる中で、決済データに注目した様々な企業がリテール決済市場に参入する動きが活発になっている。「以前であれば、私たちのお客様はクレジットカード会社などの情報システム部門で、RFPにもとづいてシステム改修などの提案を行っていました。ところがリテール決済への参入の動きが活発になっていることから、最近では営業などの現場部門が多くなり、時間をかけずにリテール決済サービスを利用したいというニーズが高まっています」(関氏)。
クレジット業界での実績を元にリテール決済ソリューションを提供
TISは約40年にわたって、ITサービス提供を通じて、リテール決済業界の顧客企業とともにキャッシュレス決済の拡大に努めてきた。クレジットカードの基幹システムに強みを持ち、クレジット取扱高主要ランキング25社のうち10社と取引、そのシェアは国内決済の約半分を占めている。
従来、TISは顧客企業の要求に応じてシステムを開発するSI事業を中心にビジネスを展開してきた。しかし、最近では自ら事業主体となって、顧客企業が使いたい時に利用料を払って利用してもらうサービス型のビジネスモデルへの転換を推し進めている。そうした中、リテール決済を必要とする企業にサービス型で提供するのがリテール決済ソリューションのトータルブランド「PAYCIERGE(ペイシェルジュ)」だ。「これまで長年、クレジットカードの基幹システムの構築と保守運用を行い、決済システムのノウハウと多数のエンジニアを擁するTISだからこそ可能なサービスです」(関氏)。
そのコンセプトは暮らしの中のさまざまな場所にキャッシュレス決済の便利さがひろがる「新しい社会」を目指すことだ。カード業界で圧倒的なシェアを持つTISの先進的な技術と豊富なノウハウをいかした、信頼できるシステムと安全な運用を組み合わせることで、利用企業のビジネスの成功を幅広くサポートする。
PAYCIERGEは先払い(プリペイド)、即時払い(デビット)、後払い(クレジット)の支払い手段すべてに対応し、デジタル口座時代の安心・安全な決済プラットフォームを提供する。そして、キャッシュレス化に向けた社会課題を解決するために、積極的に新しいサービスを創出している(図1)。ひとつのサービスを提供して終わりではなく、その先にあるサービスの拡充や新たなビジネス展開など広い視野と長い目を持って、顧客企業の先にある社会課題を解決していく。「最近では、デビット、プリペイドサービスに続き、クレジットSaaS型のサービスを開発、あらゆるタイプのデジタル口座に対応しました。また様々なAPIの開発や不正利用を防ぐシステム、トークンサービスをベースとしたウォレットサービスによる安心安全なスマホ決済も実現しています」(関氏)。
※クリックすると拡大画像が見られます