モバイルもPCも同じ体系で管理したいというニーズ
IDaaSのメリットは、クラウドサービス利用を統制できること、統一されたIDの管理が可能なこと、アクセス元の制限が可能なこと、ログイン画面を統一できることなどだ。これまでクラウドサービスの懸念点と思われていたものが、IDaaSを利用することでむしろ利点になることが大きなポイントだ。
こうしたセキュリティに対する新しいトレンドは、デバイス管理の分野でも起こっている。小さく軽いスマートフォンが普及し、企業で活用されるようになった。しかし、社内ではPC、社外ではスマートフォンといった使い分けを不便に感じるユーザーもでてきている。
他追えば、同じアプリでも、PCとスマートフォンでは表示の仕方が自動的に切り変わる。本来は使いやすさを考えてのことだが、実際には、社外でもPC向けのビューで操作したいというニーズがある。そこで、小さく軽くなったPCそのものをスマートフォンと同じように持ち出して管理できるようにするという動きが進んでいる。
増田氏はそうした動きについて「スマートフォンの管理・利便性を確保し、さらに持ち出しPCの管理もスマートフォンと同じようにできるようにする。こうした仕組みをエンタープライズモビリティ管理(EMM)と呼ぶようになっています」と説明する。
IDaaSとEMMを組み合わせた"デジタルワークスペース"を実現
そこで注目できるのがIDaaSとEMMの組み合わせだ。持ち出したPCをクラウドのIDaaSで管理できるようにすれば、社内や社外といった管理領域の違いはなくなり、統一性を持った管理体系を構築することができるようになる。
こうした管理体系は、セキュリティの向上にもつながる。例えば、WannaCryの感染要因の1つには、アップデートの未適用がある。社外に持ち出したPCでもアップデートが常に適用されるような環境を整備しておけば、WannaCryのような脅威にも対抗できるわけだ。
そのうえで増田氏は、IDaaSとEMM、さらに仮想化技術を組み合わせ、企業ITのセキュリティをより合理的に対策できるアプローチとして「VMware Workspace ONE」があると紹介。VMware Workspace ONEを利用することで、デスクトップ、スマートフォン、タブレットなどの任意のデバイスから、時間や場所を問わずにあらゆるアプリケーションにセキュアにアクセスできるようになる。
最後に増田氏は、「そうしたデジタルワークスペースを実現することで、クラウドやモバイルの価値を高め、今までよりもさらに便利な働き方ができるようになります」と訴えた。