特に2級の団体受検では、電子・機械分野をはじめとする製造業を中心に20名以上参加した団体が9団体にのぼるなど団体受検規模が拡大しているほか、前回に引き続き研究開発・エンジニア部門からの受検が顕在化しました。個人受検ながらも同一企業から最大で100人以上受験している企業もあり、知財人材育成の新たな指標として、本検定が企業を中心に浸透している結果となりました。また、電子・機械分野などの製造業に加え、放送・情報・通信業やその他専門のサービス業といった知財を“活用する”業種からの受検者も増えるなど、知財スキルを求める人材は広がりを見せ始めています。
<企業の研究開発/エンジニア部門、教育機関が積極的に2級を受検>
2級は、知財分野の実務経験者のみならず、研究開発/エンジニア・企画・営業・広報など幅広い層を対象としており、企業などの現場で実際に起こった課題を題材に、「特許・実用新案」「商標・意匠」「著作権」「民法・不正競争防止法・独占禁止法など」と大きく4つの分野から出題され、それら課題に対する“問題発見能力”を評価します。
申込者数は前回比485人増の3,037人(受検者数:2,791人)、合格率は前回の44%を上回る47.2%となり、計1,318人が合格しました。
特に、団体受検申込者数が前回非275人増の629人となるなど、全体として増加傾向が続いています。同様に団体受検における職業割合でも、専門家である知財部門出身の受検申込者が前回の62.8%から38.6%へ比率を下げる一方、研究開発/エンジニア部門が24.3%(前回:20.6%)を占めました。また、学生についても大阪工業大学・知的財産学部では学生が100人規模で受検したのをはじめ、21.3%(前回:6.4%)を占めており、教育機関での知財教育として本検定は活用されはじめています。今回より、開催規模を東京・大阪から札幌・岡山・福岡を含む5会場へと拡大したことで、都道府県によっては地方の事業所に勤める実務経験者を中心に、新たに2級へチャレンジする受検者も見受けられました。
<知財実務のプロとして認定‐「1級」は20名、「準1級」は129名>
1級(特許)は、企業の知財部門・法務部門などに所属する実務経験者を対象としています。出題範囲も、「国内出願実務」「外国出願実務」「知的財産契約・係争実務」「その他」と特許関連業務に特化したもとなっており、企業などの現場で実際に起こった各業務の課題を題材に「問題解決能力」を評価します。各業務内容とそれぞれの業務に必要な知識(技能)を実務に即して体系化・定義し、特許関連業務全般を円滑に遂行できる知財実務のプロフェッショナルとして、1級と準1級(A~Cの3段階)で認定しており、専門人材のキャリア形成への活用などが今後見込まれています。解答には高度な専門知識と経験が求められ、弁理士資格保有者や弁理士試験経験者もチャレンジしています。申込者数は369人(受検者数:346人)、合格率(認定)は前回の4.8%を上回る5.8%となり、計20人が合格しました。準1級/評価Aの合格率は10.1%で35人、評価Bは8.4%で29人、評価Cは18.8%で65人となっています。
<知財スキルが求められる人材の多様化>
産業界では知財の流通促進による新たなビジネス創出を目的としたサービスが次々と生まれるなど、知財戦略の重点は、知財の「取得・管理」から「戦略的活用」へと急速にシフトしており、知財関連業務とそれを支える人材は多様化しています。また、不正競争防止法の改正を受けて、専門部署のみならず企業全体での営業秘密の管理強化も求められており、知財関連情報をはじめ機密情報や社内ノウハウの取扱いへの高い意識と素養は、企業人全般に必要とされています。
知的財産教育協会では、今後もこうした多様化する知財人材に対応し、本検定制度を通じて幅広く知財知識の啓蒙と普及に努めていく方針です。
なお、次回の「2005年第2回知的財産検定」は、11月6日(日)に実施予定です。申込は8月から開始の予定。
中間法人 知的財産教育協会について
平成14年12月設立、平成15年8月に中間法人格を取得。「知的財産戦略大綱」(2002年7月)に基づいて制定された「知的財産基本法」第21条及び第22条の趣旨を受け、知的財産に関する能力検定制度を通じた知的財産に関する知識の普及及び啓蒙活動を行いつつ、同時に知的財産に関する専門知識を有する人材の養成及び資質の向上を図り、知的財産立国を目指すわが国の政策の一助となることを目的としている。
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