~東京大学とプロメテックの共同研究の成果を製品化~ GPU コンピューティングをより簡単に利用可能にする新ライブラリを販売開始 マルチGPU にも対応、エンジニアリング用途に最適

株式会社サイコム

2010-08-23 00:00

日本 GPU コンピューティングパートナーシップ(宮城県仙台市、代表理事:飯野匡道、以下「G-DEP」)は、大学・研究機関及び製造業R&D部門を主対象として、プロメテック・ソフウェア株式会社(東京都文京区、代表取締役社長:花田孔明)が開発したマルチGPU 対応の反復解法高速化ライブラリ「Prometech MCL」の販売を開始します。 流体・構造・熱・振動・電磁場などの解析を行っている研究者・技術者は、自身のプログラムに「Prometech MCL」を組み込むことで、マルチGPU を気軽に活用して、プログラムを高速化することができます。
これまでGPU で大幅な高速化が達成できているアプリケーションは多体問題・画像処理など、サイエンスやバイオ分野のものが多く、流体解析・構造解析などのエンジニアリング分野ではGPU による高速化はまだ一般的ではありませんでした。
これはエンジニアリング分野でよく使われる有限要素法・有限体積法・粒子法といったシミュレーション手法では、計算中のメモリへのアクセスが不規則になりがちになるため、従来のGPU アーキテクチャでは効率的な処理を行うことが難しかったからです。

プロメテックでは、並列計算研究の第一人者である東京大学・奥田洋司教授との共同研究のもと、NVIDIA 社が科学技術計算の高速化のために新しく設計したGPU アーキテクチャ「Fermi」の特徴を最大限に活かして、メモリアクセスが不規則なシミュレーションを高速化する問題にチャレンジしました。
その結果、従来のGPUでは不得意とされてきた「反復解法」(CG法)の高速化に成功し、NVIDIA Tesla C2050 を3 枚使用して、CPU に比較して最大で10~15 倍速のパフォーマンスを達成しました。
「反復解法」とは、流体解析や構造解析のプログラムに頻繁に出てくる処理で、この高速化が成功したことは、GPU による高速化がサイエンス・バイオ分野ばかりではなく、エンジニアリング分野にも有効であることを意味します。

Prometech MCL の評価版は無料でG-DEP のWeb ページからダウンロードでき、ユーザー自身の流体解析・構造解析などのプログラムに組み込んで、そのパフォーマンスを検証することができます。G-DEP では、エンジニアリングの解析や計算力学の研究に従事している研究者・技術者を対象に、マルチGPU を手軽なアクセラレータとして活用できるようなプロモーション活動を展開して参ります。

【エンドースメント】
「NVIDIA は最新GPU アーキテクチャFermi に完全対応した反復解法高速化ライブラリPrometech MCL が製品化されたことを歓迎します。NVIDIA Tesla C2050 とPrometech MCL の組み合わせは、企業・大学・研究機関のインハウスの解析コードを容易かつローコストに高速化することができます。デスクサイドでの本格的な流体・構造シミュレーションは、研究開発や設計・製造のプロセスに革新とインスピレーションをもたらすことでしょう。」
エヌビディア ジャパン
Tesla Quadro 事業部 事業部長
杉本博史

【GPU コンピューティング】
科学技術計算において、CPU の代わりにGPU を使用して計算を行うこと。詳細は下記のページが詳しい。
■NVIDIA 社 「GPU コンピューティングとは何か?」
(リンク »)
【マルチGPU】
複数のGPU カードを同時に実行させて、計算性能を向上させる方法。コンパクトなPC 筐体の中で高性能な演算を実行できる。一般的なHPC 環境であるPC クラスター等と比較して、デスクサイドでの利用が容易であり、コンピュータの保守作業も簡便になるメリットもある。
【反復解法】
流体や構造のシミュレーションは、数学的には大規模な連立方程式の解を求める問題に帰着できる場合が多い。これを行列の形式で書くとAu=b (A は係数行列、u は未知ベクトル、b は定数ベクトル)となり、反復解法はu を解として求める方法の一つである。流体や構造のシミュレーションでは、このu を求める処理に多大な計算時間を要することが多く、ここを高速化できると、アプリケーション全体の計算時間のボトルネックを解消できる。

【Prometech MCL 詳細情報及び無料評価ライセンスの申込先】
(リンク »)
G-DEP セールスフロント
トーワ電機株式会社 Tel: 022-375-4050
【Prometech MCL ライセンス種別及び価格】
・年間ライセンス 475,000 円/年
・買取ライセンス 1,200,000 円
・教育用年間ライセンス 185,000 円/年
・無料評価ライセンス 30 日間機能限定なしで無料で評価可能
【日本GPU コンピューティングパートナーシップ(G-DEP)について】
■正式名称 日本GPU コンピューティング有限責任事業組合
■設立日 2010年3 月31 日
■所在地 仙台市泉区泉中央3-26-1 (トーワ電機株式会社内)
Tel: 022-375-4050 Fax: 022-375-3770
■URL (リンク »)
■役員 代表理事 飯野匡道 (トーワ電機株式会社 代表取締役)
副理事 藤澤智光 (プロメテック・ソフトウェア株式会社 取締役CTO)
監事 河野孝史 (株式会社サイコム 代表取締役)
■パートナー会社 (順不同、2010 年8 月現在)
・トーワ電機株式会社 (マーケティング、GPU マシン製造、組合事務)
・株式会社サイコム (GPU マシン製造)
・プロメテック・ソフトウェア株式会社 (GPU 向けライブラリ、GPU を活用した流体解析ソフト)
・株式会社フィックスターズ (GPU 向けLinux)
・株式会社ベストシステムズ (GPU 向けコンパイラ、HPC 関連テクニカルサービス)
・有限会社イワタシステムサポート (HPC 関連テクニカルサービス)
・株式会社K&F computing research (GPU 向けコンパイラ)
・日本電計株式会社 (セールスパートナー)

用語解説

■活動概要
G-DEP は、次世代のHPC の大きなトレンドであるマルチGPU やマルチコアCPU といったメニーコアプロセッサを、研究開発や産業の実務で幅広く活用するトータルソリューションを提供することを目的に、GPU コンピューティングやHPC 事業に携わる複数の専門企業がアライアンスを組んだパートナーシップ(組合)です。パートナー会社それぞれの専門技術をユーザーの視点から有機的に統合し、大学・研究機関・民間の科学技術計算ユーザーが先進的なメニーコアプロセッサを縦横に活用できるようなプラットフォームの実現に全力を尽くして参ります。

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