株式会社酒文化研究所
「人気が高まるワイナリー訪問」
昨年度の国内ワイン出荷量は、過去最高の34.4万KLに達しブームの兆しを見せています。実際にワインの増加をけん引しているのは輸入ワインで、全体の7割を占めていますが、国産ワイン、中でも日本産ぶどうを100%使用したワインにスポットが当たってきています。中高級品を中心に欧米での日本のワインの評価も高まっており、国内でもワインガイド、旅行雑誌などでワイナリー訪問の記事が増え、実際に訪問したという人もかなり多いです。そこで今回はワイナリーの見学・訪問の経験や感想などを調べてみた。(※1)回答者は「さけ通信」の読者モニターで、「ほとんど毎日酒を飲む」と言う方が7割、酒のヘビーユーザーであり、酒に関心をもっている方々です。
ワイナリー訪問経験者は7割、ワイン好きは複数回訪ねる
はじめにワイナリーに行った経験を聞いたところ回答者の69%が行ったことがあると回答しました。この比率はワインを飲まない人でも66%と変わりませんでしたが、ワインをよく飲む人は複数回訪問している人が多くみられました(図表(1))。
訪問スタイルは「夫婦・家族で」がトップ
どのようなスタイルで訪問したかと聞いてみると、「夫婦・家族で行った」が56%と最多で、以下「友人と行った」が33%、「団体旅行でいった」が31%となりました。これを飲用頻度の違いによってみてみると「夫婦・家族」「団体」の場合には飲用頻度の違いとはほとんど関係がなく、ワインを飲まない人でもレジャーの一環として訪れていることが伺えます。一方で、「1人で行った」、「複数のワイナリーをめぐり歩いた」はほとんどがワインヘビーユーザー(週に1回以上ワインを飲む)であり、ワインをよく飲む人は趣味的に心おきなくワイナリーを訪問する人も多いことが伺えます(図表(2))。
訪問の目玉は試飲、再訪問意向も高い
訪問しての感想では「いろいろなワインが試飲できた」が69%、「また行きたい」が56%、「醸造施設やワインセラーの見学が楽しかった 」が48%、「そこでしか飲めないワインが飲めてよかった」が46%となりました。やはりワイナリー訪問に試飲は欠かせないようです。「また行きたい」という人が半数近くいることからも訪問の満足度は高そうです(図表(3))。
知名度が高い山梨と北海道の産地
国内のワイナリーやワイン産地でご存知のところを選んでもらった。認知率は、(1)「勝沼周辺のワイナリー群」82%、(2)「十勝ワイン」52%、(3)「サントリー登美の丘ワイナリー(山梨県甲斐市)」37%、(4)「小樽・余市周辺のワイナリー群」34%、(5)「塩尻のワイナリー群(長野県)」23%の順でした。やはり伝統産地である勝沼の知名度は群を抜いていますが、「十勝ワイン」「小樽ワイン・余市ワイン」といった北海道のワインも一定の知名度を持っていました。「サントリー登美の丘ワイナリー」「塩尻市のワイナリー群」はコンテストでの好成績も影響しているのかもしれません(図表(4))。
また、最近ワインマニアの間では話題になることも増えてきた「日本ワイン」(国産ぶどう100%のワイン)という言葉の意味を尋ねたところ理解している人は全体で47%でした。
望まれる幅広い客層への対応
最後にワイナリーにのぞむことをあげてもらったところ、「宿泊施設や公共交通の整備」が多くあげられました。「交通が不便で車でしか行けないところが多く試飲できない」「敷地内に宿泊施設があればじっくりとワインを楽しめる」「旅館と提携して送迎があると便利」などの意見に代表されます。試飲がメインになるだけに運転しての訪問は避けたいようです。
もうひとつは、試飲に供されるワインの種類についてでした。「甘口のジュースのようなワインしか飲めなかった」という不満もいくつかあがっています。ワイナリーにはワインを飲みなれない方から、ワインマニアまでさまざまな方が訪れるという難しさがあります。本格的なティスティングを望む方向けには有料のティスティングコースやセミナーを設定するなど、相手に応じた工夫がこれからは重要になってくるのではないでしょうか。
※ワインヘビー:週1回以上ワインを飲む人 ワインライト:月1回~数回ワインを飲む人 ノン:ワインを飲むのは1年に数回程度
※日本ワイン:国産ぶどう100%でつくったワイン。輸入濃縮果汁や輸入ワインをブレンドしても国内でボトリングすれば国産ワインという表示になるため、近年進められている自主的な表示。2010年の国産ワインと表示されているワインは輸入原料の使用比率が約75%(国税庁)。
■調査概要
調査時期2013年9月2日(月)~2013年9月6日(金)
調査対象酒文化研究所の酒好きモニター(N=1321)
有効回答180(回答率14%)
調査方法インターネットによる自記入式アンケート調査
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