人材こそが競争上の強みとなり得る重要な資産であるということは周知の事実であるが、効果的な「パフォーマンス・マネジメント・プログラム」の設計・運用にあたり、多くの企業が未だに困難に直面している。マーサーが実施した「2013年グローバル・パフォーマンス・サーベイ」おいて、「自社のパフォーマンス・マネジメント制度は全体的に極めて優れた価値を提供する」と回答した企業は、世界中でわずか3%だった。
マーサーのシニア・パートナーであるコリーン・オニールは「今日のビジネス環境及び経済環境は厳しいです。企業は現在のパフォーマンス・マネジメント・プログラムを通じて重要な成果、例えば、従業員を”正しい“ことに集中させ、より高いレベルの成果へと押し上げていくことに苦労しています」。「人材の最適配置(Workforce Segmentation)とイノベーティブなパフォーマンス・マネジメント・プログラムの実行に関してはかなり話し合われていますが、両者を両立できる企業はわずかしかなく、近年このような施策に関する見直しを実施した企業は少数派です」と述べている。
マーサーの「グローバル・パフォーマンス・マネジメント・サーベイ」は、世界53ヵ国1,050超の組織のパフォーマンス・マネジメントのリーダーを主な対象に実施された。従業員数1,000人未満から10,000人超まで様々な規模、幅広い業種の企業がサーベイに参加した。
本サーベイに関する詳細は (リンク ») にまとめられている。また、パフォーマンス・マネジメント・プログラムの強化についてのより詳細な情報は (リンク ») に掲載されている。
パフォーマンス・マネジメントの決定的なドライバー(推進力)
従業員のゴール設定、年末レビュー・ディスカッション実施、パフォーマンス・レーティング使用といった、パフォーマンス・マネジメントにおけるいくつかの共通点に加えて、成功するパフォーマンス・マネジメントの主要ドライバー(推進力)が、マーサーの統計学的分析で明らかになった。この主要ドライバーには、マネージャーのスキル、役員のコミットメント、キャリブレーション(調整)、テクノロジーが含まれる。主要ドライバーの上位にくる“マネージャーのスキル”であるが具体的には、従業員の目標設定、フィードバック、パフォーマンス評価、更に、人材管理に関する重要な意思決定(例:報酬やキャリア開発等)と、パフォーマンスとのリンクづけ等を指し、マネージャーの裁量が問われる。
また、サーベイ参加企業の約1/3が、従業員と率直な対話が持てるマネージャーの能力を伸ばすことは企業全体のパフォーマンスに大きく影響する、と述べている。マネージャーのスキルで最も影響力を持つ2つの構成要素は、パフォーマンスをキャリア開発に繋げるスキルと「SMARTゴール」(Specific – 具体的な、Measurable – 測定可能な、Ambitious but Achievable – 野心的だが達成可能な、Relevant – 関連性のある、Time-bound – 期限のある)を設定するスキルであるということが、マーサーの分析で明らかになった。
マネージャーによる貢献の他、役員のコミットメントが高い企業は、効果的なパフォーマンス・マネジメント・プログラムを備えていることが多い。また、 1対1のパフォーマンス・ディスカッション、パフォーマンス・プランニング、チームのアカウンタビリティ等は、チームをけん引し、望ましい業績を達成するために役員がよく実行している事柄である。
キャリブレーション(評価調整)とテクノロジーは、成功するパフォーマンス・マネジメントの鍵となる他の2つのドライバーである。評価調整を実行している組織は、熟練したマネージャーをより多く擁するため、パフォーマンス評価に関してより正確な意思決定を下し、人材に対して高い意識を持ち、従業員一人一人の成長機会を特定している、ということがマーサーのサーベイにより明らかになった。世界中の組織の半数以上が評価調整・プロセスを用いてパフォーマンス・レベルの差別化を行っている。一方、テクノロジー(企業の40%が使用)単独では、パフォーマンス・マネジメントを確実に成功に導く事はできないが、テクノロジーは正確なデータと実行可能な知見にステークホルダーが常時アクセスできる状態を実現している。
地域毎のベストプラクティス
マーサーのサーベイによると、パフォーマンス・マネジメントのベストプラクティスの点で際立って良い地域や国はなかった。一般的にアジア太平洋の組織は、ツール、ガイドライン、マトリックスが整っており、比べてヨーロッパの組織はペイ・フォー・パフォーマンス(業績評価)に価値をおきキャリア開発を重視する。
目標設定に関して、世界中の半数を超える組織が部署レベルでの設定を実行しており、アジア太平洋と東欧では、約4分の3が採用、より一般的となっている。全社的な設定は、韓国とインドで最も頻繁に行われており、米国、カナダでは稀である。
インド、シンガポール、日本、東欧の組織では、パフォーマンス・マネジメントに対する役員のコミットメントがより高い傾向がみられるが、ラテンアメリカ・イタリア・スペインはその逆である。高レベルのパフォーマンス・マネジメント・プログラムは世界中で展開され、パフォーマンスと昇給を結びつけているが、インドの組織は世界のどの国と比較しても顕著にパフォーマンス・マネジメント・マトリックスを重視している。
2008年にマーサーが米国で実施したリサーチと同様に、今回のグローバル・サーベイにて、成功するパフォーマンス・マネジメントの主要ドライバーは人材マネジメント・スキルであるということが明確になった。人材マネジメントにおいてSMARTゴールを設定し、パフォーマンスと開発プランニングを結びつけることはマネージャーにとって「きちんと仕事をこなす」ための最も重要なスキルである、という内容も当サーベイで示されている。
また、人材マネジメントの分野においては、米国の組織には改善の余地があることが指摘されている。半数未満(44%)の組織が、自社のマネージャーは人材開発プランニングにおいては「ある程度は熟練している」と回答している(わずか2%が「非常に熟練している」と回答)。 そして、64%が自社のマネージャーはSMARTゴールの設定においては「ある程度熟練している」と回答している(わずか4%が「非常に熟練している」と回答)。
サーベイの結果によると、パフォーマンスの期待値の設定、目標の展開、目標の評価調整を最も広範にわたり実行しているのはアジア太平洋地域である。更に、当地域の組織は期待値をより高度に設定しており、世界全体では55%の組織が目標と行動に重きをおくと回答しているのに対し、当地域では70%の組織が同様の回答をしている。
アジア中東地域:リーダーシップ&タレント・ソリューションズ部門プリンシパル、ケイト・ブレイブリーは「パフォーマンス・マネジメント・プロセスの前半部分(目標設定部分)に焦点が当てられているにも関わらず、アジアの国々の多くは、高成長を続ける市場に対応するため、パフォーマンスを定量的に捉えようとしています」。「当地域の人材にとって報酬と登用は重要な論点です。しかし、パフォーマンス評価を裏付ける議論とキャリア開発との繋がりを強化することは可能です。従って、ターゲットを絞ったディスカッション、人材開発に対する注視、十分に梃入れのできるテクノロジーをもって取り組むことで、当地域におけるパフォーマンス・マネジメント・プログラムを最適化できるでしょう。」と述べている。
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本サーベイの要約(Executive Summary)は以下のサイトよりダウンロード可能です (英語): (リンク »)
本サーベイ概要 (英語) (リンク »)
パフォーマンス・マネジメント・プログラムの強化に関する詳細 (英語) (リンク »)
マーサージャパン 組織・人事変革コンサルティング部門概要 (日本語) (リンク »)
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