NPO法人腎臓サポート協会では、会報誌『そらまめ通信』の送付やホームページ『腎臓病なんでもサイト』などを通じて、腎臓病の皆様に役立つ情報を提供しております。
今回は、『そらまめ通信』vol.72から、腎不全とかゆみに関するコラムをご紹介いたします。
かゆみに悩まされる本格的な季節到来。特に腎不全の方はかゆみを訴える方が多く、日常生活に支障を来すことも少なくありません。どうして腎不全が進むとかゆみが現れるのでしょうか?
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かゆみの原因
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かゆみの原因には、衣食住などの外因性のものや、慢性腎臓病(CKD)が進行したときの合併症からくる内因性のものまでさまざまあり、適切な対処が難しいといわれています。
●腎不全とかゆみ
腎不全の方は、血液中のかゆみの原因物質(ヒスタミン)が上昇するケースが多く見られます。これは老廃物が除去できずに体内に蓄積されることや、血液中にリンやカルシウム、副甲状腺ホルモンが多くなることが原因で起こると考えられています。
また飲んでいるお薬の副作用による場合もあります。このようなかゆみの症状は、透析をうけている方ばかりでなく、CKD保存期の頃から現れるようになります。
●乾燥は最大の敵
CKDに限らず、皮膚の乾燥はかゆみの原因のトップにあげられます。とくに透析を受けている方は水分制限があったり、透析で水分を除去することで、皮膚細胞の水分量が減少傾向にあります。その結果、角質の水分保持能力が低下してしまいます。
このように皮膚が乾きすぎる状態が続くと、肌荒れが慢性化し、刺激に過敏に反応するようになって、かゆみを強く感じてしまうのです。
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かゆみの対策
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●食事療法と十分な透析を
腎不全からのかゆみで、カルシウム、リン、副甲状腺ホルモンが多くなっている場合には、食事内容の見直しが必要になります。また、かゆみを増強させる唐辛子などの食品を避けるとか、かゆみが感じやすくなるアルコールは控えたほうがいいでしょう。
透析を受けている方は、透析時間を長くするなど、十分な透析を受けることで改善することもあります。
●保湿と低刺激を守る
冷暖房による室内の乾燥に注意し、加湿器を利用するなどして乾燥を防ぐことが大切です。また手を洗ったり入浴後はクリームを塗るなど、保湿を心がけましょう。石鹸はよく泡立ててなでるように使い、良くすすぎましょう。よくかゆいところをゴシゴシと洗う方がいますが、逆効果です。皮膚が乾燥しやすくなり、かえってかゆみを増強させてしまいます。
●軟膏や内服薬を試す
我慢できないかゆみには軟膏や内服薬などを試すのも良いでしょう。しかし複数の薬を飲んでいる場合は飲み合わせによっては副作用がでることもあるので、市販薬ではなく、病院で自分に合った薬を処方してもらいましょう。皮膚科の医師に相談するときは腎臓病であることを伝えることが大切です。
これからの季節は特にスキンケアが大切。乾燥を防ぐだけでなく、皮膚を清潔に保ち、過剰な刺激を避けて、潤いのある生活を!
※この記事は、会報誌『そらまめ通信 Vol.72』からの抜粋です。
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