独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)
世界初、レイヤ3スイッチにネットワーク自動構築技術を実装
~位置情報の設定項目を100分の1に削減。作業時間が大幅に短縮~
【ポイント】
■レイヤ3スイッチに、ネットワーク機器の位置情報を自動設定する技術を実装
■企業網やデータセンターの機器設定を簡略化。位置情報の設定項目を従来の100分の1程度に削減
■人手をかけず、高い稼働率で運用できる業務ネットワークサービスの提供に貢献
独立行政法人 情報通信研究機構(以下「NICT」、理事長: 坂内 正夫) (リンク ») は、協力企業と連携し、レイヤ3スイッチにネットワーク機器の位置情報を自動的に割り当てる新世代ネットワーク技術「HANA」を実装しました。これまで企業網を構築する場合、レイヤ3スイッチなどのネットワーク機器は、個別にそれぞれの位置情報を人手で設定する必要がありました。HANAを実装したレイヤ3スイッチを利用すれば、1台のレイヤ3スイッチに位置情報を設定するだけでよく、例えば、PC 1,000台規模の企業網では設定項目が従来の100分の1程度になり、ネットワーク管理者の作業時間を大幅に短縮できます。その結果、人手をかけず、稼働率が高い企業網やデータセンターを構築できます。NICTでは、企業と提携してHANA対応レイヤ3スイッチの実用化を目指します。
【背景】
PC 1,000台規模の企業網では、建物やフロアごとに全体で数十台のレイヤ3スイッチが設置されます。ネットワーク管理者は、レイヤ3スイッチ間の接続関係を設計し、レイヤ3スイッチやサーバなどのネットワーク機器ごとに必要な情報を設定する必要があります。その中で位置情報(ネットワークアドレス)は基本となるもので、それら機器の複数あるそれぞれのポート(ケーブル接続口)にIPv4やIPv6アドレスなど複数の値を設定します。この位置情報には制約があり、ネットワークを新しく構築する際には設計・設定に多くの労力が必要となります。さらに、いったん構築したネットワークの接続や機器を変更する場合、一部の変更であっても全体に影響が及ぶため変更が難しく、柔軟なネットワーク構成の妨げとなっていました。
NICTは、これらの問題を解決する技術として、ネットワークを構成するレイヤ3スイッチやサーバなどの機器に自動的に位置情報を割り当てる仕組みであるHANAを研究開発し、汎用PC上のソフトウェアとして動作検証してきました。
【今回の成果】
今回NICTは協力企業と連携し、ネットワーク機器に位置情報(ネットワークアドレス)を自動で割り当てる仕組みHANAを、レイヤ3スイッチとしては最も普及している規模のハードウェア機器に組み込みました。従来の実験用PCにおけるソフトウェアでは8ポート×各2Gbpsの性能だったものが、ハードウェア化により48ポート×各10Gbpsの性能でHANAが利用できます。今回開発したHANA対応レイヤ3スイッチを利用すると、ネットワークのコアとなる一台のレイヤ3スイッチに位置情報を設定するだけで、それ以外のすべてのレイヤ3スイッチやPCなどに自動で位置情報が設定されます。例えば、レイヤ3スイッチ数十台を用いてPC 1,000台の企業網を構築する場合、HANA対応レイヤ3スイッチを使用すれば、設定項目が100分の1程度に削減できます。HANAを利用することで、ネットワーク管理者の作業時間の大幅な短縮やネットワーク設定の人為的なミスが避けられることから、稼働率が高いネットワークを構築できます。
【今後の展望】
今後は、企業網やデータセンターでHANA対応レイヤ3スイッチが活用されるように、企業と提携して実用化を目指します。また、ネットワーク管理技術であるSDNとの連携機能を追加し、SDNにおいてもHANAの自動構築技術を利用できるようにします。
なお、HANA対応レイヤ3スイッチについては、2014年6月11日(水)から13日(金)まで幕張メッセで開催される「Interop Tokyo 2014」( (リンク ») )にて展示します。
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