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【ロンドン2015年7月20日PRN=共同通信JBN】
*(太陽系から)最も近いところにある100万の星や銀河、そして100の星雲からのデータ分析と世界最大の望遠鏡を動員する10年間の学際的調査プロジェクトを発表
英王立協会は21日、宇宙の生命(体)探索を再び活気づけるため前例のない1億ドルの世界的「ブレークスルー・イニシアチブ(Breakthrough Initiative)」プロジェクトを発表した。プロジェクトには、スティーブン・ホーキング、マーティン・リース、フランク・ドレーク、ジェフ・マーシー、ピート・ワーデン、アン・ドルーヤンらに加えて、ロシアの有力投資家ユリ・ミルナーが参加した。
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20日発表された2つのイニシアチブの1つである「ブレークスルー・リッスン(Breakthrough Listen)」は、地球からはるか離れた宇宙にある知的生命の兆候を探る、これまでで最も強力で包括的かつ徹底的な科学的調査となる。第2の「Breakthrough Message(ブレークスルー・メッセージ)」は、人類および惑星・地球を代表して、いつの日か地球外文明に送り込まれる可能性があるメッセージを作成する国際的コンペを開催する資金を提供する。
▽ブレークスルー・リッスンについて
*地球外に存在する知的生命の兆候を探知する最大規模の科学的調査
*世界で最も強力な望遠鏡2台へのアクセスを活用:米ウエストバージニア州にある直径100メートルのロバート・C・バーク・グリーンバンク望遠鏡(グリーンバンク望遠鏡(注1)とオーストラリアのニューサウスウェールズ州にある直径64メートルパークス・テレスコープ(パークステレスコープ)
*地球外知的生命体探査(SETI)研究専用のこれまでのプログラムより50倍精度が高いSETI 探査
*これまでのプログラムより10倍広い空をカバー
*電波スペクトルは少なくともこれまでより5倍の範囲をスキャン(精査)、速度は100倍速い
*電波探査と並行して、米カリフォルニア州にあるリック天文台(注2)の自動惑星探査望遠鏡が、光レーザー送信向けに世界最深・最広範の調査を実施
*資金コミットメント1億ドル
▽前例のない(調査)範囲
プログラムは地球に最も近い100万の星の調査が含まれる。太陽系の中心と銀河面
全体をスキャン。銀河を超えて最至近距離にある100星雲からのメッセージを聴く。使われる望遠鏡は、それが低出力あるいは中出力であろうが、長距離信号に極めて感度がいい。
*至近距離の1000の星の1つにある文明が普通の航空機用レーダーの出力で信号を送ってくる場合、ブレークスルー・リッスン計画の望遠鏡なら信号を検知できる
*文明が銀河の中心部からわれわれがソーラーシステムを検知に使用する惑星間レーダーの出力の12倍以上で信号を送る場合、ブレークスルー・リッスンの望遠鏡はそれを検知することが可能
*ブレークスルー・リッスンの光探査は、比較的近い星(25兆マイル離れた)からの100ワット・レーザー(通常の家庭用電球のエネルギー出力)を検知できる
▽オープンデータ、オープンソース、オープンプラットフォーム
プログラムは極めて大量のデータを生み出す。すべてのデータは一般公開される。これはこれまで公開された中でも最大量の科学データで構成される。ブレークスルー・リッスンのチームは、洪水のようなデータを移し、精査する最も強力なソフトウエアを利用し、開発する。同プロジェクトに利用されるソフトウエアとハードウエアは、世界のほかの望遠鏡と互換性があるので、これら望遠鏡も知的生命体の探索に加わることができる。ブレークスルー・リッスン用のソフトウエアを利用するとともに科学者や一般参加者は、データ解析のための自前のアプリを開発する目的でそのソフトウエアを付加することができる。
▽クラウドソースの処理能力
ブレークスルー・リッスンはまた、カリフォルニア大学バークレー校の画期的な分散型コンピューティングプラットフォームであるSETI@homeに参画して、それを支援する。同プラットフォームには、生命の兆候に対する天文学的データを調査するため、世界の900万人のボランティアが彼らの余分のコンピューティング能力を寄贈する。
▽ブレークスルー・メッセージについて
*人類と惑星の地球を代表するデジタルメッセージを作成する国際コンペ
*懸賞金は総額100万ドル
*コンペの詳細は後日発表される
*このイニシアチブは、メッセージを送るコミットメントではない。それは惑星間コミュニケーションで利用可能な言語について学び、倫理的(道義的)、理性的問題について世界的な論議を巻き起こす道である
▽プロジェクトリーダーシップについて
*マーティン・リース(英王室天文学者、トリニティーカレッジ・フェロー、ケンブリッジ大学宇宙・天体物理学名誉教授)
*ピート・ワーデン(ブレークスルー賞財団会長)
*フランク・ドレーク(SETI協会名誉会長、カリフォルニア大学サンタクララ校の宇宙・天体物理学名誉教授、コーネル大学の元天文学ゴールドウィン・スミス教授)
*ジェフ・マーシー(カリフォルニア大学バークレー校の天文学教授、アルバーツSETIチェア)
*アン・ドルーヤン(NASA ボイジャーのInterstellar Messageクリエーティブ・ディレクター、Cosmos Studios共同創業者兼CEO、ライター、プロデューサー部門のエミー賞、ピーボディー賞)
*ダン・ワルチマー(SETI@homeプロジェクトの共同創業者兼最高科学責任者、SERENDIP取締役、CASPER主任調査官)
*アンドリュー・シーミオン(Berkeley SETI Research Centerディレクター)
ユリ・ミルナー氏は「ブレークスルー・リッスンによって、われわれは宇宙の知的生命探索に向けて、シリコンバレーのアプローチを持ち込むことにコミットしている。データに対するわれわれのアプローチはオープンであり、ソーシャルネットワークによる問題解決能力を利用する」と語った。
スティーブン・ホーキング氏は「私はブレークスルー・イニシアチブと地球外生命体の探索を強く支持する」と語った。
フランク・ドレーク氏は「たった今でも、部屋や私たちすべてに、星から飛んで来るメッセージがあるかもしれない。私はそのことだけでも背筋が凍り付く思いである。知的生命の探査は偉大な冒険である。そしてブレークスルー・リッスンはそれを鼓舞してくれる」と語った。
同氏はさらに「われわれは宇宙からの信号を探す方法について、過去50年で大いに学んだ。ブレークスルー・イニシアチブによって、その学習曲線は著しく上向きそうだ」と述べた。
アン・ドルーヤン氏は「ブレークスルー・メッセージのコンペは、数百万のイマジネーションを誘発し、宇宙で実際にわれわれが何者で、地球上で生ける者の本質を共有したいのは何かについての議論を生むよう企画されている。われわれが1つもメッセージを送らないにしても、コンセプト作りをする行動は変革させる力がある。ボイジャーによる惑星間メッセージを作成するに当たって、われわれの惑星、われわれの種、われわれの時間に関する宇宙観を達成するよう努めた。それははるか未来の遠い世界の想像上の地球外生物とわれわれ現代人という2つの異なる受信者を視野に入れている。メッセージが始まって40周年記念が近づいているので、私はわれわれが皆で一緒に発見するもののため、そしてわれわれの将来展望とこの世界での行動についても発信できることを願って、ブレークスルー・メッセージプロジェクトで協力する機会を与えられて非常に感謝している」と語った。
詳しい情報は (リンク ») を参照。
21日の記者会見の画像、ビデオ、資料は、以下のリンクからメディア向けにダウンロードできる。その内容は終日アップロードすることができる。
Link: www.image.net/BreakthroughLifeintheUniverseInitiatives
(注1)グリーンバンク望遠鏡は米国立電波天文台(NRAO)と米国北東部大学連合(Associated Universities Inc. )によって全米科学財団に代わって運営されている。
(注2)リック天文台の自動惑星探索はカリフォルニア大学天文台によって運営されている。
ソース:Breakthrough Initiatives
▽メディア問い合わせ先
media@breakthroughprize.org; or
Rubenstein Communications, Inc., New York, NY,
Janet Wootten,
jwootten@rubenstein.com
+1-212-843-8024
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