「このRANのレポートで述べた調査結果は、サステナビリティーの問題に関する実施状況について、体系的に誤って企業が伝えているか、真のサステナビリティー報告と企業の社会的責任(CSR)についての表面的な記述との違いについての根本的な理解ができていないことを示唆しています。」とRAN日本代表の川上豊幸は述べている。また「日本のコーポレートガバナンス・コードが、企業のサステナビリティーの達成状態に関心を持つ株主から信頼を得るには、本コードのサステナビリティ報告義務の総点検、指導、それに遵守状況の監視が緊急に必要です。」と述べている。
本コード実施の初年度の企業の遵守状況を掲載した最近の東京証券取引所の報告書によると、99%以上の企業が本コードのサステナビリティーとステークホルダーの規定を実施していると自己申告している。
「SHAREHOLDERS BEWARE -株主の皆様、要注意。:コーポレートガバナンス・コード報告において、日本の大企業はサステナビリティー報告がいかに適切にできていないか」と題された本レポートにおいて、RANは熱帯林の破壊リスクに直接関係していることが知られている10社の大企業のコーポレートガバナンス・コード報告書を評価することにより、これら企業の主張を検証した。
企業は一般的なサステナビリティーの問題を認識していることを報告しているものの、熱帯林破壊への直接的な関連により、直面する環境・社会的リスク要因を特定した企業はほとんどなく、そして、これらの問題に実質的に対処する方法を示す企業は皆無であることが、本レポートにより判明した。全ての事例で、企業は今起きている重大な環境的・社会的な紛争に関係していることも判明した。
「サプライチェーンと投資の関係を含め、事業運営に関連する明確かつ正確なサステナビリティー情報の提供は、企業の投資可能性を評価する重要な部分です。」とRANのトム・ピケンは述べている。「このような情報を省略したり、隠蔽したりすることは、企業が負の環境的・社会的影響に関連することで、投資家に不測の損害を発生させる可能性があり、このことは次にはブランドの評判失墜、サプライヤーとの契約解消、法的措置による生産停止へつながる可能性があるのです。」
RANのレポートは、本コードにおいてサステナビリティーとステークホルダーに関する項目の基準とガイドラインが強化されること、そして、企業の報告書をもっと積極的に金融庁の遵守モニタリング対象とすることを提言している。また、本レポートでは主要なステークホルダーグループの中でも特に地域住民の権利を尊重し守るとともに、熱帯林リスク商品に関係しているすべての企業による協調した行動が、これらの脅威にさらされた固有の生態系の保護や保全を進めるために不可欠であると結論付けている。
レポートをご覧下さい : Shareholders Beware-株主の皆様、要注意。:コーポレートガバナンス・コード報告において、日本の大企業はサステナビリティー報告がいかに適切にできていないか
Read the report: Shareholders beware: How major Japanese companies are misreporting sustainability under the Corporate Governance Code (English)
用語解説
コーポレートガバナンス・コード:上場会社のコーポレートガバナンスの望ましい在り方が示されるべきという考えが浸透し、現在、コーポレートガバナンス・コードが70カ国にのぼる国で策定されている。しかし日本ではようやく昨年6月に策定され、今年初めて上場各社がコーポレートガバナンス・コードに係る報告書を作成した。
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