2016年9月 iPhone 7通信速度実測調査

株式会社ICT総研

2016-09-29 00:00

株式会社ICT総研 (東京都千代田区)は9月29日、iPhone 7通信速度実測調査の結果をまとめた。当社では定期的に、さまざまなシーンでスマートフォンの通信速度、つながりやすさの調査を実施してきたが、今回の調査は、発売したばかりで注目度が高いiPhone 7の実効速度を比較することを目的とした。
 実際にユーザーが利用する機会の多い地点での比較とすべく、東京都内の駅や待ち合わせ場所100地点を測定地点とし、NTTドコモ、au (KDDI)、ソフトバンクの3社(3ブランド)を調査対象とした。測定端末は、9月16日に発売したiPhone 7。通信速度測定アプリ「RBB SPEED TEST」を利用して、1地点あたり下り通信速度、上り通信速度を各3回ずつ測定した。調査期間は2016年9月21日から9月23日まで。


■ 下り速度はソフトバンクが53.58Mbpsでトップ。Massive MIMOの影響か。

 実測の結果、下り通信速度(ダウンロード通信速度)は、ソフトバンクが平均53.58Mbpsでトップとなった。ソフトバンクは3社中唯一、下り20Mbps未満の地点が1地点もなく、下り100Mbps以上の地点も2地点見られた。同社は9月8日に「5G Project」と称する「Massive MIMO」サービスの商用開始を発表した。Massive MIMOの基地局は、1基地局あたりの収容ユーザー数が増すことで、人口密集地や繁忙時間帯などでの実効速度が改善するとされており、今回の調査の好結果も、この影響を受けた可能性がある。
 下り通信速度で次点はauであり、平均49.57Mbpsを記録した。下り70Mbps以上の地点が2割以上を占めるなど、特に主要駅ホームを中心に高速な地点も数多く見られたが、20Mbps台の地点も2割あり、これが平均値を押し下げた。auはFDD方式とTDD方式という異なる方式をキャリアアグリゲーションで足し合わせる技術を売りにしているが、iPhone 7はこの技術に対応しておらず、これが次点に留まった要因の可能性もある。
NTTドコモは下り通信速度で平均45.86Mbpsと3社中3位となったが、実用面で不具合を感じる数値ではない。ただし、iPhone 7における同社の理論上の最大値は375Mbpsと国内携帯電話キャリアで最速であり、実効速度も注目されたが、今回調査ではその理論値とは残念ながら乖離が見られた。


■ 上り速度はソフトバンクとNTTドコモが18Mbps台で僅差の争いに。

 上り通信速度(アップロード通信速度)はソフトバンクが18.56Mbpsでトップ、NTTドコモが18.10Mbpsで次点となり、この2社が18Mbps台で僅差の争いとなった。auは12.07Mbpsで3社中3位。今まで上り通信速度に課題があると言われてきたauは、上り通信速度にもキャリアアグリゲーションの技術を採用し、それはiPhone 7にも対応したが、それでも2社と差を付けられる形となった。


■3社平均下り速度は49.67Mbps。5年前と比べてなんと55倍に。

 当社はiPhone 4の時代から、継続してiPhoneの通信速度を計測し続けている。iPhone発売時期(毎年9月)前後に計測しているものだけを見ても、2011年のiPhone 4sの時は下り通信速度が平均0.9Mbpsに過ぎなかったが、今回調査では3社平均で49.67Mbpsと、この5年間で実効速度が55倍になった。1年前と比べても17Mbpsも高速になった。
 大手3社すべてがiPhoneを取り扱い、MVNO事業者の格安SIMが勢力を伸ばし、書籍や音楽・動画の定額配信サービスが一般的になるなど、5年前とは携帯電話業界の環境も大きく異なっているが、携帯電話キャリア各社のネットワーク高速化・大容量化の取り組みには驚かされるばかりだ。
 もちろん、今回の調査結果(東京都内100地点での実測結果)をもって、全国のLTE通信速度の実態を網羅できているとは言えない。だが、ユーザーが利用する機会の多い東京都心部での実測結果であるため、多くのユーザーの参考になる調査データだろう。
 ICT総研では今後も、「つながりやすさ」や「通信速度」について、ユーザーが利用するさまざまなシーンを想定し、ユーザーにとって指標となる実測データを定期的に提供していく方針である。

用語解説

*本資料における全ての文章、数値、表、データは、調査実施時点のものである。
*通信速度は、同じ地点であっても、測定日時や天気、測定端末の向き・高さ、ネットワークの混雑
状況などにより、大きく変動するものであり、注意されたい。
*本資料に記載された文章、グラフ等を報道、各種ホワイトペーパー、セミナー資料、学術研究資料等
に転載する場合は、「ICT総研調べ」「出典:ICT総研」などの表記を加えて下さい。

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