RAN 森林と金融キャンペーンディレクターのトム・ピケンは、以下のように述べています。「銀行や投資機関は、自らが資金を提供している事業が熱帯林破壊や現地の人々からの搾取を行っているという事実を認識する倫理的、経済的な義務があります。こうした金融機関は、自分たちの投資によって、環境、社会、そして最終的には自らに対し多大なダメージを与えていると理解する必要があります。」
機関投資家による最新報告(2017年2月付)によると、上記8社の森林部門事業は、債券および株式で合計65億米ドル以上の資金を得ているほか、2010年以降に融資および引受で受け取った資金の総額は280億米ドル以上となっています。上記8社を金銭的に支援している主要銀行は、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、中国開発銀行、RHBバンキング、CIMBグループ、HSBCなどであり、最大級の投資機関としては、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、バンガード、エンプロイーズ・プロヴィデント・ファンド、ブラックロック、およびディメンショナル・ファンド・アドバイザー等が含まれています。
「銀行家や投資家の人々は、こうした事態から目を背けるのを止め、自分たちが受け取っている短期的な配当や数百万ドルのボーナスが実際は何を犠牲にして生みだされているのかを認識しなくてはいけません。金融機関が森林破壊や人権侵害には融資をしないと誓約しない限り、気候変動の大きな要因である森林破壊に歯止めをかけようとする国際努力は徒労に終わってしまうのです。」
RANは今回の報告書で、銀行と投資機関に対し、熱帯林に害を与えている商品の製造に関わるすべての企業、およびそれに関連する下流サプライチェーンについて、投融資方針を策定するよう求めています。 そうした方針があって初めて、自らが資金的に支援している森林破壊や人権侵害について明白に確認ができるからです。銀行や投資家は、デューディリジェンスによるスクリーニングを強化し、資金提供先の企業の業務をきちんとモニターして、無責任な企業に対しては資金提供を断つ社会的責任があります。
森林破壊や社会問題は、金融機関にとっても重要な問題になっています。 2000年から2012年にかけて、日本の国土の約3倍の面積の熱帯林が失われましたが、その中でも消失が最も深刻な地域の一つが東南アジアです。その大きな要因は、グローバル企業によるパーム油、紙パルプ、木材、ゴム、その他ソフト・コモディティへの急激な需要の高まりです。消失した熱帯林のうち、ほぼ半分が商業的農業に違法に転換されており、その半分は輸出用商品を生産するためのものです。
今回の報告書によって、融資、引受、投資を通じて年間何十億ドルもの資金を提供することで、金融機関がいかに環境破壊を行う主体的存在となっているかが明らかになっています。この報告書は、 東京で開催された「RIアジア2017」でも発表しました。
【連絡先】
ハナ・ハイネケン, Hana Heineken, hheineken@ran.org, +1-609-553-4844 (日本語可)
浦本三穂子, mihoko@ran.org, 03-3341-2022
レポートは、以下のサイトからダウンロードできます。
(リンク »)
日本語版 投資家には責任がある:森林と金融 調査レポート
英語版 Every Investor Has A Responsibility:Forest & Finance Risk Dossier
*融資と引受はグループ会社レベルで計算されており、森林セクター以外の事業活動がある企業については、選定した企業の森林リスク分野に帰すると合理的に考えられる資金提供額の割合をより正確に捕捉するために、減額して集計した。入手可能な情報の限界により、本報告書で指摘する債券・株式の総額はいくつかの年金基金による債券・株式を含めていない。さらなる情報については次を参照してください。forestsandfinance.org
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