フィンテックが自動車業界に生み出す新たな収益機会

自動車リース・保険ツールの進化で自動車販売台数の拡大に期待

フロスト&サリバン ジャパン株式会社

2017-08-08 11:00

フロスト&サリバンは、フィンテック(金融とテクノロジーの融合)の自動車産業における活用の見通しをまとめました。自動車業界では収益性の減少のリスクに常に直面しており、新たな収益源の確保は重要なテーマと言えます。フィンテックは、自動車販売やアフターサービスなどの従来のサービスを超えた新たな収益機会を生み出すことを可能にします。消費者におけるデジタル決済の普及に伴い、自動車メカーにとっての新たな収益源としてフィンテックサービスの導入が進むことが予測されます。自動車メーカーはフィンテック企業と提携することで、より優れた自動車のユーザー体験を提供し、消費者の自動車に対する購買や活用意欲を刺激することができるでしょう。

フロスト&サリバンの新たな調査分析「グローバル自動車産業におけるフィンテック(~2025年)」によると、自動車リースおよびファイナンスサービス分野のフィンテック市場は欧州がリードし、北米がそれに続く見通しです。また、利便性・ユーザー重視型サービス分野のフィンテック市場は北米がリードし、欧州がそれに続く見通しです。さらに弊社の分析では、自動車のオンライン販売拡大や自動車保険における新しいビジネスモデルの誕生に伴い、自動車産業でのフィンテックに対する世界全体での平均投資額は、2016年の1,600万米ドルから2025年に2億3000万米ドルへと大きく成長する見通しとなっています。

「サブスクリプションベースでのフィンテックサービスの進化や、ドライブルスルー形式のレストランやガソリンスタンドにおけるスマート決済やコネクティビティ活用に伴い、自動車メーカーはフィンテックサービスを実行するための決済機能を備えたモバイル機器や収益プラットフォームの採用を積極的に進めることが期待されます。グーグルやWhatsapp、WeChatといったテクノロジー開発企業は、オンデマンドで簡素化したサービスのデジタル化を主導することが見込まれる一方で、自動車エコシステムの中核となる収益は自動車メーカーが引き続き維持するでしょう」と、フロスト&サリバンのモビリティ部門リサーチアナリスト、イザック・アブラハムは話します。

自動車メーカーとテクノロジー企業間の連携や統合は、次世代の自動車金融サービスの構築を促進していくことが期待されます。メガバンクとの提携でフィンテックサービスの決済取引に遅れが生じることも予測される一方で、北米では新車ローンの約32%を銀行が引き続き管理しています。また、銀行とキャプティブ保険会社間の市場競争は、新車販売のデジタル化の促進につながり、2017年末までに自動車リース&ファイナンス市場は世界全体で1兆億ドル規模に到達することが予測されます。また、フィンテックにより、サブスクリプション型やオンデマンド型の車載サービスに基づいた収益モデルが構築される可能性も高いでしょう。

「フィンテック企業と自動車メーカーが車種や地域に関わらずフィンテックサービスを大規模に採用するためには、サービスの統合化が必要となるでしょう。デジタルプラットフォームを通じた決済が普及する中で、自動車メーカーはフィンテックを活用してより進化した自動車リースやファイナンスサービスを開発することで、自動車販売台数の3~4%増加を実現できる可能性があると見ています。自動車メーカーやサプライヤは、2018年までに自社のフィンテックサービスや試験段階にある金融や保険の利用事例を拡充し、2020年までに、これに対応した車載機能の実現に向けた取り組みを行うとしています」と、アブラハムは話します。


▼「グローバル自動車産業におけるフィンテック(~2025年)」の概要は下記をご参照下さい:
Fintech in the Global Automotive Industry, Forecast to 2025 (19 Jun 2017)
(リンク »)  

▼フロスト&サリバン モビリティ部門発行のリサーチタイトル一覧(日本語)は下記ウェブサイトでご覧頂けます:
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フロスト&サリバンは、独自のリサーチに基づいて企業のビジネスを成長に導くグローバルな知見を提供し、ビジネスの新たな成長機会の創出からイノベーションの実現までを支援する、リサーチとコンサルティング機能の両方を兼ね備えた企業のナレッジパートナーです。世界40拠点以上のグローバルネットワークを軸に、世界80カ国ならびに300に及ぶ主要な全てのマーケットを網羅することで、メガトレンドや海外新興市場の台頭、テクノロジーの進化などのグローバルな変化に対応し、企業がグローバルなステージでビジネスを成功させるための360度の視点に基づいた知見を提供しています。 (リンク »)

本件に関するお問い合わせ先:
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広報担当:辻 安奈
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