窪田製薬ホールディングス株式会社
(コード番号 4596 東証マザーズ)
「エミクススタト塩酸塩」の用途特許に係わる新規米国特許取得のお知らせ
世界中で眼疾患に悩む皆さまの視力維持と回復に貢献することを目的に、イノベーションをさまざまな医薬品・医療機器の開発および実用化に繋げる眼科医療ソリューション・カンパニーである窪田製薬ホールディングス株式会社(以下「当社」)は、当社100%子会社のアキュセラ・インク(米国)が米国特許商標庁より下記の特許を付与されたことをお知らせいたします。
米国特許商標庁に登録された当該用途特許は、「エミクススタト塩酸塩」および関連する化合物のスターガルト病治療に係わる新規用途特許であり、当社の「エミクススタト塩酸塩」を含む研究の保護と促進を目的とし、当社の特許戦略を補強する特許です。
記
特許情報
発明の名称: 「疾患治療用アルコキシ化合物」
登録番号: 9,737,496 B2号
登録国: 米国
特許権者: アキュセラ・インク
特許の概要
当該特許は、「エミクススタト塩酸塩」あるいは関連化合物によるスターガルト病治療における組成物および方法に関する用途特許にあたります。主題組成物は、スターガルト病治療に有用と考えられています。
◆スターガルト病について
スターガルト病は、目の網膜に障害をきたし、緩やかに視力が低下する稀少遺伝性疾患で、若年者に発症します。スターガルト病は、網膜に局在するABCA4遺伝子の異常に起因していると考えられています(*1)。ABCA4遺伝子異常により、ビタミンA由来の有害代謝産物が網膜に徐々に蓄積され光受容体が損傷し視力の低下をきたします。典型的なスターガルト病は、小児期から青年期にかけて発症しますが、中には成人期まで視力低下を自覚しない患者さんもいます。
8千~1万人に1人が罹患すると推定されており(*2)、米国における推定患者数は4万人以下と報告されています(*3)。現在、スターガルト病に対し、症状の進行を抑制する治療法は存在しておらず、アンメット・メディカル・ニーズ(*4)として対応が急がれています。
◆治療薬候補開発状況について
「エミクススタト塩酸塩」は、スターガルト病の治療薬候補として米国においてオーファンドラッグ(*5)認定を受けています。現在、スターガルト病患者を対象に薬理作用、安全性および忍容性を評価する臨床第2a相多施設共同無作為化二重盲検試験を米国で実施しております。
被験者は約30名で、被験者を1対1対 1の割合で、2.5mg、5mg、10mg の投与群に割り当て、1ヶ月間1日1回夕方に「エミクススタト塩酸塩」を経口投与いたします。
◆「エミクススタト塩酸塩」について
眼球の奥にある網膜には、脳に映像を認識させるために光を電気信号に変える働きをする「視覚サイクル」と呼ばれる仕組みがあります。この視覚サイクルは明るい光や強い光に曝露されると有害代謝産物を生成します。これが長期にわたり過剰に蓄積されると、視覚サイクルの働きに支障をきたすだけではなく、網膜が損傷され、視力低下あるいは失明に至ると考えられています。
網膜に発現するABCA4遺伝子は、視覚サイクルの過程で産生されたビタミンA由来の有害代謝産物の前駆物質を分解する細胞に輸送する働きをもっています。スターガルト病はこの遺伝子に異常が生じることにより、網膜に有害代謝産物が過剰に蓄積される特徴的な症状を有しており、最終的に視機能障害をきたすと考えられています。
「エミクススタト塩酸塩」は、視覚サイクルに不可欠な酵素であるRPE65を抑制することで、視覚サイクルを調節し、ビタミンAの代謝率を低下させます。これにより、スターガルト病の発症に関与すると考えられているA2EなどのビタミンA由来の有害代謝産物の産生が低下するので、網膜の機能維持に有用であると理論づけられています。
*1:National Eye Institute. (リンク ») 2016年7月2日のデータ
*2:Blacharski PA. Fundus flavimaculatus. In: Newsome, DA, ed. Retinal dystrophies and degenerations. New York: Raven Press, 1988:135-159.
*3:Market Scope社が 2015年に発行した「Retinal Pharma & Biologics Market」と「UN World Population Prospects 2015」をもとに、米国、欧州、日本のスターガルト病患者数を自社で算出
*4:アンメット・メディカル・ニーズとは、いまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ
*5:オーファンドラッグは稀少疾病用医薬品と呼ばれ、治療が困難な病気や患者数が少ない病気に対する治療薬のことをいいます。「オーファンドラッグ法」は病気を治療する医薬品の重要性に基づき研究開発が進むよう、公的援助制度等を整備することを目的に米国FDAにより制定されました。米国で治療薬が存在しない疾患に対して患者数が20万人未満であること、開発コストが販売から回収される見込みがないことなどの基準が設けられています。
尚、本件の連結業績への影響は軽微でありますが、今後の業績に重要な影響が生じることが明らかになった場合には、速やかに開示いたします。
以上
◆窪田製薬ホールディングス株式会社について
当社は、世界中で眼疾患に悩む皆さまの視力維持と回復に貢献することを目的に、イノベーションをさまざまな医薬品・医療機器の開発および実用化に繋げる眼科医療ソリューション・カンパニーです。当社100%子会社のアキュセラ・インク(米国、シアトル)が研究開発の拠点となり、革新的な治療薬・医療技術の探索および開発に取り組んでいます。当社独自の視覚サイクルモジュレーション技術に基づく「エミクススタト塩酸塩」において糖尿病網膜症、スターガルト病、加齢黄斑変性への適応を目指し研究を進めております。また、白内障や老視(老眼)の薬物治療を目的とした「ラノステロール」の研究開発および網膜色素変性における視機能再生を目指す「オプトジェネティクス」に基づく遺伝子療法の開発を実施しております。同時に、加齢黄斑変性、増殖糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫の治療を目指し、「バイオミメティックス(生物模倣技術)」の研究開発も進めております。また、PBOSなどのモバイルヘルスを含む医療デバイスの研究開発も手掛けております。
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