2018年 MVNO格安SIMの市場動向調査

株式会社ICT総研

2018-07-17 00:00

株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は7月17日、2018年MVNO格安SIMの市場動向調査の結果をまとめた。合従連衡も始まったものの参入事業者数が886社に上るなど、拡大局面が続くMVNO格安SIMについて、市場実態や利用動向の把握を目指した。10,679人に対するWebアンケートのうち、格安SIM利用者1,227人の回答結果を基にしている。


■MVNO「格安SIM」利用者シェアは、楽天モバイルが25.7%でトップ。

 スマートフォンに格安SIMを挿して利用しているユーザーに対するアンケートの回答を集計した結果、現在利用している事業者は、楽天モバイルが25.7%となり、出現率ベースでトップとなった。ケイ・オプティコム(関西電力子会社)の「mineo」(マイネオ)が16.1%、UQコミュニケーションズの「UQモバイル」が12.1%、インターネットイニシアティブの「IIJmio」が8.6%、NTTコミュニケーションズの「OCNモバイルONE」が7.7%で続いた。
 OCNやIIJ、BIGLOBEなど、もともとネットワーク運営に強みを持つISP事業者が前年に続いてシェアを落とした。一方で、楽天モバイル、UQモバイル、mineoなど後発の事業者が、積極的なプロモーション戦略などで攻勢をかけた効果もあって、さらにシェアを伸ばした。特に楽天モバイルとUQモバイルのシェア拡大ペースが目覚ましい。この上位5事業者のシェア合計は70.1%であり、1年前時点の65.6%からさらに拡大。上位事業者による寡占が進んだことになる。


■「料金面」に対する項目の満足度ポイントが、前年同様に他の項目より高い。

 スマートフォンでの格安SIM利用者に対して、10項目の指標で、それぞれ満足度を聞いた。この満足度ポイントを100点満点換算したところ、「コストパフォーマンスの高さ」(平均76.8ポイント)、「最適な料金プランの有無」(平均74.8ポイント)など、料金面に対する項目の満足度ポイントが、前年と同様に他の項目と比べて相対的に高い数値となった。料金面に対する項目の満足度ポイントは、LINEモバイルが80ポイントを超えるなど、きわめて高くなっており、SNSのデータ消費量をカウントしない料金プランなどがユーザーに支持されている結果と見られる。


■動画視聴の品質・安定性は、UQモバイルが満足度トップ。事業者に対する信頼性はIIJmio。

 一方で、「ホームページ閲覧の品質・安定性」、「ホームページ閲覧の速度」、「動画視聴の品質・安定性」、「動画視聴の待機時間・速度」などの通信品質面についての項目や、「コールセンターのつながりやすさ」、「コールセンターの対応」など、サポート面の項目と言ったMVNO事業者にとって弱点とされている部分については、相対的に芳しくない結果となっており、1年前とその傾向は変わっていない。
 「ホームページ閲覧の品質・安定性」についてはLINEモバイルが、「動画視聴の品質・安定性」についてはUQモバイルが満足度トップとなった。UQモバイルは類似項目の「データ通信の速度」で前年もトップとなっており、通信品質面で引き続き強さを見せている。
 「事業者に対する信頼性」は、IIJmioが76.8ポイントでトップであり、3年連続のトップ。OCNモバイルONEがこれに続いており、老舗の2社がトップ2となった。


■総合満足度は、LINEモバイルが75.4ポイントでトップ。料金面などへの支持が寄与。

 10項目の満足度項目を総合した「総合満足度」は、LINEモバイルが75.4ポイントでトップとなり、IIJmioが71.0ポイントで次点、BIC SIMが69.0ポイントでこれに続いた。LINEモバイルは、全体的に際立って低い項目がなかった点、料金面やサポート面の項目でポイントが高かった点が、総合満足度に寄与している。


■格安SIMも1,000万契約を突破。今後は通信モジュール向け需要に期待。

 総務省によると、MVNOサービスの契約数は、2018年3月末時点で1,840万契約と、1年間で16%伸長した。そのうち「格安SIM」(SIMカード型)の契約数は1,130万契約に到達。1年間で26.8%拡大し、MVNOサービス全体の61.4%を占めるなど、MVNO市場を引き続き牽引している。また、移動通信の契約数全体に占めるMVNOサービス契約数の比率は10.6%となった。(いずれもMNOであるMVNOを除いた定義)

 楽天によるフリーテルの買収や、ぷららのサービス終了、ソフトバンクによるLINEモバイル子会社化など、MVNO事業者の合従連衡が始まっており、今後もその動きは加速すると見られる。NTTドコモの「docomo with」、KDDIの「auピタットプラン」、ソフトバンクのサブブランド「ワイモバイル」による攻勢など、既存の3大キャリアによるユーザー流出防止策の効果もあり、個人ユーザーのスマホ向け用途に使われる「格安SIM」(SIMカード型)の増加ペースは鈍化。2016年度までのような急激な右肩上がりの状況ではない。だが一方で、通信モジュール向け需要などは今後も旺盛であると想定されており、MVNOサービス市場全体として、まだ当面は拡大局面が続いていくだろう。
 ICT総研では、競争がますます激化するこの市場を引き続き定点観測していく方針だ。

このプレスリリースの付帯情報

表1.MVNO「格安SIM」利用者シェア

用語解説

【本資料の調査結果・推計データについて】

*本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、ICT総研スタッフによる取材やアンケート調査、各種文献等を元に当社アナリストが記述・推計したものであり、当該企業や公的機関等の公表値と異なる場合がある。
*本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、資料公開時点のものであり、その後の市場環境等の変化や新たな分析に基づき予測データ等を予告なく変更する場合がある。
*本資料は報道・ニュースメディア向け資料であり、ICT総研の許可無く、データ、グラフ等を広告および販促活動に利用することを禁止する。
*Webアンケート実施時期は、2018年7月10日から7月17日である。
*WebアンケートでMVNO格安SIM事業者として回答があった事業者は、OCNモバイルONE、IIJmio、楽天モバイル、LINEモバイル、BIGLOBEモバイル、mineo、b-mobile、nuro mobile、Nifmo、BIC SIM、FREETEL SIM、UQモバイル、U-mobile、Servers Man SIM(トーンモバイル)、エキサイトモバイル、DMM mobile、イオンモバイル、その他事業者である。
*ソフトバンクのサブブランドである「ワイモバイル」については、MVNOではないため回答対象外としている。
*本資料に記載された文章、グラフ等を報道、各種ホワイトペーパー、セミナー資料、学術研究資料等に転載する場合は、「ICT総研調べ」、「出典:ICT総研」 などの表記を加えて下さい。

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