小細胞肺癌が分泌する2種類のマイクロRNAのパターン診断(検出)をDNAコンピュータで実現 -- 東京農工大学

東京農工大学 2018年07月24日

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国立大学法人東京農工大学大学院工学研究院生命機能科学部門の川野竜司テニュアトラック特任准教授と同大学大学院生 平谷萌恵は、DNAを用いて情報処理を行う「DNAコンピューティング技術」と一分子のDNAを検出できる「ナノポア(注1)」を用いて、小細胞肺癌の早期診断マーカーである2種類のマイクロRNAの有無を検出することに成功しました。本技術は健康診断などで体液から直接検査する簡易診断への応用が期待されます。




 本研究成果は、米国化学会が発行するAnalytical Chemistry(電子版7月17日付)に掲載されました。
  (リンク »)
  論文名: DNA Logic Operation with Nanopore Decoding To Recognize MicroRNA Patterns in Small Cell Lung Cancer
  著 者: Moe Hiratani and Ryuji Kawano

現状
 最近癌診断において細胞生検に代わる液体生検(リキッドバイオプシー)が、低侵襲早期診断法として注目されています。マイクロRNAは短鎖のRNAで、癌腫瘍細胞特異的な配列のマイクロRNAが分泌されるため癌の早期診断マーカーとして着目されています。体液中でのマイクロRNAはエクソソームと呼ばれる小胞体に包まれているものも多く、高精度な診断を行うにはエクソソームを分離抽出する必要があり、現状では煩雑な抽出作業を経て診断を行うしかありません。また癌腫瘍細胞から分泌されるマイクロRNAは複雑なパターンで分泌されることから、可能な限りたくさんのマイクロRNAの定量を行う必要がありました。



研究体制
 本研究は、大学院工学研究院生命機能科学部門の川野竜司テニュアトラック特任准教授と工学府大学院生 平谷萌恵らによって実施されました(科研費若手研究A 16H06043により実施)。また現在各種医療機関、大学病院と共同研究を開始しています。



研究成果
 本研究ではDNA分子自体が自律的に他の分子(インプット)を認識し、その情報を伝える(アウトプット)ことができるDNAコンピューティング技術を応用し診断技術に展開しています。小細胞肺癌の次世代診断マーカーである2種類のマイクロRNA(miR-20a、miR-17-5p)が同時に分泌されると、その2種類のマイクロRNAを認識し、複合体構造を作る診断用DNAを人工的に設計・合成しました。合成した診断用DNAを用いて2種のマイクロRNAが「同時に存在するとき(1 1)」、「片方しか存在しないとき(1 0)or(0 1)」、「どちらも存在しないとき(0 0)」の4種類のパターンをマイクロRNAと診断用DNAの複合体構造の違いとしてそれぞれ見分けることに成功しました。(図1)。ナノポアを用いた計測では、マイクロ加工技術で作製したマイクロデバイス中の微小液滴中で計測を行っており、そのDNAがナノポアを通過する電気信号を検出することで高速・簡易診断を実現できました。本研究の成果に関し特許出願(特願2018-121179)も行っています。



今後の展開
 本研究によって、癌の次世代早期診断マーカーであるマイクロRNAの発現パターンを迅速に検出することに成功しました。本成果はエクソソームの分離を必要としない体液そのものから煩雑な前処理無しで癌特異的に診断できる可能性を示しています。今後は、各種医療機関と共同でより複雑なマイクロRNAのパターン診断に関して検証を行い、将来的には健康診断のような大規模診断の現場において癌の早期簡易診断として検査としての展開を目指します。

(注1)ナノポア
 膜タンパク質やイオンチャネルによって、脂質二分子膜中に形成されるナノサイズ(直径1.4nm程度)の孔。一分子の核酸が通過する。

▼本件に関する問い合わせ先
東京農工大学大学院工学研究院生命機能科学部門
テニュアトラック特任准教授 川野 竜司(かわの りゅうじ)
TEL:042-388-7187
FAX:042-388-7187
メール:rjkawano@cc.tuat.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター (リンク »)

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