元素を変えて誘導体創製のゲームチェンジ!?~抗マラリア治療薬候補のモジュラー式迅速合成に成功~ -- 東京農工大学・北里大学・北海道大学

東京農工大学 2018年07月25日

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東京農工大学大学院工学研究院応用化学部門の大栗博毅教授、北里大学の大村智特別栄誉教授、北里大学北里生命科学研究所熱帯病研究センターの岩月正人准教授、北海道大学大学院理学研究院化学部門の及川英秋教授らは、抗マラリア剤アルテミシニンの母骨格6位の炭素を窒素に置き換えた分子を設計し、これまで合成が困難であったアルテミシニンの類縁体を簡便に迅速合成することに成功しました。シンプルな3つのユニットをモジュラー式に連結した後、複雑な四環性骨格を僅か4工程で手早く構築し、多様な誘導体を柔軟に合成できるようになりました。この成果により、次世代のマラリア治療薬や新しい制がん剤の開発に発展することが期待されます。




本研究成果は、アメリカ化学会 Organic Letters(7月23日付)に掲載されました。
論文タイトル:Design and De Novo Synthesis of 6-Aza-artemisinins
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現状
 漢方薬の有効成分であるアルテミシニン (1) やその誘導体アルテスネート (2) は、赤血球内に侵入したマラリア原虫をほぼ一掃する薬効を示し、マラリア治療に革新をもたらしました(屠呦呦博士2015ノーベル生理学・医学賞)。最近では、アルテミシニン類をがんや他の感染症の治療に適用していく取り組みも活発になっています。従来、アルテミシニン類の誘導体化(主となる構造を保ったまま、一部を改変した類縁化合物をつくること)は、化学変換が可能なD環部にほぼ限定されてきました。また、簡便に化学合成できる抗マラリア剤候補として、複雑なアルテミシニン (1) の構造を大幅に簡略化した OZ439 (3) 等が開発されていました。

研究体制
 本研究は、東京農工大学大学院工学研究院応用化学部門のボネパリー・カルナカール・レディ博士、大栗博毅教授、北里大学北里生命科学研究所熱帯病研究センターの岩月正人准教授、石山亜紀特任助教、穗苅玲研究員、乙黒一彦センター長(当時)、北里大学の大村智特別栄誉教授(2015ノーベル生理学・医学賞)、北海道大学大学院理学研究院化学部門の比留間貴久博士、溝口玄樹博士、落合恭平修士、鈴木峻修士、及川英秋教授らによって実施されました。また、本研究はグローバルヘルス技術振興基金(GHIT fund HTLP RFP 2014-001)、科学研究費補助金 基盤研究(B) JP23310156、新学術領域研究(天然物ケミカルバイオロジー)JP26102702、新学術領域研究(反応集積化が導く中分子戦略)JP16H01135、内藤記念科学振興財団、上原記念生命科学財団の助成を受けて行われました。

研究成果
 本研究では、アルテミシニン (1) の構造を簡略化せずに窒素官能基や非天然型置換基を導入した6-アザ-アルテミシニン群(4 等)を設計しました(「アザ」は炭素原子が窒素原子に置き換わったことを意味します)。母骨格の6位の炭素を窒素に置き換える''元素置換戦略''により、(1)モジュラー式迅速合成、(2)置換基の自在導入、(3)母骨格の水溶性改善を目論みました。実際に、シンプルな三つの構築ブロックから僅か4工程で6-アザ-アルテミシニン骨格を構築する合成プロセスを開発しました。このアプローチにより、従来手付かずとなっていたC環部へ様々な置換基を導入した類縁体群を手早く柔軟に合成できるようになりました。今回合成したアザ-アルテミシニン群の中から、アルテミシニン (1) よりも優れた治療効果を発揮するマラリア薬候補化合物(5, 6 等)の創製に成功しました。
 
今後の展開
 合成法の改良と構造の多様化を進めていけば、次世代の感染症治療薬や制がん剤の開発につながる可能性があります。母骨格の炭素を他の元素へ置き換える分子設計・短段階合成戦略は他の天然物にも一般性を持って適用できるはずです。複雑な天然物をモチーフとして生体機能性分子群を合理的に設計し、柔軟に迅速合成していくアプローチとして、今後の更なる発展が期待されます。

◆研究に関する問い合わせ◆
・東京農工大学大学院工学研究院
 応用化学部門 教授
 大栗 博毅(おおぐり ひろき)
 TEL/FAX: 042-388-7037
 E-mail: h_oguri@cc.tuat.ac.jp

・北里大学北里生命科学研究所
 熱帯病研究センター 准教授
 岩月 正人(いわつき まさと)
 TEL/FAX: 03-5791-6175
 E-mail: iwatuki@lisci.kitasato-u.ac.jp

・北海道大学大学院理学研究院
 化学部門 教授
 及川 英秋(おいかわ ひであき)
 TEL: 011-706-2622
 E-mail: hoik@sci.hokudai.ac.jp

◆報道に関する問い合わせ◆
・東京農工大学大学総務部総務課広報・基金室
 TEL: 042-367-5930
 E-mail: koho2@cc.tuat.ac.jp

・北里研究所総務部広報課
 TEL: 03-5791-6422
 FAX: 03-3444-2530
 E-mail: kohoh@kitasato-u.ac.jp

・北海道大学総務企画部広報課
 TEL: 011-706-2610
 E-mail: kouhou@jimu.hokudai.ac.jp

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