インバータ搭載エアコンの省エネ化に貢献する600V SuperJunction MOSFET“PrestoMOS(プレストモス)”

ローム株式会社

From: Digital PR Platform

2019-03-18 09:29


(リンク ») <要旨>
ローム株式会社(本社:京都市)は、エアコン、冷蔵庫などの白物家電のモータ駆動やEVの充電ステーションに最適で、業界最速の逆回復時間(trr(※1))を維持しながら、設計自由度を向上する600V耐圧のSuperJunction MOSFET(以下、SJ-MOSFET)“PrestoMOS(TM)(プレストモス)”に新たに「R60xxJNxシリーズ」30機種をラインアップしました。
今回開発した新シリーズは、従来品同様、ローム独自のライフタイム制御技術を駆使することで、業界最速の逆回復時間(trr)を実現。IGBTと比べ、軽負荷時の電力損失を約58%低減させることに成功しました。
また、MOSFETをONさせるために必要な電圧の基準を引き上げることで、損失増加の原因のひとつとなっていたセルフターンオン現象(※2)が起きない設計になっています。さらに、内蔵ダイオードの特性を最適化し、SJ-MOSFET特有のソフトリカバリ指数(※3)を改善し、誤動作につながるノイズを低減。これらお客様が回路の最適化を行う際の障壁を少なくすることで、設計自由度が向上します。
なお、本シリーズは、既に月産10万個の体制で順次量産を開始(サンプル価格 180~円:税別)しています。生産拠点は、前工程がローム・アポロ株式会社(福岡県)、後工程がROHM Korea Corporation(韓国)となります。加えて、3月からチップワンストップ、ザイコストア(コアスタッフ)、アールエスコンポーネンツの3社にて、インターネット販売を開始しています。

<背景>
世界の電力需要の内、50%近くがモータ駆動に使用されると言われますが、新興国の白物家電普及にともない、モータ駆動による電力消費は年々増加すると考えられています。エアコンや冷蔵庫をはじめ、白物家電のモータ駆動用にはインバータ回路が使用されますが、インバータ回路のスイッチング素子は一般的にIGBTが使用されています。しかし、近年の省エネ化の流れから機器の定常運転時の低消費電力化に効果があるMOSFETへの移行が進んでいます。
こうした中、ロームでは、2012年に初めて業界最速の逆回復特性が特長のパワーMOSFET PrestoMOS(TM)の量産を始めており、アプリケーションの低消費電力化を実現することから非常に高い評価を得ています。
(リンク »)

<PrestoMOS(TM)※とは>
(リンク ») Prestoとは、イタリア語を用いた音楽用語で「きわめて速く」の意味。
一般的にMOSFETは高速スイッチングや低電流域での導通損失が低いといったメリットがあります。例えば、エアコンの場合、定常運転時の低消費電力化に効果的です。PrestoMOS(TM)は、こうした低電流域での低消費電力化に寄与する業界最速の逆回復時間(trr)を特長とする、ロームオリジナルのパワーMOSFETです。
※PrestoMOSは、ロームの商標です。

<設計自由度向上のポイント>
スイッチングスピードの高速化とセルフターンオン現象、ノイズ発生は背反事象であり、お客様は回路設計の際にゲート抵抗等を調整することで、これらの最適化を行う必要があります。一般的な高速trr仕様のSJ-MOSFETに比べ、ロームのR60xxJNxシリーズは既にセルフターンオン現象およびノイズの対策を行っているため、お客様の設計自由度向上に寄与します。

1. 損失増加を防ぐセルフターンオン対策
今回、MOSFETに構造上存在する寄生容量を最適化することで、スイッチング時の意図しないゲート電圧を20%削減しました。また、MOSFETをONさせるために必要な電圧のしきい値(Vth)を約1.5倍に拡大した”セルフターンオン現象が起きにくい設計”になっています。そのため、お客様側で実施されるゲート抵抗等による損失調節範囲が拡大します。
(リンク »)

(リンク ») 2. リカバリ特性の改善によるノイズ低減
一般的に、SJ-MOSFETの内蔵ダイオードにおけるリカバリ特性はハードリカバリになります。しかし、ロームのR60xxJNxシリーズは、構造を最適化することにより、従来品に比べソフトリカバリ指数を30%改善し、業界最速の逆回復時間(trr)を維持したまま、ノイズを低減させることに成功しました。これにより、お客様側でのゲート抵抗等によるノイズ調節が容易になります。


<ラインアップ>
(リンク »)

<アプリケーション> (リンク »)
エアコン、冷蔵庫、産業機器(充電ステーション等)


<用語説明>
(※1) trr : 逆回復時間(Reverse Recovery Time)
スイッチングダイオードがオン状態から完全なオフ状態になるまでにかかる時間のこと。

(※2) セルフターンオン現象
MOSFETに急峻な電圧が加わった際に、意図しないゲート電圧が発生することで、製品固有のしきい値を超えてMOSFETが誤ONする現象のこと。この時に発生する不要なON時間は損失に直結します。一般的に、インバータ回路のようなブリッジ回路で課題となる場合が多く、外付け部品の追加などの対策が必要となります。


(リンク ») (※3) ソフトリカバリ指数
一般的にダイオードには、逆回復時間(trr)が小さいもののノイズが発生しやすいハードリカバリと、ノイズが発生しにくいものの逆回復時間(trr)が大きいソフトリカバリがあります。特に、SJ-MOSFETの内蔵ダイオードはハードリカバリ特性が強くなるのが特長です。ソフトリカバリ性を表す指数として図のta÷tbが用いられます。
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