2019年7月 公衆無線LAN通信速度実測調査

株式会社ICT総研

2019-07-17 00:00

株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は7月17日、公衆無線LANサービス(公衆Wi-Fiサービス)の通信速度実測調査の結果をまとめた。公衆無線LANサービスは、観光地や交通機関、飲食店において、主にスマートフォンのデータオフロードや訪日外国人向けの通信インフラとして活用されており、安定した需要を見せている。今回の調査では、公衆無線LANサービスの提供事業者ごとの実効速度の実態を把握することを目的とした。
 調査対象は、当社による過去のユーザーアンケート調査で高い利用率を見せたdocomoWi-Fi (NTTドコモ)の「0001docomo」、au Wi-Fi (KDDI)の「au_Wi-Fi2」、ソフトバンクWi-Fiスポットの「002softbank」、セブン&アイの「セブンスポット」(7SPOT)、スターバックスの「at_STARBUCKS_Wi2」、羽田空港の「HANEDA-FREE-WIFI」の6種類のアクセスポイントとした。測定端末はiPhone 8とし、各アクセスポイントで閑散時間帯と繁忙時間帯それぞれ10地点ずつ、速度測定サイト「インターネット速度テスト」(Google)にて、1地点あたりそれぞれ3回ずつ測定した。測定エリアは東京都内の大手町、丸の内、神田、御茶ノ水、秋葉原、新宿。調査期間は7月3日から16日まで。

■ キャリア3社平均下り20.2Mbpsに対し、キャリア以外は平均23.4Mbpsとやや上回る。

 調査の結果、携帯電話キャリア3社(NTTドコモ、au、ソフトバンク)の下り速度が平均 20.2Mbpsなのに対し、キャリア以外(セブンスポット、at_STARBUCKS_Wi2、HANEDA-FREE-WIFI)は平均 23.4Mbpsと、キャリア以外の通信速度がやや上回った。
 中でも、HANEDA-FREE-WIFIは下り平均 31.3Mbpsと、唯一の30Mbps超えとなった。前回調査(2018年5月)でも、HANEDA-FREE WIFIは、RBB SPEED TESTによる計測で下り 35.7Mbpsを記録しており、依然として安定した通信速度を維持している。
 一方で、セブンスポットは、前回調査では下り平均 59.7Mbpsと驚異的な通信速度を記録したが、今回調
査では下り 23.0Mbpsと、他社並みの速度に落ち着いた。また、携帯電話キャリア3社の中では、「au_Wi-Fi2」が下り速度 22.5Mbpsと、他の2社を上回る結果を残した。

■繁忙時間帯の下り速度は、閑散時間帯の88.5%と、全体的にやや速度が落ちる傾向。

 繁忙時間帯(11時30分~13時30分)と閑散時間帯(9時30分~11時30分、13時30分~16時30分)の全社平均の下り速度を比較すると、繁忙時間帯は、閑散時間帯の88.5%であった。前回調査では、これが92.8%だったので、より繁忙時間帯の速度遅延が目立つ結果となった。
 携帯電話3社(82.8%)とキャリア以外(93.6%)を比較すると、携帯電話3社の方が繁忙時間帯の速度遅延が大きい。ただし、携帯電話キャリアの4G回線(特にMVNO事業者)で見られるような、繁忙時間帯の急激な速度低下は見られていない。

■HANEDA-FREE-WIFIが、下り速度 閑散時 34.1Mbps、繁忙時 28.4Mbpsでトップ。

 HANEDA-FREE-WIFIは、閑散時 下り 34.1Mbps、繁忙時 下り 28.4Mbpsと、いずれもトップの速度を記録した。また、ソフトバンクWi-Fiスポット(閑散時 下り 16.9Mbps、繁忙時 下り 19.9Mbps)、セブンスポット(閑散時 下り 21.1Mbps、繁忙時 下り 24.8Mbps)については、繁忙時間帯の速度が閑散時間帯を上回るという逆転現象を見せた。

■上り速度は、キャリア平均 22.6Mbps、キャリア以外平均 31.2Mbpsと、差が広がる傾向。

 上りの通信速度は、携帯電話キャリア3社平均 22.6Mbps、キャリア以外平均 31.2Mbpsと、下り速度よりも差が広がる傾向を見せた。また、全体的に、上り速度(平均26.9Mbps)が下り速度(平均21.8Mbps)を上回る結果となった。特にdocomo Wi-Fiとセブンスポットは、上り速度と下り速度の差が大きい。
 前回調査と同様に、携帯電話キャリア3社の公衆無線LANサービスは通信速度という点で必ずしも優勢ではないという点、4G回線と比較すると混雑時間帯の速度低下が著しくない点などが、今回の調査から言えるだろう。
 NTTドコモが月間データ容量制限超過後の速度を128kbpsから1Mbpsに改善するなど、携帯電話キャリアの4G回線の使い勝手の改善も見られているが、公衆無線LANにおいても、通信速度という品質面で今後さらなる品質改善を期待したい。
  ICT総研では今後も、「つながりやすさ」や「通信速度」について、ユーザーが利用するさまざまなシーンを想定し、ユーザーにとって指標となる実測データを定期的に提供していく方針である。

用語解説

*本文中の「MVNO」は、仮想移動体通信事業者を指す。
*本資料における全ての文章、数値、表、データは、調査実施時点のものである。
*通信速度は、同じ地点であっても、測定日時や天気、測定端末の向き・高さ、ネットワークの混雑状況
などにより、大きく変動するものであり、注意されたい。
*本資料に記載された文章、グラフ等を報道、各種ホワイトペーパー、セミナー資料、学術研究資料等
に転載する場合は、「ICT総研調べ」「出典:ICT総研」などの表記を加えて下さい。

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