肌状態と毛細血管の血流調節機能との関わりを確認・顔肌の毛細血管を効率よく抽出できる画像解析技術を開発

花王株式会社

From: 共同通信PRワイヤー

2019-08-02 11:01

2019年8月2日

花王株式会社

肌状態と毛細血管の血流調節機能との関わりを確認
顔肌の毛細血管を効率よく抽出できる画像解析技術を開発

 花王株式会社(社長・澤田道隆)スキンケア研究所と情報システム部門は、血液循環などの身体機能にも着目し皮膚科学研究を行なう中、毛細血管の血流調節機能が肌状態と関連があることを見出しました。
また、このような毛細血管と肌に関する研究を深耕することをめざし、マイクロスコープによる顔の肌画像から毛細血管を自動抽出する画像処理技術を開発しました。

 本研究内容の一部は、「第58回日本生体医工学会大会(2019/6/6~8、沖縄県)」、「第19回抗加齢医学会総会(2019/6/14~16、神奈川県)」にて発表しています。

■背景
 花王は、「皮膚も身体の一部」という視点から、血液循環などの身体機能にも着目し、研究を行なっています。2015年には、外部環境の変化に応じて血流を調節する力、血管力※1が高い人は皮膚性状が良好であることを初めて見出し、さらにこの血管力はストレスとも関連があることを報告しています※2。
 血管の中でも、毛細血管は、全身の血管から細かく枝分かれして存在し、組織に酸素や栄養を供給し老廃物の回収を行なうといった血液循環の最も重要な物質交換機能を担っています。しかし、皮膚の毛細血管には常に血液が流れているわけではありません。毛細血管は、全身の血管とは異なる制御機構を持っており、組織の酸素濃度や代謝活動に応じて、血流が調節されていることが知られています。
 しかしこれまでは、極めて微細な毛細血管のみを抽出して測定することは困難で、このような毛細血管の働きと皮膚の機能や代謝、肌の美しさとの関連や、その詳細はわかっていませんでした。
※1 皮膚血流調節能を意味し、冷水負荷後の皮膚温回復率で計測しています。冷水負荷(15℃の冷水に1分間手を浸漬)後、手を冷水より引き上げ、直後のサーモグラフィー画像により、指先の皮膚温度を測定。その後、10分後の指先の皮膚温度を測定して、皮膚温回復率を算出。
※2 2015年7月30日 花王ニュースリリース  (リンク »)
  「血管力※1 と皮膚性状の関係を発見 皮膚科学と健康科学を融合し、「生命美容科学」のステージへ」


■研究Ⅰ.毛細血管の状態、機能と肌性状
 花王は、2017年、20~60代の日本人女性98名の肌の毛細血管をマイクロスコープにより観察し、定常状態における毛細血管の面積、長さ、密度、実験的に血流を亢進させた際の血流調節機能※3など、毛細血管に関するさまざまな指標と肌状態との関連性を検討しました。その結果、定常時の毛細血管の状態よりも、血流調節機能の方が多くの肌状態と関連していることがわかりました。
※3 局所的に炭酸を含む温水(32℃)を負荷した後の毛細血管領域面積の変化量


 さらに年代別の解析を行ったところ、20~30代で血流調節機能が高い人は、「キメ」が良好な状態であることが示されました。50~60代で血流調節機能が高い人は、角質細胞の面積が小さいことが確認され、表皮細胞の生まれ変わりがより活発であることが示唆されました(図1)。

【画像: (リンク ») 】

■研究Ⅱ.肌の毛細血管を自動抽出する画像解析技術開発

 毛細血管と肌性状との関連についてさらに深く検討するため、マイクロスコープによる撮像から毛細血管を高精度に抽出する技術開発を試みました。
 顔の肌にはメラニンや毛が存在するため、これまで毛細血管のみを抽出して測定することは困難でした。そこで今回、毛細血管を含む肌画像を、独立成分分析法により、ヘモグロビン・メラニン・陰影の各成分に分割し、ヘモグロビン成分画像にフィルタ処理を行い、管状構造を持つ毛細血管を選択的に抽出しました。さらに、陰影成分から生成した画像を用いてマスク処理を行ない、毛由来のノイズを低減。この方法により、マイクロスコープ画像から毛細血管を高精度に抽出するアルゴリズムを構築しました(図2)。
 本アルゴリズムと熟練者が画像を視認して毛細血管を人手でトレースする方法を比較したところ、全抽出画像のうち96.6%が一致し、高精度にかつ、短時間で肌の毛細血管が抽出できることを確認しました。

【画像: (リンク ») 】

■まとめ
 今回、毛細血管の血流調節機能が肌性状と関連することを確認しましたが、これはこれまでの研究知見とあわせ、血流調節機能が肌の美しさに関わる可能性を示すものと考えます。また、マイクロスコープによる肌画像から毛細血管を抽出、定量する新たな評価手法を開発したことで、毛細血管の状態や機能の評価、および顔の肌との関係性をより深く調べることが可能になりました。
 今後は、加齢や環境による血管の状態変化などについても検討を進め、肌の代謝やシミ、シワなどのさまざまな状態に与える影響の解析を行なっていく予定です。



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