2021年 スマートホーム家電の利用動向に関する調査

株式会社ICT総研

2021-03-18 13:00

株式会社ICT総研(東京都千代田区)は3月18日、スマートホーム家電の利用動向に関する調査の結果をまとめた。

 携帯電話の契約者数が人口総数を超えており、飽和しつつあるという見方がある中、「IoT」(Internet of Things)の市場が急速に拡大している。コンシューマ向け、ビジネス向けともにIoTの市場は拡大しているが、今回の調査では、コンシューマ向けの「スマートホーム家電」(ホームIoT家電)の市場に着目した。
 スマートホーム家電は、「インターネットにつなぎ、スマートフォン等で操作できることができる家電」を指す。離れた場所からでもインターネット経由で家電を操作できることから、時間節約、効率化、防犯等の利点が期待できる。また、接触端末を集約でき、音声操作等も活用できることから、コロナ禍での感染防止という点も注目されている。
 この調査では、「スマートホーム家電」について、消費者の利用動向の実態を把握することを目的とした。調査手法はインターネットユーザー3,226人へのWebアンケート形式。調査期間は2021年3月5日~8日である。なお、スマートホーム家電製品は数多くあるが、この調査で対象としたスマートホーム家電製品は、スマートスピーカー、スマートリモコン、スマートライト、スマートプラグ、スマートセンサーである。


■ 「スマートホーム」について「意味を把握」、「聞いたことがある」回答は、合計68.0%。

 調査の結果、「スマートホーム」について「意味を把握している」とした回答者は26.7%、「聞いたことはあるが、意味は把握していない」とした回答者は41.4%。両者を合計すると、少なくとも「聞いたことがある」回答者の比率は68.0%であった。言葉の意味まで把握している回答者は3割に満たないが、言葉自体は広く認知されつつある状況である。


■ スマートホーム家電を選ぶ際に重視した点は、「機能・性能」、「価格」、「クチコミの評判」。

 いずれかのスマートホーム家電を利用しているとした回答者は426人。彼らに、スマートホーム家電を選ぶ際に重視した点を聞いた。この結果、「製品の機能・性能」が46.2%でトップ。以下、「価格」 44.8%、「クチコミの評判の良さ」 17.4%、「保証内容・保証期間の長さ」 15.5%、「メーカーのブランド力・認知度」 14.8%、「説明書のわかりやすさ(日本語表記等)」 14.6%、「国産メーカーであること」 14.3%と続いた。
 製品の機能・性能、価格が上位に来ることは当然だが、メーカーの認知度や、国産メーカーであることを重視する回答が多い点が目を引く。スマートホーム家電製品は、大手家電メーカー以外の海外メーカーが製造している場合も多い。聞いたことがないメーカー・ブランドに対して消費者が一定の信頼性を求めていることが、結果として表れている。また、説明書のわかりやすさ(日本語表記等)を挙げる回答者も一定数いることから、「わかりやすい日本語」の説明書が用意されていないような実態もあるものと推察される。


■ 利用率の高いスマートホーム家電はスマートスピーカー(12.5%)。スマートリモコンが続く。

 今回調査対象としたスマートホーム家電のうち、最も利用率が高かったのは、スマートスピーカー (12.5%)であった。以下、スマートリモコン(2.1%)、スマートライト(1.8%)、スマートプラグ(1.8%)、スマートセンサー(1.6%)と続いた。
スマートスピーカーは、それ自体がスマートホーム家電であるだけでなく、他のスマート家電と連携させることで、スマートホーム家電の司令塔となる製品。スマートフォンの代わりに音声操作でスマートホーム家電を操作することも可能になるなど、活用シーンが広いこともあり、高い利用率になっていると考えられる。
スマートリモコンは家電のリモコンをスマートフォンやスマートスピーカーに集約するための製品、スマートライトはスマートフォンやスマートスピーカーで電球・ライトのオン/オフや調光ができる製品であるが、スマートスピーカー以外のスマートホーム家電の現在の利用率は1~2%程度と低い状況である。


■ スマートスピーカーはグーグル、スマートリモコン、スマートライトは+Styleが利用率トップ。

 スマートホーム家電で利用率が最も高かったスマートスピーカーをブランド別に見ると、グーグル「Home」・「Nest」が利用率8.1%でトップ。アマゾン「Echo」 6.4%、LINE「CLOVA」 4.0%、アップル「HomePod」 3.9%と続いた。この4製品以外の利用率は0.3%に過ぎない。グーグル「Home」・「Nest」は、年代別では30代、性別では男性の利用率が高い傾向が見られる。
スマートリモコンをブランド別に見ると、「+Style」が利用率1.4%でトップ。「Nature Remo」 1.0%、「SwitchBot」 0.8%と続いた。「+Style」は30代、男性の利用率が高い。
スマートライトについては、「+Style」が利用率1.3%でトップ。「Philips Hue」と「TP-Link」が0.7%となった。「+Style」は20代、男性の利用率が高い傾向にある。


■ 今後利用したいスマートホーム家電は、スマートライト、スマートリモコン、スマートセンサー。

 現在、スマートホーム家電を利用していない回答者に対して、今後利用したいスマートホーム家電を聞いたところ、スマートライトが「1年以内に利用したい」 28.9%、「いずれは利用したい」 5.6%といずれもトップ。両者を合わせた「利用したい(合計)」は34.6%となっている。以下、スマートリモコン(合計31.4%)、スマートセンサー(合計 29.2%)と続いた。

 先述のとおり、「スマートホーム家電」は、消費者の認知度のわりに、理解度が低い状況にある。スマートホーム家電で何ができるかをメーカー側が積極的に訴求することで、市場の拡大はさらに加速するはずだ。今後もICT総研ではこの市場を定点観測していく方針である。

このプレスリリースの付帯情報

表1.スマートホームの認知度

用語解説

【本資料の調査結果・推計データについて】

*この調査は、インターネットユーザー3,226人へのWebアンケート調査の結果をまとめたものである。調査実施時期は2021年3月5日から3月8日。
*サービス名の表記は主に提供事業者が用いているものを採用したが、カナ・アルファベット・大文字・小文字の表記が異なる場合がある。また正式名称と通称が異なる場合がある。
*本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、ICT総研スタッフによるアンケート調査を元に当社アナリストが記述・推計したものであり、当該企業や公的機関等の公表値と異なる場合がある。
*本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、資料公開時点のものであり、その後の市場環境等の変化や新たな分析に基づき予測データ等を予告なく変更する場合がある。
*本資料は報道・ニュースメディア向け資料であり、ICT総研の許可無く、データ、グラフ等を広告および販促活動に利用することを禁止する。
*本資料に記載された文章、グラフ等を報道、各種ホワイトペーパー、セミナー資料、学術研究資料等に転載する場合は、「ICT総研調べ」「出典:ICT総研」などの表記を加えて下さい。

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