令和3年3月30日
内閣府政策統括官(政策調整担当)付
参事官(子どもの貧困対策担当)
企業がコロナ禍で「子供の貧困」に取り組む意義・目的を共有する場に! STOP子供の貧困。企業が行うSDGs達成に向けたアクション 〜いま始めるべき、コロナ禍での取組とは オンラインイベントを開催 子供の貧困縮小やSDGsの達成は企業価値を高める 各企業・個人が得意とする分野で幅広い支援・協力を
内閣府は、平成27年10月から子供の未来応援国民運動(※)として、国や地方自治体、民間の企業・団体などが連携・協働し、国民の参加を得ながら、社会全体で支援の輪を広げる国民運動を推進しております。その一環として、「STOP子供の貧困。企業が行うSDGs達成に向けたアクション〜いま始めるべき、コロナ禍での取組とは」オンラインイベントを、3月15日(月)に開催しました。
今回のイベントでは、子供の貧困の縮小に資する活動を行う企業や団体の担当者が登壇し、コロナ禍における現状を報告し、私たちに必要なアクションはどんなことなのか、また支援を通じて得られる企業価値などについて、意見交換を行いました。
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(左から)ジャーナリスト・キャスター 堀潤氏/
ライオン株式会社 小和田みどり氏/日本ロレアル株式会社 楠田倫子氏 特定非営利活動法人キッズドア 渡辺由美子氏
<イベントリポート>
子供の貧困に取り組む企業・団体が登壇し報告やトークを展開
イベントでは、主催者として飯田 剛(内閣府子どもの貧困対策担当参事官)が登壇し、開会の挨拶を行いました。日本の子供の相対的貧困率は13.5%(2018年、厚生労働省調べ)であることなど、現状を説明。貧困に苦しんでいる子供たちに必要な支援を届けるためには、企業・団体・個人が協力して取り組むことが必要であると訴え、「子供の未来応援国民運動」への協力を呼びかけました。「本イベントをきっかけにして、一人でも多くの人に支援の手を差し伸べられるようにしたい」と話しました。
続いてファシリテーターを務めるジャーナリストの堀 潤氏、子供の貧困縮小に資する活動を行うライオン株式会社 サステナビリティ推進部長 小和田みどり氏、日本ロレアル株式会社 ヴァイスプレジデント コーポレートコミュニケーション本部 本部長 楠田倫子氏、特定非営利活動法人キッズドア 理事長 渡辺由美子氏が登壇。企業とNPOの立場から、現状の報告や事例に基づいたトークが展開されました。
■第一部「子供の貧困の現状と、コロナ禍での影響」
貧困による学力格差によって、経済的困窮は次世代に連鎖。
コロナウイルス感染拡大による影響で困窮度は高まっており、社会による支援が急務
イベントの第一部「子供の貧困の現状と、コロナ禍での影響」では、キッズドアの渡辺氏が、子供の貧困は働いているにもかかわらず収入が低い、いわゆるワーキングプアの一人親世帯が多く、親の所得が子供の学力に影響を与え、進学などで不利になり、貧困の連鎖につながっていると話しました。
この問題に渡辺氏が理事長を務めるNPO法人では、約200の企業や個人からの支援、そして行政委託を受け、子供たちに必要な学習支援を提供。学習支援を受けることで進学が可能になるなど、子供たちの未来が変わっていくことを報告しました。そして、貧困を福祉ととらえず社会への投資と考えた支援が求められ、貧困を抱える子供たちに教育機会を提供することが日本の未来にとって重要であると話しました。
さらに、一人親世帯だけでなく二人親世帯でも子供の貧困が広がっていることを報告。コロナウイルス感染拡大による影響として、必要な食料を買えない、家賃・電気・ガス・水道などの支払いができないことがあった家庭もあるなど、貧困が深刻化していると指摘。困窮について声をあげられない人たちも含めて、支援の手を差し伸べる必要があると話しました。
■第二部「子供の貧困の縮小・SDGsの達成に向けてできること(事例紹介)」
企業の持つノウハウを活かしてNPOと連携することにより、独自性の高い社会貢献活動が実現
イベントの第二部「子供の貧困の縮小・SDGsの達成に向けてできること(事例紹介)」では、登壇者から企業が持つノウハウなどを活かした取組が紹介されました。
ライオン株式会社の小和田氏は、オーラルケアの機会をすべての人に提供する「インクルーシブ・オーラルケア」を紹介。その一環として、NPOが実施する「こども食堂」「子ども宅配」を通じ、「歯みがき」や「歯と口の健康」をテーマにした体験プログラムを提供する活動を展開していると報告しました。
経済的困窮家庭で育った子供たちは、そうでない子供たちと比べ、虫歯が多い傾向にあり、また、他者から褒められる体験や、親以外の大人とコミュニケーションをとる機会が少なく、自己肯定感が低いという特徴があり、これらの調査結果をもとに、同社ではこの取組を開始。ダンスやクイズといった子供たちに親しみやすい歯磨きプログラムと、自社製品やノウハウの提供により健康格差の是正に貢献しています。それと同時に、子供たちが褒められる機会を増やすことで自己肯定感の向上につなげて自立をサポートしています。
これらの活動は、社員の働くことへのモチベーションアップにつながり、積極的なボランティアへの参加意欲も上がっている。また、取引先などステークホルダーからも大きな反響を得たと話しました。
日本ロレアル株式会社の楠田氏は、シングルマザーのキャリア支援プログラム「未来への扉」を紹介しました。同社では、シングルマザーの世帯収入の平均が、シングルファーザー世帯の6割程度と低いことなどの社会課題に注目し彼女たちのキャリア支援に着手。仕事と子育てに追われながらスキルアップをすることが困難である状況を解決するため、シングルマザー支援の実績を持つNPO法人と連携し、ビジネスマナーやパソコンの講座などの学びの機会を提供。さらに、社会人としての好感度や自己肯定感を高めるため、ロレアルの社員によるメイクなどの身だしなみ講座も提供し、化粧品メーカーとしてのノウハウを支援につなげています。事務職コースと美容部員コースの2種があり、プログラム修了後、人材派遣会社における事務職社員もしくは日本ロレアルの美容部員として面接を受けることが可能です。この活動は2013年から開始し、のべ130人以上が受講。その半数以上が収入増につながるなどキャリア支援につながりました。
楠田氏は、責任ある企業として、こういった社会課題への貢献は必然であると話し、結果的に消費者に選ばれ、社員が自社に対してプライドを持つことや、社会問題への意識の高い学生など人材確保につながっていると話しました。
ファシリテーターの堀氏は、こういった支援のノウハウを保有する企業と、草の根で活動するNPOなどの団体がネットワークを組むことが大事であり、両者をつなぐきっかけづくりが大切であると指摘。政府が推進する「子供の未来応援国民運動」による、企業と団体のマッチング活動が活発に行われていることを説明しました。
団体が企業に求めることとして渡辺氏は「貧困という社会課題がまだ認知されていない。ぜひ関心を持ち、現状を知っていただきたい」と述べました。企業が団体と協力関係を作る際には、小和田氏は「団体のそれぞれの特長が明確だとマッチングのきっかけになりやすい」、楠田氏は「様々な団体の話を聞く中で親和性のある協力先と出会うことができる」と、経験を踏まえた助言を行いました。
子供の貧困の解消に資する活動に取り組む中で、これから実現したい社会・未来像について尋ねると、小和田氏は「オーラルケアを通じて健康格差をなくし、健康で生きていける社会を実現したい」、楠田氏は「誰も取り残されない社会を実現し、すべての人が自分らしく輝ける社会を実現したい」、渡辺氏は「より多くの人に支援の気持ちを持っていただき、問い合わせなどのアクションをしてほしい」と述べました。
■最後に:子供の貧困の縮小に向けて
子供の貧困の縮小への取り組みは、社会全体での協力が不可欠。
未来を担う子供たちの支援は、企業価値の向上やSDGsの達成にもつながる重要な課題
登壇者の皆さんに子供の貧困の縮小に向けて持つべき視点や行うべき取組について提言をしていただきました。小和田氏は「サステナブルに推進する」、楠田氏は「世界をつき動かすような美の創造」、渡辺氏は「社会全体で子供を支えよう。みんなの参加を」と提言しました。
堀氏は、本イベントでの議論を総括し、社会全体で協力してアクションが連なることで、子供の貧困の縮小やSDGsの達成につながると説明しました。そして、子供の未来応援国民運動のホームページを見るなど関心を持っていただき、周囲にも勧めてほしいと協力を呼び掛けて本イベントは終了しました。
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ライオン株式会社 小和田みどり氏
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日本ロレアル株式会社 楠田倫子氏
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ジャーナリスト・キャスター 堀潤氏
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特定非営利活動法人キッズドア 渡辺由美子氏
<STOP子供の貧困。企業が行うSDGs達成に向けたアクション
〜いま始めるべき、コロナ禍での取組とは 開催概要>
■タイトル:STOP子供の貧困。企業が行うSDGs達成に向けたアクション
〜いま始めるべき、コロナ禍での取組とは
■主催:内閣府
■日時:令和3年3月15日(月) 17:00~18:30
■登壇者:
・内閣府 子どもの貧困対策担当参事官 飯田剛
・ライオン株式会社 サステナビリティ推進部長 小和田みどり氏
・日本ロレアル株式会社 ヴァイスプレジデント
コーポレートコミュニケーション本部 本部長 楠田倫子氏
・特定非営利活動法人キッズドア 理事長 渡辺由美子氏
・<ファシリテーター>ジャーナリスト・キャスター 堀 潤氏
※子供の未来応援国民運動について
日本には、生まれ育った環境によって、栄養バランスのよい食事をとれない子供たち、十分な教育の機会が得られない子供たちがいます。日本の子供の相対的貧困(※)率は13.5%(2018年、厚生労働省調べ)となっており、経済的理由により就学援助を受けている小学生・中学生は約137万人います(2018年、文部科学省調べ)。
生まれ育った環境によって子供たちの将来が閉ざされることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図るとともに、全ての子供たちが夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指すという方針の下、官公民の応援ネットワークによる国民運動を推進しています。
平成27年4月2日に国民運動発起人集会が開催され、国民運動の趣意書が採択。同10月より、本格的に国民運動プロジェクトを始動。「子供の未来応援基金」による草の根で活動しているNPO等団体に対する支援、支援を必要とするNPO等団体と支援を希望する企業等のマッチングの推進、各種支援情報の発信などを行っています。
なお、国民運動推進事務局は内閣府、文部科学省、厚生労働省及び独立行政法人福祉医療機構により構成。
【子供の未来応援プロジェクト】
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【子供の未来応援国民運動Facebookページ】
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