酪農学園大学(北海道江別市)食と健康学類の阿部茂教授の食品開発研究室はこのたび、中西製作所(本社:大阪市生野区、代表取締役社長:中西一真)製のSVロースターを使ったサバの過熱水蒸気焼成実験を行い、従来のオーブン焼成に対する品質的な優位性を証明した。
阿部研究室では従来のオーブンで焼成した塩サバと過熱水蒸気焼成を行った塩サバの品質比較を実施。中心部まで十分に加熱される条件として、オーブンの焼成条件は1300W・7分、SVロースターの過熱水蒸気の焼成条件は250℃・5分として実験した。
その結果、過熱水蒸気による焼成では、従来のオーブンと比較して水分保持率が高く、ジューシーに仕上がることが証明された。また、破断応力(噛みきる力)も小さく、破断時間(噛みきる時間)も短いため、食感が軽く、サクッとしていることも判明。さらに、焼成したサバの焼き色について色彩色差計で測定したところ、過熱水蒸気による焼成のほうが、より明るい焦げ目がつくことも分かった。
写真からはオーブンによる焼成だと焦げて縮んでいる様子がわかるが、過熱水蒸気焼成では焦げ色が薄く、縮みが少ないことが確認できる。
阿部研究室と中西製作所は2021年度も継続して研究を行い、サバを過熱水蒸気焼成した際の表面油脂の酸化抑制について検証を行うほか、冷凍・冷蔵保存を行った後の再加熱時の品質保持効果など、過熱水蒸気による焼成の優位性を検証していく。
◆SVロースターが用いる過熱水蒸気とは
過熱水蒸気とは、通常の蒸気をさらに100℃以上に再加熱した高温の水蒸気ガスのこと。超低酸素、高凝縮潜熱等の特長があり、近年では食品加工に過熱水蒸気を用いることにも注目が集まってきている。これまでの研究により、食品加工における過熱水蒸気処理は従来の加熱方法と比較して、エキス損失低減、歩留まり改善、色調改善、物性改善、および表面殺菌などのさまざまな効果を有することが明らかになっている。
このような特長を持つ過熱水蒸気を新しい食品加工技術として用いることで、従来の製品より美味しく、高い付加価値を持つ農水産物の加工品ができることが期待されている。
阿部研究室では2019年度から中西製作所製のSVロースターの無償貸与を受け、農水産物の加工技術や新製品の開発に取り組んでいる。
●酪農学園大学について( (リンク ») )
日本の酪農業の発展と北海道の開発に貢献し「日本酪農の父」「北海道開拓の父」と呼ばれた黒澤酉蔵が1933年に創設した北海道酪農義塾を起源とする農や獣医療に特化した大学。健やかな大地が健康な人々を育む「健土健民」の精神のもと、2学群5学類を設置し、その中でも食と健康学類では、安全・安心な「食品」の製造・加工・流通から健康までの教育・研究を行っている。
●株式会社中西製作所について( (リンク ») )
1946年に学校給食用のアルマイト食器の販売を目的に個人創業。その後、食器洗浄機を開発し、1958年より法人化。以降、学校給食への厨房機器を中心に、複雑な厨房機器をシステム化したフレシキブルな提案を得意とする。マクドナルドをはじめとした外食チェーン各社にも厨房機器を提供している。
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[株式会社中西製作所]
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