クオンティニュアム、イオントラップ型量子コンピュータH1-1のアップグレードにより、全結合を維持した20量子ビットを達成

同社顧客のJPモルガン・チェースと共同で、アップグレードした量子コンピュータH1-1に対して性能や機能を検証する大規模なテストを実施

クオンティニュアム株式会社

2022-06-24 11:00

※本報道資料は、Quantinuum社が2022年6月14日に配信したプレスリリースの抄訳です。

コロラド州ブルームフィールド、2022年6月14日 – クオンティニュアムは、同社が開発・運用する量子コンピュータH1-1のメジャーアップグレードを発表しました。このアップグレードにより、20量子ビットの全結合が達成され、並列して実行可能な量子演算数が増大しました。

今回のアップグレードの結果、2020年秋の発表以来、量子コンピュータの総合性能の指標である量子ボリュームに関して数々の記録を打ち立ててきた*1「H1-1」*2の計算能力が更に向上しました。

クオンティニュアムの社長兼最高執行責任者であるTony Uttleyは、次のように述べています。「今回のアップグレードで、ユーザーはパフォーマンスを犠牲にすることなく、以前よりも複雑な計算を実行できるようになりました。当社はユーザーに最高のパフォーマンスを提供し続けるために、継続的にシステムのアップグレードを行っています。今回のアップグレードも、この当社独自のビジネスモデルの一例です。」

今回アップグレードしたシステムの性能と機能の検証にあたって、JPモルガン・チェース*3のプライベート・プレビューを含め、社内外のユーザーにより広範囲のテストが実施されました。

JPモルガン・チェースの卓越エンジニア兼量子コンピューティングおよびとコミュニケーション領域の研究責任者であるMarco Pistoia博士は、次のように述べています。「JPモルガン・チェースの量子コンピューティングチームは、クオンティニュアムの非常に高い量子ボリュームを利用して、量子ビットの中間測定と再利用、条件付き量子操作に関する実験を行いました。」彼は続けて、「私たちは、H1-1の20量子ビットを用いて、量子自然言語処理アルゴリズムによる抽出型文書要約を行いました。 その結果、ノイズのないシミュレータで計算した参照値とほぼ同じ結果を得ることができました。最近我々が発表したarXivプレプリントに示されているように、これは量子コンピュータの忠実度(フィデリティ)が高いことを示しています。クオンティニュアムの量子コンピュータは、量子コンピューティング研究にとって欠かせないリソースであり続けているのです。」と述べました。

今回クオンティニュアムの研究チームによって行われた量子コンピュータH1-1のアップグレードの概要は以下の通りです。

• 2量子ビットゲートのエラーを低く抑え(標準的な忠実度は99.7パーセント、最高で99.8パーセント)、量子ビットの中間測定*4、量子ビット再利用、条件付き量子操作、全結合等の重要な機能は維持しながら、全結合された量子ビット数を12から20に増加

• ゲートゾーンを3箇所から5箇所に増やすことで、H1-1がより多くの量子演算を同時に完了できるようにし、回路の実行において並列化を向上

Uttelyは、「今回のアップグレードは、Hシリーズのロードマップにおける重要な次のステップです。つまり、ゲートの忠実性を損なうことなく量子ビット数とゲートゾーンの数の増加が可能であることを実証しています。」と述べました。

クオンティニュアムは、System Model H1の第2バージョンであるH1-2に対しても、今年後半に同様のアップグレードを実施する計画です。

Uttlyは加えて、次のように述べました。「このような最新の進歩は、私たちがイオントラップ型量子ハードウェアの機能拡張における重要なポイントを理解し、技術ロードマップにおいて期待されている進歩を継続して達成できていることを示していると確信しています。」さらに、「私たちは、量子ビット数を増加させながら、機能を損なうことなく高い忠実度も維持しています。これは、Hシリーズを次世代型へとスケールアップしていく際に必要不可欠なことです。」と述べました。

また、クオンティニュアムは、System Model H1を使用して、サイバーセキュリティ製品であるQuantum Origin*5や、最近リリースした量子計算化学ソフトウェアプラットフォームであるInQuanto*6など、完全統合型量子ソリューションを開発・提供しています(H1マシンへのアクセスは、InQuantoソフトウェアのライセンスで提供されます)。

さらにクオンティニュアムは、マイクロソフトのAzure Quantum*7を介して、イオントラップ型量子コンピュータH1-1、H1-2、およびH1 Emulatorsへの商用アクセスも提供しています。

Azure Quantumの 主席プログラム・マネージャーであるFabrice Frachon氏は、次のように述べています。「クオンティニュアムが提供するシステムの継続的なアップグレードは、マイクロソフトのお客様にとって大きなメリットをもたらします。マイクロソフトは、Microsoft Azure Quantumおよび量子ハードウェアへのフリーアクセスを提供するAzure Quantum Creditsプログラムを介して、クオンティニュアムのHシステムにアクセスするお客様に、20量子ビットを備えたH1-1の新しい機能を提供できることを嬉しく思います。」

新しくアップグレードされたH1-1の詳細については、 (リンク ») からご確認いただけます。

以上

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Quantinuum(クオンティニュアム)について

クオンティニュアムは、Honeywell Quantum Solutions の最先端ハードウェアと Cambridge Quantum の最先端ミドルウェアおよびアプリケーションを併せ持つ世界最大の量子コンピューティング企業です。

米国、欧州、日本に7つの拠点を持ち、300人以上の科学者を含む400人以上の従業員を擁しています。

「Science Led, Enterprise Driven」をスローガンに、量子コンピューティングならびに化学、サイバーセキュリティ、金融、最適化などのアプリケーションの開発を加速しています。エネルギー、物流、気候変動、健康などの分野において重要な問題を解決するためのスケーラブルで商用的な量子ソリューションを創造することに重点をおいています。

クオンティニュアムのオープンソース開発者ツールキット TKET は、世界有数の量子ハードウェアとシミュレータへのプラットフォーム包括的なアクセスを提供し、サイバーセキュリティ鍵生成プラットフォーム Quantum Origin、量子計算化学と材料科学のパッケージ InQuanto、量子自然言語処理と計算言語学ツールキット lambeq などのあらゆる量子製品の性能を向上させます。

クオンティニュアムの H1 世代量子コンピュータ(Powered by Honeywelll)は、計算能力の指標のひとつである Quantum Volume において4096 ベンチマークを初めてクリアした世界最先端のコンピュータです。2020年3月にクオンティニュアムはその後 5 年間、商用 H シリーズ量子コンピュータの Quantum Volume を毎年1桁ずつ増加させることを約束しました。

Honeywell の商標は、Honeywell International Inc.のライセンスに基づき使用されています。Honeywell International Inc. は、この製品に関していかなる表明も保証も行いません。 本製品はクオンティニュアムによって制作されています。

□ 本件に関するお問い合わせ
クオンティニュアム株式会社 広報事務局
(共同PR株式会社)
担当:伊藤・石谷
TEL: 070-6464-5236(伊藤)
E-mail:cqc-pr@kyodo-pr.co.jp

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