量子化学、論理量子ビットを用いて誤り耐性の領域へと大きく前進

Quantinuumの日本の量子化学者を中心とする研究チームが、論理量子ビット上で動作する誤り耐性アルゴリズムを用いて、水素分子(H2)のシミュレーションを実施。

クオンティニュアム株式会社

2023-07-10 13:30

2023年7月10日(日本・東京、英国・ケンブリッジ、コロラド州ブルームフィールド) - 世界最大級の統合型量子コンピューティング企業であるQuantinuumは、量子プロセッサ上で、論理量子ビットを用いた初期誤り耐性アルゴリズム による化学分子のシミュレーションを世界で初めて※実施したことを発表しました。 ※論理量子ビットを用いた量子位相推定を量子化学の問題に適用した世界初の実験である。(2023年6月30日時点自社調べ) 量子コンピュータを利用した分子探索のスピードアップに向けたこの重要な一歩は、化学系のモデリングを改善することにより、商業的・経済的価値を生み出すまでの時間を短縮するものです。
日本の科学者によってリードされたQuantinuumの研究グループは、QuantinuumのH1量子コンピュータ上で3つの論理量子ビットを使用し、確率的量子位相推定と呼ばれる初期誤り耐性デバイス向けのアルゴリズムを使用して、水素分子(H2)の基底状態エネルギーを計算しました。

今日の "NISQ (Noisy Intermediate-Scale Quantum Computer)"時代の量子コンピュータ上で使用できる多くのアルゴリズムは、より大きな問題に対応させたくても拡張することが難しいことがすでに知られています。この実験で使用された論理量子ビットを用いた位相推定技術は、拡張性は高いものの非常に複雑な回路を必要とし、ノイズによってエラーが生じやすいため、現行の量子コンピュータに実装するのは困難です。

Quantinuum日本法人の代表取締役、結解秀哉氏は次のように述べています。
「本日の発表は、量子コンピュータを用いた量子化学の新たなページを開き、私たちを初期の誤り耐性の時代へと前進させるものです。当社は数年にわたり日本で事業を展開してきましたが、科学に画期的な進歩をもたらすというQuantinuumの評価を高める素晴らしい貢献を果たせたことを、日本のチームとして非常に誇らしく思います。今回の研究結果は、量子化学が量子コンピューティングの応用において最も期待されている分野の一つであるという我々の信念を反映したものであり、H1量子コンピュータが材料科学や他の量子コンピューティング分野において、真に画期的な研究を可能にするという、日本や世界の多くの顧客の見解を裏付けるものです。」

6月30日に発表された科学論文「Demonstrating Bayesian Quantum Phase Estimation with Quantum Error Detection」 (リンク ») では、Quantinuumの山本憲太郎博士率いる科学者チームが、Hシリーズ量子コンピュータ*用に新たに開発された誤り検出コードで実現された論理量子ビットを作成・使用することで、一つの課題を克服したと発表しました。このコードは、計算過程で誤りが発生した量子ビットを検出した場合、直ちに計算を破棄することで量子リソースを節約するというものです。

低ノイズのHシリーズ量子コンピュータとQuantinuumソフトウェアInQuanto™(インクァント)の機能を組み合わせることで、研究者はこれらの複雑な回路を初めて実行することができ、誤り検出コードを使用しない場合よりも精度の高いシミュレーション結果を得ることができました。誤り検出機能を持つ論理量子ビットを作成し使用することは、より高度な誤り訂正のための前提条件であり、量子コンピュータを様々な「ノイズ」からリアルタイムで保護するものです。

Quantinuumのシニアリサーチャー、山本憲太郎博士は次のように述べています。
「論理量子ビットを用いた初期誤り耐性アルゴリズムの実証実験ができたことをうれしく思います。将来の大規模量子コンピューティングのために必要とされる技術の多くは、すでにこの実験で使われています。このシミュレーションの基本戦略を用いることで、Hシリーズの発展に滑らかに追随し、着実に量子優位性の実現を目指すことができます。その意味で、この結果は量子コンピューティングの専門家にとって新たな章の幕開けになると期待しています。」

未来の分子や材料の研究に多大な投資をしているヘルスケア、エネルギー、自動車、製造などの分野の科学研究者や企業にとって、この実験は有用な量子コンピューティングの時代が近づいていることを表しています。

クオンティニュアムの H1量子コンピュータ(Powered by Honeywell)で実行されたこの実験は、業界をリードする量子計算化学プラットフォーム、InQuantoの将来のバージョンに統合され、企業や学術研究者の方々が、量子コンピュータ上で実行される誤り耐性アルゴリズムを材料や分子のモデリングに使用することができるようになる予定です。

*誤り検知コードの詳細については、“Protecting Expressive Circuits with a Quantum Error Detection Code” (リンク ») をご参照ください。


Quantinuumについて
Quantinuum (リンク ») は、Honeywell Quantum Solutions のハードウェアと Cambridge Quantum のミドルウェアおよびアプリケーションを併せ持つ世界最大級の統合型量子コンピューティング企業です。科学主導・企業駆動(science led, enterprise driven)で、量子コンピューティングと化学、サイバーセキュリティ、金融、最適化などのアプリケーションの開発を加速しています。エネルギー、物流、気候変動、健康などの分野で、世界で最も差し迫った問題を解決するためのスケーラブルで商業的な量子ソリューションを創造することに重点を置いています。米国、欧州、日本に拠点を有し、350 名以上の科学者を含む 480 名以上の従業員を擁しています。
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