総務省「周波数資源の有効活用に向けた高精度時刻同期基盤の研究開発」に採択 -セイコー、数十ピコ秒レベルの自律分散的な高精度時刻同期システムの研究開発を開始-

セイコーソリューションズ株式会社

2022-09-13 11:00

セイコーソリューションズ株式会社(代表取締役社長:関根 淳、本社:千葉県千葉市、以下 セイコーソリューションズ)は、令和4年度から新たに総務省が実施する電波資源拡大のための研究開発において国立研究開発法人情報通信研究機構(以下 NICT(エヌアイシーティー))他と共同で提案を行い、「周波数資源の有効活用に向けた高精度時刻同期基盤の研究開発」に採択されました。小型原子時計を搭載した有無線時刻・周波数同期技術の研究開発を2022年8月より開始しました。

時刻同期のためのNetwork Time Protocol(NTP)や、さらに高精度な時刻同期を実現するPrecision Time Protocol(PTP)は、現在ではITシステムにとって不可欠な技術となっています。これらの時刻同期プロトコルは、システム内の最も“正確”なクロック(いわゆるマスタークロック)に同期するのが基本的な仕組みであり、同期精度を確保するには高精度なマスタークロックが欠かせません。セイコーソリューションズは20年以上にわたり高精度なNTPサーバーであるTime Serverシリーズを開発し、GNSSやFM、長波など多様な時刻ソースに対応した製品の提供を行ってきました。さらにPTP向けのグランドマスタークロック(GMC:Grandmaster Clock)も提供し、金融や通信、放送、その他の社会インフラの運用に大きな貢献を果たしてきました。

一方で、単一のマスタークロックに同期するという従来の仕組みは、その適用範囲や信頼性、省電力性および柔軟性において課題が指摘されています。たとえば、GNSSによる時刻同期はネットワーク内に時刻を配信するマスタークロックがGNSSを受信できる環境のみで実現可能なほか、マスタークロックの不具合やなりすましなどでその信頼性が損なわれる可能性もあります。また現在広く流通しているグランドマスタークロックには原子時計が搭載されているものの、PTPプロトコルの限界により時刻同期精度はマイクロ秒程度であり、本来の高い時刻精度を活用することができていません。今回NICTらと共に提案している原子時計チップによる時刻同期システムでは、マスタークロック方式とは異なる自律分散的な同期システムを構築することにより、これらの課題が払しょくされ、使いたいときに、使いたい場所で、安心して利用できるこれまでにない高い精度の時刻同期インフラを構築することを目指しています。

セイコーソリューションズは、この時刻同期インフラの実現に向けて小型原子時計を搭載した有無線時刻・周波数同期技術の研究開発において提案を行い、採択されました。具体的には、自律分散同期に不可欠である複数クロックとの時刻周波数比較機能を有する小型原子時計を搭載した有線モジュールの実現方法の研究およびプロトタイプの開発を行います。

今後もセイコーソリューションズは、持続可能な社会インフラで求められる柔軟性、堅牢性、高信頼性、省電力性を備えた時刻同期環境の実現に向けた研究および開発に取り組み最適なソリューションを提供していきます。


※本文中に記載されている製品名などは各社の登録商標または商標です。


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