レノボ、NEC PCの米沢事業場でThinkPadのCTO生産検討を開始 - (page 2)

大河原克行

2012-03-21 21:39

 同様に国内に生産拠点を持つ富士通では、ノートPC生産の島根県出雲市の島根富士通、デスクトップPC生産の福島県伊達市の富士通アイソテックを活用することで、やはり3日間での納期を実現している。(関連記事:東日本大震災、復興の今--富士通アイソテック富士通アイソテック、震災から1年の講話会--志を持った活動で苦難乗り越える

 島根富士通では、「法人ニーズでは顧客のニーズにいち早く柔軟に対応する『クイック&フレキシビリティ』が重要な要素となる。顧客に対してベストフィットプロダクトを提供できるのが富士通の強み。そのためには国内生産の活用は避けては通れない」と前置きし、「研究開発部門と生産拠点とが日本国内で緊密に連携し、カスタマイズにも柔軟に対応し、個別仕様や専用モデル開発に柔軟に対応できる設計部門を配置していることは大きな成果」とし、カスタマイズ性が高い生保向けPC商談における獲得率が8割を超えているのは国内生産拠点の存在が大きいことを示した。

 また、兵庫県神戸市内に生産拠点を持つパナソニックも、周辺機器の接続設定やアプリケーションソフトのインストール、ネットワーク設定など、社員ひとりひとりの環境設定を行った形で納品を行える、きめ細かいカスタマイズ体制を整えているのが特徴だ。

 「マザーボードの実装から最終組立までを行なう数少ない国内一貫生産拠点が神戸工場の特徴。品質力、スピード力、対応力において進化を遂げ、一品一様のカスタマイズにも対応。お客様に直結する工場を目指す」とパナソニックでは語る。

 外資系PCメーカーでは、日本ヒューレット・パッカードが東京都昭島市の生産拠点において「Made in Tokyo」での生産体制を構築。受注後5日間でのカスタマイズ対応による納品を実現している。

 日本ヒューレット・パッカードでは「世界規模で生産拠点の統廃合を進めてきたが、日本の法人ユーザーの満足度を高めるためには、日本に生産拠点が不可欠であることを米国本社に説明し、それを認めてもらうことで存続した拠点。実際、日本の法人向けPC市場ではシェアが上昇している」と語る。

  • ThinkPad X121e※クリックで拡大画像を表示

 こうしたなか、レノボ・ジャパンでは中国(深セン)などで法人向けPCの生産を行っているが、競合他社と戦うためには、日本の法人ユーザーの細かい要求にも柔軟に対応するための体制づくりや、納期のさらなる短縮化が求められており、NECパーソナルコンピュータの国内生産インフラを活用することで、これらの課題を解決する考えだ。

 2011年7月から合弁をスタートしたレノボ・ジャパンとNECパーソナルコンピュータだが、その成果はすでにいくつか出ている。

 NECパーソナルコンピュータは、レノボグループが持つ世界第3位、年間4400万台のPC出荷規模を背景とした調達力を活用することで、PC事業における調達コストの削減を実現。コスト削減により生まれた経営資源を活用して、従来は購入後2年目以降は有償だった電話サポートを、2年目以降も無償にするなど、顧客満足度向上を図っている。

 今年7月には合弁をスタートしてから1年目を迎えることから、それと前後として、お互いが持つ技術を活用した新製品の投入が行われることなどが、両社の関係者のコメントから明らかになっている。

 今回のレノボ・ジャパンによる米沢事業場の活用は、まだ検討段階ではあるものの、両社のリソースを相互に活用する意味でもさらに踏み込んだものといえ、一部関係者の間では「年内にもこうした体制をスタートしたい」という声も出ている。

 実現すれば、レノボ・ジャパンの法人向けPCビジネスに加速がつくことになりそうだ。

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