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強気の出荷計画に黄信号?--富士通はサーバ分野で本当に存在感を示せるのか

大河原克行

2010-05-10 09:30

 3月22日付けの本コラム(サーバ市場減速の中で富士通が「強気の目標」を曲げないいくつかの理由)で、富士通のIAサーバの意欲的な出荷計画について書いた。

 同社では、2010年度の目標として全世界で年間50万台、国内20万台のx86サーバを出荷する計画を明らかにしており、元社長である野副州旦氏が掲げたこの数値目標を、4月に社長に就任した山本正己氏は「必達目標」と位置づけている。その点で、中間結果ともいえる2009年度のx86サーバの出荷実績は、計画達成の重要なマイルストーンとなる。果たして、2009年度の実績はどうだったのか。

 山本氏によると、2009年度のx86サーバの出荷実績は、グローバルで20万台、国内で10万台だったという。

 国内では年間12万台の計画を公表していたことから、これに対しては未達ということになる。また、グローバルという観点では、2010年度に50万台という計画を達成するには、2倍以上の出荷規模の拡大が必要であり、2009年度に20万台の出荷規模に留まったことは計画達成にとって黄信号が点ったと言えなくもない。しかし、山本氏は「競合他社に比べるとx86サーバの台数成長率は高い。2010年度の50万台出荷の旗は降ろさない」と、改めて繰り返した。

 実は、富士通の2009年度のx86サーバ出荷実績については、あまり報道がされていない。というのも、4月30日に開催された2009年度連結業績の発表会見で同社から配布された資料の中には、2009年度のx86サーバの出荷実績は明記されておらず、山本氏と執行役員専務の加藤和彦氏が出席して行われた会見でも、x86サーバの実績には自ら言及しなかった。x86サーバの出荷台数に関するコメントは、会見終了後の「ぶらさがり」で、初めて回答したものだ。PCや携帯電話の出荷実績が、いずれも補足資料に明記されたのとは対照的で、その点でも、x86サーバの数値を積極的には公表したくないという意識が見え隠れする。

 未達の要因には、経済環境の悪化を背景にした企業のIT投資抑制、特にグローバル戦略において成長の基盤となる欧州市場における回復が遅れていることが挙げられる。また、ドイツに拠点を置く富士通テクノロジー・ソリューションズにおけるリストラや、開発や購買の一元化によるサーバ関連コストの削減といった取り組みが優先されたことも影響しているようだ。山本氏が「まだ手つかずの領域が多い」とする北米や、韓国をはじめとするアジア地域での事業拡大も課題といえよう。

 今回の会見で、山本氏は富士通が掲げていた「お客様のお客様起点」「グローバル起点」「地球環境起点」という3つの起点については、「さらに磨きをかける」とした。特にグローバル起点では、米国、ドイツ、英国、シンガポール、オーストラリアの5カ国にデータセンターを設置する計画を発表。「2011年度に営業利益率5%達成を目指す上では、クラウドビジネスのグローバル展開が鍵になる」とする。

 だが、グローバルでの存在感を早期に発揮するには、サーバのグローバルシェア拡大が手っ取り早い。存在感を発揮するサーバと、収益を確保するクラウドといった両輪が、果たして確立できるだろうか。山本氏は、7月にも改めて新体制下での方針説明を行うという。その中で、サーバ事業の成長戦略をどう位置付けるかが注目される。

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