松岡功の「今週の明言」

SASジャパン新社長が掲げた「継承と躍進」の意味 - (page 2)

松岡功

2015-11-13 12:00

 いわば、エンジニアリング、コンサルティング、ソフトウェアの3つのビジネスに携わってきた同氏の経歴は、IT業界の経営トップの中でもユニークだ。「それなりに必然性のあるキャリアを踏んできたのかなと思っている」とはご本人の弁。穏やかな語り口ながら漲る自信を感じた。果たして「躍進」に向けて存分に経営手腕を発揮できるか。注目しておきたい。

「IoTビジネスはマイクロソフトと協業し、得意分野で差別化を図りたい」
(日本ユニシス 黒川茂 代表取締役社長)


日本ユニシスの黒川茂 代表取締役社長

 日本ユニシスが先ごろ、2015年度上期(2015年4~9月)連結決算と2015年度からスタートした中期経営計画の進捗について記者説明会を開いた。黒川氏の冒頭の発言は、その会見で中期経営計画の重点施策の1つである「ビジネスICTプラットフォーム」においてIoT(Internet of Things)ビジネスの取り組みについて語ったものである。

 会見で開示された決算と中期計画の進捗の概要については関連記事を参照いただくとして、ここでは同社のIoTビジネスの取り組みに注目したい。

 黒川氏は図を示し、センサなどのデバイスから、データ収集・配信、データ加工・解析までをワンストップで提供する「IoTビジネスプラットフォームサービス」の開発を開始したと述べ、その背景について次のように説明した。

 「IoTは今後、さまざまな分野で活用され、人々の生活をより豊かにするために欠かせないものになっていく。しかし一方で、IoTを活用するためのシステムの構築には、センサやカメラなどのデバイスから、ネットワーク、データ収集・解析、機械学習と範囲が広く、幅広い知見が必要になり、構築までにかかるコストや時間も課題になっている」

 「日本ユニシスグループでは、これらの課題を解消し、お客様のニーズに素早く対応するため、ユニアデックスが有するセンサ、デバイス開発やネットワークに関する技術・ノウハウと合わせて新サービスの開発を進め、来年度のサービス提供を目指している」

 新サービスはマイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」が提供するIoTサービスを中核に、図のような機能が搭載される予定だ。会見の質疑応答で新サービスにおける競合他社との差別化ポイントについて聞いたところ、黒川氏は次のように答えた。


日本ユニシスが開発を進める「IoTビジネスプラットフォームサービス」の構想図

 「われわれはかねてIoTの先駆けとなるようなソリューションを用途ごとにいくつか提供しており、相当の知見やノウハウを蓄積している。とはいえ、IoTビジネスとしてはむやみに対象範囲を広げるのではなく、自分たちの得意分野に注力し、強みを発揮して競合他社との差別化を図っていきたい」

 ちなみに同社がIoTビジネスでフォーカスする分野は、図の右側にあるように「自然災害監視分野」「製造流通分野」「交通インフラ分野」の3つだという。今後、IoTビジネスが激戦区になるのは間違いないところだ。そうした中で、同社がどれだけの存在感を示すことができるか。注目しておきたい。

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