――最新の顧客事例のトレンドは?
つい先日、日産自動車の事例を発表した。
日産は自動車のデザインでハイエンドの3D CADアプリケーションを利用しているが、これを仮想化するというものだ。同社が世界に抱えるデザインセンターで、仮想デスクトップを導入して、日本にある一元化されたデータにアクセスするものです。製品はXenDesktop、XenServerを利用した。性能も申し分ない。中央で管理することで、場所や端末を問わずにアクセスできるようになった。
また、みずほ銀行ではXenApp、Citrix Receiverを利用してタブレットによる業務改革を進めてている。マウス「Citrix X1 Mouse」も利用している。
ウェブアプリケーションは次々と生まれているが、HTTPプロトコルによりネットワーク上でのやり取りが多く、ブラウザの互換性の問題がある。XenAppで動かすことで、あらゆるエンドポイント、あらゆるブザウザ向けに配信でき、ブラウザの互換性を気にする必要はない。このように、性能とセキュリティの2つのメリットが得られる。
また、日本のトレンドとして、ネットワーク分離の動きがある。セキュリティ対策として、インターネットアクセスと内部のイントラネットアクセスを分離するというもので、ウェブにアクセスするためのPC、内部アプリケーションにアクセスするためのPCと2台が必要になる。Citrixの技術を利用すればXenAppでブラウザを動かし、内部アプリケーションには物理環境からアクセスといったことが可能になる。ネットワーク分離は世界的なトレンドだが、日本でも政府や金融機関でみられるようになってきた。
――IBMとAppleが提携し、IBM社内で大規模なMacの実装が進んでいる。Windows一辺倒だったエンタープライズに新しいトレンドになるという向きもある。エンタープライズでのWindowsの独占に変化は起きているか。
業界は常に変化している。IBMとApple提携の中心は、(IBM社内におけるMac実装よりも)モビリティだと理解している。IBM社内ではWindowsアプリケーションがたくさん動いており、今後もこれらを使い続けるだろう。CitrixではWindowsアプリケーションをMac上で動かせるので、Citrixの技術の利用が増えるはずだ。
デバイスの多様化とアプリケーションとは、分離して考える必要がある。MacBook、iPad、Androidなどデバイスの種類は増えている。Chromebooksの案件も増えている。しかし、アプリケーションという点では、顧客の多くがWindowsアプリケーションを利用している。Windows 10は素晴らしい開発環境でもあり、Windows開発者は今後もWindowsアプリケションを開発するだろう。この傾向は長期的に継続するとみている。これに、Linux、モバイル、ウェブアプリケーションが加わる。
アプリケーションはビジネスの大動脈だ。デバイスはWindowsデスクトップからモバイルへ、SaaSやウェブへと変わるが、Windowsアプリケーションは今後20年ぐらいは主流だと予想している。Microsoftはアプリケーション開発という点で最高基盤を開発することに集中している。
アプリケーションを迅速に開発できるツールの提供、アプリケーションが動く柔軟性の提供などという点で、Windowsは優れていると考える。大きなトレンドからみると、Chromebooksの台頭やMacやiOSの台頭などは補完的なものだ。これについても、Citrixの技術を利用すれば、あらゆるデバイスでWindowsアプリケーションを動かすことができる。
先の年次カンファレンスでは、Linuxアプリケーションへの対応を発表した。同じインフラ上でセキュリティ、アクセス性などのメリットはそのままにLinuxアプリケーションを動かすことができる。