シトリックス・システムズ・ジャパンは6月30日、主力の仮想デスクトップ製品「XenDesktop」やモバイルワーク向け製品「XenMobile」「ShareFile」の機能強化を発表した。
機能強化の中心は、同社が提唱する「Citrix Workspace」環境の実現に向けたアップデートに相当する。機能強化とあわせて、旧製品向けのFeature Packを提供する。
シトリックスが推進する「モバイルワークスペース」は、ITを活用しながらいつどこにいても、どんなデバイスやネットワーク、クラウドからでも仕事をこなすことができる環境を提供しようという取り組み。デスクトップやアプリケーションの仮想化、配信技術を応用することで、既存環境を活かしながら、安全性が高く、企業と社員のリスクを担保する環境を目指す。
同社は、その環境を実現する製品として、モバイルワークスペーススイート製品（Citrix Workspace Suite）を展開しており、今回のアップデートで、スイートを構成する主要コンポーネントを機能強化した。
マーケティング本部 本部長の高沢冬樹氏
マーケティング本部 本部長の高沢冬樹氏は、「企業アプリケーションはモバイルの利用が前提になってきた。モバイルに対応し、どこでも仕事ができる環境を作ることは大変だが、仮想化などの技術を応用すればリーズナブルで、安全なワークスペースを作ることができる」と説明。今回のアップデートは、それをさらに進めるものであることをアピールした。
アップデート詳細については、モバイルアプリやファイル共有に関するアップデートと、デスクトップ製品向けに分けて説明した。モバイルについては、営業推進本部プロダクトソリューション推進部 プロダクトソリューション推進マネージャー 山田晃嗣氏が、スマートデバイス向けアプリXenMobileと、ファイル共有サービスShareFileの追加機能を説明した。
XenMobileでは、Microsoft Exchange （Outlook）のタスク機能を統合した新アプリ「WorxTasks」、Salesforce.com向けの独自UIを持ったアプリ「Citrix for Salesforce」の2つが加わった。Cirtix for Salesforceは、API連携でデータ同期を行いセキュアコンテナと呼ばれる隔離空間でSalesforceを実行する仕組み。
これにより、他のアプリと同様のエクスペリエンスを提供したり、データ悪用の防止、遠隔からの消去といったセキュリティ機能を拡張することができる。
営業推進本部プロダクトソリューション推進部 プロダクトソリューション推進マネージャー 山田晃嗣氏
また、ノートアプリ「WorxNotes」では、デスクトップPCのウェブブラウザから利用できるようにした。メールアプリ「WorxMail」では、メールに添付したZIPファイルの中身を直接閲覧できる機能の追加、会議出席者の空き時間の確認、APNS（Apple プッシュ通知サービス）を使ったPUSH通知に対応した。
ShareFileでは、「Restricted StorageZones」と呼ばれるファイル同期と共有の利用可能範囲を限定できるセキュリティ機能が加わった。ShareFileは、企業内のストレージとクラウドの管理機能を使ってファイル共有を実現している。
利用環境が屋内か屋外かを意識することなく利用できることがメリットだったが、一方で、金融機関などより安全に利用したいというニーズも強かった。今回のRestricted StorageZonesを利用すると、利用範囲を企業のLAN内に限って運用するといったことができるようになる。
また、XenDesktopなどの仮想デスクトップ環境やシンクライアント環境向けに「オンデマンド同期」と呼ばれる同期機能を追加した。通常、ファイル同期を行うとローカルPCのストレージを消費するが、仮想デスクトップ環境の場合ではサーバ内のストレージが二重に消費することになる。オンデマンド同期では、ショートカットのみを同期し、ローカルファイルに対する追加や修正は、自動的にクラウドのファイルに反映する仕組みだ。
