業務効率化、セキュリティ、働き方の多様化など複数の観点から、VDIを検討/導入する機運はこのところ強まっている。「初期コストが思った以上にかかり、動作も重い」などの声もあった数年前とは異なり、いまや企業の大規模な導入事例も多々聞かれるようになった。VDIはすでに、現実的な「導入ステージ」にあるといってもいいだろう。
そこで今回は「VDI導入の今」について、識者4人が集う対談を実施。VDIがどこまで進化したか、どうすれば効果的な導入ができるのかを語ってもらった。

中村氏
まずは参加者を紹介しよう。新バージョン「VMware HorizonTM 6」をリリースしたばかりの、ヴイエムウェア。同社 システムズエンジニアリング本部 パートナーSE1部 シニアシステムズエンジニアの中村朝之氏。

一丸氏
続いて、デル ストレージ・ビジネス本部 ストレージアーキテクトの一丸太作氏。デルは従来のVDI環境でボトルネックになりがちだったストレージ性能について大幅な改善を提案している。

松浦氏
長年VDI導入を手がけてユーザーの要求変化等を熟知している総合シンクライアントベンダー、アセンテックからは取締役 ソリューション本部 本部長である松浦崇氏。同社はVDIを中心にグローバルで高い支持を受けるソリューションを国内企業に提供する。

宮原氏
そしてユーザー側の立場として、日本仮想化技術のCEO 宮原徹氏。同社は仮想化に関するコンサルティングサービスを提供する、仮想化のエキスパート集団だ。
トピック(1)
より高度な要求に応えられる環境が整ってきた最新のVDI環境
日本仮想化技術 宮原:VDIの導入事情について、以前と最近とで変化を感じる部分はあるでしょうか。

アセンテック 松浦:以前はアプリケーション仮想化がメインで、その後セキュリティ対策やTCOのニーズが高まりました。現在、セキュリティとコストはほとんど全ての導入企業が意識していると思います。そして最近では、スマートフォンやタブレット、シンクライアント端末などでも使えるようにしたいなど、よりユーザーコンピューティングに近づいていると感じますね。
ヴイエムウェア 中村:昔は尖ったソリューションというイメージでしたが、今は特別なものではなくなっていますよね。アセンテックさんの常設しているショールーム等で実際に触っていただくと、とても喜んでもらえます。
松浦:IT部門ではない、意思決定権のある方が来て触ったりしていますね。動画再生やCADなど、以前のVDIが苦手としていたもののデモを見せると、PCと変わらないというポジティブな感想が聞けます。プリントができない、動画が動かない、という昔のイメージは払拭されています。
宮原:今は普及期と考えていいのかもしれません。そうした中で、デルは製品のポートフォリオを広げ、ストレージに関してもVDIに強くなっていますよね。
デル 一丸:そうですね。フラッシュメディアを使えるようになって、ストレージをずらりと並べなければ使えないというVDIの大きな課題に対応できるようになりました。
もっとも強調したいポイントはやっぱりストレージですね。以前は端末の電源が一斉に入れられる時に負荷が高まる朝9時問題に対応するためには、HDDが200本くらい必要でした。これがSSDなら20倍以上のパフォーマンスがありますから、5~10本で済んでしまいます。更にデルのフラッシュストレージは、ソフトウェアライセンス費用、保守費用、電気代等を含めたTCO(Total Cost of Ownership)の観点で、他社のフラッシュストレージと比べて約50%コスト削減が可能です(米国ESG社調査)、特に永続的なソフトウェアライセンスモデルは追加費用がかからないのでお客様から高い評価を頂いております。