OpenStackで高信頼のプライベートクラウドを構築せよ!サミット開催報告/デルが今ここまで注力する理由とは

キャリア・グレードに挑むNFVの実装実験

 最後に紹介するのは、デルとブロケード、レッドハット、インテルの4社が共同で実施したOpenStackベースのNFVソリューションの実証実験である。

デル株式会社
エンタープライズソリューションズ事業本部
増月孝信氏

 ネットワークをソフトウェアで制御するSDNの流れの中で、ルーターやスイッチだけでなく、ファイアウォールやロードバランサなどもソフトウェアで実装し、さらに仮想化して集積しようという動き(Network Functions Virtualization:NFV)が活発化している。NFVにより、従来よりも汎用性の高いネットワーク機能を実現できると期待される一方で、同時にソフトウェアで仮想化されたネットワーク機器が通信キャリアのような高負荷環境で使い物になるのか疑問視する向きも多い。

 今回の実験は、そうした疑問に答えるものだ。実験では、4つの10GbE NICを搭載し、インテル® Xeon® プロセッサーを搭載したDell PowerEdge R630サーバ上にOpenStackで40台のvCPE(仮想通信設備)をデプロイし、各vCPEごとに1Gbpsのトラフィックを発生させたところ、ほぼ物理限界に近い38.68Gbpsのスループットを達成したという。

 これは、Dell PowerEdge R630に搭載された最新のインテル® Xeon® プロセッサーの性能と、パケット処理能力を大幅に向上できるソフトウェアライブラリーセットのインテル® データ・プレーン開発キット(DPDK)によるところが大きい。インテル® Xeon® プロセッサーとインテル® DPDKの組合わせにより、主要なワークロード (アプリケーション、制御、パケット、および信号処理) について個別のアーキテクチャーを使用する方法から、これらのワークロードをよりスケーラブルで簡素化されたソリューションに統合する単一のアーキテクチャーに移行することが可能になる。

NFV向けOpenStackソリューションの構成 NFV向けOpenStackソリューションの構成
※クリックすると拡大画像が見られます

 今回の実験の意義について、デルの増月孝信氏は次のように語る。

 「NFVには様々な実現方法があり、現在はどこも試行錯誤をしている状態。実装によっては、パフォーマンスが出なかったり、高負荷時にパケットロスが発生することもある。今回の実験でNFVでもワイヤーレートのパフォーマンスを実現できることを実証できたことはもちろん重要だが、同時にそのシステム構成をホワイトペーパーにして、共有できる情報として公開できたことも意義深いことだ。ワイヤーレートを実現しながらも、OpenStackによる運用管理のしやすさも得られる。今後もNFVは進化を続けるだろうが、今回のモデルは現時点におけるNFVのベストプラクティスと呼べるだろう」

 なお、ブースで来訪者に対応していた増月氏は、通信キャリアの方からも多くの質問を受けたという。

 「これまでの通信事業はプロプライエタリーな機器に依存していたが、NFVで選択肢が広がると同時に、従来よりも早いサイクルでいろいろなことが実現できるようになる。サービスの開発が高速化できるということで強い関心を持っているようだ」(増月)

 以上、本稿ではOpenStack Summit 2015におけるデルの展示内容を紹介した。デルはここで紹介した以外にも様々な活動をOpenStackコミュニティで行っているが、そうしたITベンダー各社の活動により、OpenStackが重要性を増していくことは間違いなそうだ。

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提供:デル株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2016年1月31日
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